製作難易度 ★★★★★+ααα
フレキシブルマイク はロングタイプの「Flex-LZ」 をご紹介したことがあります。
あのときはフレキシブル長17cmというものでした。
http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-11451720514.html
直後のギターコンサートでは繊細な「チェンバロギター」とウッドベースにウリ二つの音である「ギタロン」にセットしたPAで冴え渡った音を聴かせた。
今回のショート・フレキシブルは同一筐体にひとまわり大きなφ16のカプセルを採用したことで製作難易度は桁違いに高くなった。
今回マイクカプセルはフォーリーフのUEB-5361(13.7φ)から別メーカーの16φカプセル(UEM-16)に変更し、フレキシブル長は3cmに縮め、取り回しのよさを求めた。
プレゼンスピークはおとなし目であり、万能目的からクラシック録音までこなすよう音色をチューニングした。
また、マイクAMP部も手馴れたFETタイプにした。
【製作】
※今回の難門は総合的シールド構造とカプセル防振構造に集中されています。
FETレス単一指向性ECMのデリケートな難しさを味わってください。
【ボディ】
すべてはここから始まった (前回も同じ)
トモカのオリジナルXLRコネクタ、オス・メスとも後ろは同じ形状。
・オス・・・3-12LN ・メス・・・3-11LN どちらでも使えます。
【フレキシブルシャフト】
φ6.8のモノが上記コネクタのネジブッシングでネジ締めできます。
入手先は前回の記事をご参照ください
http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-11451720514.html
【前面グリル】
真鍮メッシュ20を絞り加工にて作りました。
(参考記事)http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-11466385234.html
【接続用XLRコネクタ】
これは2社のXLRコネクタを合体したものです。
なぜこんな面倒なことを・・・本当はAmphenolで製作したいのだが肝心なシェル・アースが存在しない。
またノイトリック旧型や同形のサード・パーティ品のブッシング形状ではフレキシブルシャフトを支えられない。
されば・・・と「合体」というアラワザを強行した。
またクラシックプロは、余分な塗装により実質的にシェルアース構造が成り立っていません。
XLRコネクタのシェルGNDは設備施設系で「障害を起こす」として理論を無視した「シェルGND外し」が行なわれ、2006年カナレ製品すべてに及びほぼ業界標準になってしまいました。
しかしShinは以前からこの危うさを指摘しています、特にマイクロホンでそれは絶対にできません、理論無視の逃げ方策は最初から破綻しています。
【マイク部構造】
これはこんな写真のほうが少しでもわかるかと思い、めいっぱい説明を加えました。
(ダメオシ図解)
1.シールド構造としてマイクを構成するすべての金属は高周波的に同電位にした。
2.防振はECMカプセルと真鍮メッシュとの間に「耐震ジェル」を入れてカプセルをユラユラにさせ、外部振動から浮かせた。
※ 結果として誘導ハムはナシ、タッチノイズも普通並まで押えることができた。
【構造の一体化】
①マイク部
1.フレキシブルシャフト 2.前側筐体 3.白色プラスチックストッパ
以上3材料をこの部分で接着し、構造を一体化する。
「セメダインスーパーX2クリア」という超多用途接着剤を限定使用する。
フレキシャフトの中に入らないように十分注意しながら接着剤を流し込む。
(手に付いたり余分な箇所に付着した場合は早いうちにアルコールで拭き落とす)
②XLRコネクタ・ブッシング部
「セメダインスーパーX2クリア」を使用してフレキシブルシャフトを接着固定する。」
(付かないはずの材料が見事に接着できるのは実にありがたい)
【回路図】
おなじみの回路であるが、入力側の抵抗は10kΩ、ブリーダー抵抗は4.7kΩとなります。
2SK1109は過電圧に弱いのでご注意を。
【音創り・チューニング】
マイク・フロントとECMの前面の高さを合わせるとほぼフラットとなり、ECMを沈めれば、そこに出来た凹による「ヘルムホルツ共鳴」によって特定周波数を中心とした高域強調となる。
(参考記事)http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-10486641544.html
この製作ではカプセル(UEM-16)の数kHZから始まり10kHZ~15kHZ付近に見られる2dB程度のゆるやかな盛り上がりのみ生かした音創とにする為、写真のようにツライチにマウントした。
速度成分取込孔はやや大きめ、φ3.5×5個とし、キャビティ、レゾネータ動作から逃げた。
さらに背面風防は密度の荒いスポンジを薄く使い、「空気抵抗」としての動作を最小限に抑えた。
結果、指向パターンと音質の両面から満足できるものになった。
かくして「ショート・フレキ単一指向性マイクロホンの完成となった。
音質的にはカプセルの良さをそのまま引き出し、フラットでワイドレンジな音は色気を感ずるような高品位なものとなった。
成功の秘訣として製作前にカプセルの動作確認を、ハム音に悩まされながらもバラック回路で十分行なったことがきわめて重要な決め手となった。
また、カプセル位置やシールド特性、防振のすべてをヘッドホンで実音を聴きながら延々と進めたことが良い結果を得た。
★トライアル製作では試験・確認・調整と「製作」は同時進行で完成させていく。
(お知らせ)
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