1223 :ダブルボタン・カーボンマイクを考察、カーボンマイク製作実験 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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過去技術 が現代に突然蘇ることは有り得ないというのが一般論だ。

ところが最近のリボンマイク人気はとどまるところを知らない、あまりにもシンプルな構造のため双指向性である限り当然ながら優れた素性である事は言うまでもない。

 

ところで今、という時代にこういうマイクロホンが現れたらどうだろう。

(音を聴けるサイトもある)

ShinさんのPA工作室 Western Electric の Type 387(ダブルボタン・カーボンマイク)

 

リボンマイクは素直な物理特性と音質が見直され現代に復活した、しかしこのダブルボタン型カーボンマイクからはいったいなにを学び、何を見直そう?。

 

いや ある、このマイクは直径20cmほどある、しかしマイクユニットである「ボタン容器」は中心の直径5cmほどの構造、しかもプッシュプル形式を成す「双指向性」だ、この考え方は今一度見直してよい。

ヒマワリのような音孔もエッジ一周の音孔も音創りに貢献している。

まして、真空管の発明(1906年)直後の製品だ。


ShinさんのPA工作室 別機種だが指揮者とオケの間、歌い手の前にある

 

音質はライツ型とは一線を画すフラットな特性であるのでリボンマイク以前は放送・レコード録音など万能に活躍した時代がある。(大正~戦前)

 

ただ、湿気や電流過大によるカーボン粒の焼付きも見逃せず、時々叩いてやらないと音声の出ない事すらある代物、リボンマイクとは別次元の神経質さ。

 

アナウンス用としては、安定度を改善したシングルボタン、音はナローだが安定したMH(丸毛・星氏)ライツ型カーボンマイクへと移行、玉音放送はこれによる。

 

【ダブルボタン型カーボンマイク復活の歴史があった】

東通工(現SONY)でこの復刻版を試作した際はAMP一切ナシで十分SPを鳴らし、一般拡声及び鉄道車内PA用に考えられた時期もある。(下記)


ShinさんのPA工作室

世界のオーディオ「SONY」 1973年刊より

 

(その記事本文から)

「簡単に申せば、電話の送話器の性能を極度に発展させたもので、これにより音声を拡声し、1本の真空管も使わず壊れやすく邪魔な真空管を不要にしたものであります。出力は2.5W、ただし当社(東通工)のSPを使用することにより、約10Wと称する増幅器付きのものに何ら遜色のない十分強大な音声を発するものであります」という取説文書を紹介している。

 

驚くのはその周波数特性です

150HZ~15,000HZまでほとんどフラットな特性の有している、とまで書かれている。

 

時期的には周囲の情報から判断して1950年台前半であろう

 

昨年、震災直後の記事「サバイバルグッズ」にこの簡易版を紹介していた。

http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-10834096876.html

 

【カーボンマイクについて】

ここに長年保存しておいた高校2年生のときのノートがある、意識して綺麗に書こうとした部分と書きなぐった部分があり、性格は今もそのままだ。

600型黒電話が普及し始め、東京オリンピックの興奮冷めやらぬ頃の事。


ShinさんのPA工作室

東京オリンピックで来日した多くの外国人から「日本の電話機は世界一音が良い」といわれ、つい最近まで電話機開発時の「リファレンス」として600型は君臨した。

何といっても増幅器ナシでも数10Km程度の通話が可能なシステムだ。

 

このノートの上の方に赤線のグラフがある。

単音明瞭度・音句明瞭度・音節明瞭度は厳しく規定され、このころの経験から後年、携帯電話の通話音を極端に嫌った。

 

某携帯電話会社で基地局無線設備の運用管理を仕事にしながら、会社支給の携帯はしまったままWilcomのPHSを使い続けた。

 

10年前まで携わっていたMOTOROLA社PDC型デジタル携帯無線設備で、ただでさえ遅延と聞き取りづらいロー・サンプリングの音声はあやふやなエラー訂正とドロップアウトが加わり会話中の「月島=Tukishima」「新木場=Shinkiba」の判別が困難なほどの通話品質であった。

それをさらに「ハーフレート」という音声無視の処理を行って収容chを稼ぐことすら自らやっていた、もはやまともな「電話」でもなければ音声機器の仲間でもない。

 

 

【カーボンマイクを作ってみた】

材料は下写真の通り
ShinさんのPA工作室

①弁当用アルミ箔

②活性炭入りタバコフィルター

③アルミニウム半田


ShinさんのPA工作室

アルミ箔は0.005mm厚、ノートのT-60の1/3しかない、薄過ぎか。


ShinさんのPA工作室
アルミ箔を活性炭入り金属容器(ボタン)に乗せ、音声を与える。

アルミ箔にしっかりとリード線が半田付け?されているのは異様な光景だ。

 

【結果】

カーボン粒とのひどい接触雑音の中、アルミ箔をうまくあてると自分の声がヘッドホンから聞こるポイントがあった。

これには感動します。

初めて鉱石ラジオから放送が聴こえた時同様だ。

 

!ちょっと待てよ、何の実験なのだ?、「これでは中学の理科の実験か大人の科学の教材だ」

 

そう、「ダブルボタンマイク」を作るためにシングルボタンでテストしていたのだ。

しかし、その昔電話機メーカーに居た時、T-60生産ラインのカーボンはもっとサラサラして細かかった、1個1個暗電流を測っていたようだがもっと安定していた。

 

やはり、冶具や製造設備のない状態でカーボンマイクを料理するのはやはり無茶だと認識した。

 

ダブルボタン・カーボンマイクなど夢のまた夢となった。


 

オソマツ 工事中 でした。

 


 

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