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昨年の大きな課題であった「コンデンサマイクの超低出力インピーダンス化」については一定の結論をもって終了させ、多くの副産物を得ました。
20~30mでは何も問題のない事も50 m・100m・200mと長くなるにつれてケーブルの線間容量・導体抵抗・誘導成分などによって次第に問題化する。
かつてBTS(放送技術規格・・・2001年廃止)時代は600Ωの呪縛があり、「ローインピーダンス」と言えば600Ωが当たり前であった。
現在では200Ω未満、特にホール3点吊り用となると数10Ωが当たり前になった。
特にトランス不使用の半導体式ではCMRRを確保する為にそれが顕著だ。
下写真はかつてのBTS規格のマイクロホン。しかしDM-68Aなどは200Ωです。
インタビュー、ボーカルから国会中継まで使われた、最後に見たのは「ビン・ラディン」のビデオ映像で手に握られていたのがこれだ。
興味深いのはダイナミック型でありながら完全なオフマイクでも音ヤセしない事だ(1975年1本3万円)
測定中のAIWA DM-68A (BTS1級) 右は サンケン MS7 (BTS2級)
さらにShinさんのところにあるマイクの出力インピーダンスを片っ端から測定してみた。(カタログ値から大幅に異なる値のモノは測定法以外に何か原因がありそうだ)
こうして見るとLZシリーズのマイクはなりふり構わず作り込んでいるのが良くわかります。
ピアノ用X-Yステレオフリー・バウンダリーマイクとLZ-Ⅱはほぼ同一値です。
【インピーダンス測定の実際】 (抵抗置換法による)
①SPから供試マイクに1000HZの信号音(正弦波)を与え、開放出力電圧を読み取る。
マイクとSPは出来るだけ反射のない1m以上の空間が理想的だが、簡易測定ならこれで十分。
デジタル表示のメータで同じことをやって出来ないことはないが、それは死ぬほど大変な作業となる。
②次にマイクロホンとパラレルに可変抵抗(VR)を入れゆっくり回転させる。
開放電圧の2分の1になる点でSTOPする。
この値がマイクロホンの出力インピーダンスに相当する値です。
高価なインピーダンス測定器には及ばないものの、しっかり測定できるのでShinは便利に使っている。
特徴・条件
①このレベルメータはアナログ式でないと非常に使いずらい。
②マイクの測定にはバランス/アンバランス変換の為にトランスが必要。
(バランス型マイクに対し、ダイレクトにアンバランスのレベルメータを接続すると測定器のGNDが浮き、ハムの為正確な測定が出来ない)
Shinの場合は以前紹介したパッシブ式DI-BOX を使った。(単純にトランスを使っても良い)
ちなみに、DIもトランスも高級品である必要はない。
③コンデンサマイクの場合、1-2と1-3間のファンタムの電圧が完全に同一にならない場合2-3間に小電圧が発生する、これがVRに加わり「ガリVR」になる確率が高い事に注意が必要、しかし「とりあえず」の測定は出来る。
※コンデンサマイクの場合、VRは「消耗品」として覚悟する必要があります。
(回避手法もありますが、やや値の変化を伴い、精度に問題が出ます)
以上「抵抗置換法」によるマイク出力インピーダンス測定法でした。
応用すればいろいろな場面で使える便利な測定法です。
PS)
トランス不使用のダイナミックマイクでは2-3間の直流抵抗は出力インピーダンス値と殆ど変わりません、目安にすると良いですが・・・トランスは入っているかも知れませんよ・・・トランスの有無をあらかじめ調べてからにしてください。
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