製作難易度 ★★★★
棒状マイクの印象はフロントデザインが決め手。
自作マイクの前ツラといえば黒の不織布が貼られたECMのままで済ましてしまいがち、本来、ココはマイクの顔であるべき部分なので「工夫したい」と考えるのは当然 でしょう。
デザイン的にまとまっていれば問題ありませんが、口径が大きくなればなるほどフロントデザインは気になる。
さりとて大掛かりな金属加工は遠慮しつつカッコ良いフロントが形成出来るとっておきの案をご紹介します。
今回の教材としてfet-u1という2年以上前に発表した短小の「単一指向性」マイクロホンを新しく作りやすくカッコいいマイクに再度チャレンジしながらその後習得したノウハウをこれに注ぎ込んだ。
fet-u1(新) fet-u1(旧)
そして焼付け塗装レシピもかなり変わりました。
(サンプル)
びっくりするくらい、簡単にこんなモノが出来てしまう。
(銅・真鍮・銅の黒染め)3種類のサラダ?、お好みのドレッシングでどうぞ)
すべて手作業で行った金属メッシュの絞り加工です。
銅:伸びも手ごろで加工しやすい、黒染めがしっかり決まる、機械強度は弱い。
色調に賛否分かれるところだ
真鍮:やや硬いが十分加工できる、黒染めがしっかり決まる、機械強度はやや強い、金色(真鍮色)にやや品のなさを感ずる。
いずれも黒染めがたやすくできるので好きなほうを選んでよいだろう。
「Flex-LZ 」 で「ハッ」としたのは金属メッシュ材料はそんな場合の救世主となりうることが分かったからだ。
それに、銅や真鍮のメッシュはその気になれば、かなり深い「絞り加工」が可能なことが「ピアノ用X-Yステレオ フリーバウンダリーマイク」 を通じて経験してきた。
今回はいつか見たあのなつかしい短小クン(fet-u1 )のフロント、それを「音響的・電気的」にグレードUPするべく今回の教材にした。
【メッシュ材質について】
ステンレス・銅・真鍮などがホームセンターやハンズ、Net通販などで手に入る。
黒染め・塗装がしやすく、半田付けできる金属として「銅」か「真鍮」を選ぶ。
長さ25mmの「銅管ソケット=水道材料」を2個半田でロウ付けして50mmにするプロセスは当時そのまま何も変わらない、XLRコネクタのロック部分はメーカーごとのバラツキに対応するため改良した。
これが当時の記事 に使った写真と説明
各種あるXLRコネクタに全部ピタッと勘合するようなこの部分(コネクタロック溝)をミニルーター(リューター)で彫刻するのは至難の技。
Shinさん、いくつもオシャカにしながらたどり着いたのはこの方法。
溝ではなく「穴」にすれば溝彫刻の失敗も「勘合しやすい・しにくい」もなくなる。
この方法はノイトリック旧型コネクタで見られたり、数段自作に向いていることがわかった。
(こうして見ると、ここのネジは黒つや消しがいいな)
【金属メッシュの絞り加工】
①最初は手指を使ってゆっくり絞っていく、ある程度キレイに変形できたら
太いペンやドライバーのおしりなど、身近にあるものを使用して5cm程度なら絞りながら向こうまで届く。
丸みをおびたモノを差し込んで使って丸みを整えれば円弧が出来、平らなモノを差し込んで平らにすればフラットな先端形状を得られる。
先端メッシュの露出度いろいろ
茶濃し程度のメッシュ変形度でお茶を濁すと思いきや、思いのほか深い絞りまで可能な事に驚く。
ステンレスは専用のハンダ付け加工が出来れば問題ないが、一般的には避けたい。
②(金属色or黒色?)
マイクロホン胴体は黒色としたときフロントは金属色で残す場合と黒染めまたは黒色焼付け塗装によってフロントグリルを含めて全黒色にする場合がある。
金属色で残す場合は真鍮の場合の黒ずみや銅の場合の緑青を防ぐために「サビーヌ・プラス」を使用して酸化による変色防止をやっておきたい。
先端のメッシュ部強度の問題とデザイン性の2面から形状を考えたいがデザイン性を確保しながら、できる限り先端部メッシュは出っ張らせないほうが変形防止に良い。
【マイクロホン・クラフトで出来る金属手加工】
・半田付け(対象金属は限定される)
・同一ピッチオス・メスネジによる材料の合体
・電動工具(リューター、充電ドリル・ドライバー)による「穴あけ、切削、彫刻、研磨」
・ネジ切り
・ポンチによる板金打ち抜き
・手加工によるヤスリがけやリーマ加工
これらは既存の板金や金属部材が対象であるが、あらたに「金属メッシュ」という材料が自由自在に使えるすべが少しづつ分かってきた。
特にその「絞り加工」を手にすることでマイク先端の形状は電気的な連続性を持って大きく変化させることができる。
パンチングメタル使用のアルミ半田や接着では不可能な領域だ。
(電気的連続性が途切れる事を前提にして初めて「接着剤」の使用がある。
第ニ編へ続く
後編では進化した金属黒色化をレポートしながらfet-u1(New)を完成させます。
(お知らせ)
fetⅡ、fetⅡi、measurement-fetⅡ・LZ-Ⅱ・LZGなど、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください Shin
モノ作り日本もっと元気出せ! (Shin)
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