1208 :マイクロホン・クラフト用黒色2芯シールド細ケーブルの選択 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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2024年追記

 

 

★はじめに

カナレのL-4E6Sはマイクケーブルの標準だが・・・・

 

マイククラフトに使用する細ケーブルについては使えそうなものを調べては歩き回って探す以外にありません、カナレ・ベルデンでは使えるケーブルはナシ、さりとてパーツショップにぶらさがっている灰色の「2芯シールド線」などゴメンだ。

 

クラフト(手作り)マイクの細ケーブルには何が求められるのでしょうか。

1.細さ・丈夫さ

2.シース色(黒基本)と風合いの良さ

3.巻き乱れやクセの付きにくさ

4.ケーブルのしなやかさ

5.シールド密度(能力)や外部雑音の受けにくさ

6.誘電体雑音(ケーブルに触れたり変形させた時「ピチピチ」いう雑音)の少なさ。

このような要件を満たすものは本当に限定的なものしかありません。

 

サマになる2芯の細ケーブルって案外ないモノです、パーツショップの灰色の「2芯シールド線」では上記いくつかの要件を満たしません。

 

Shinさん、以前から好んで使用しているのはモガミの3031というケーブルです。

 

これは2.8φの外形で、上記の要件すべてにおいて合格である。(100円/m)


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モガミにはさらに細い2901という外形1.7φのケーブルがある。(100円/m)

このケーブルは編組シールドではないが二重のシールド層はそれぞれ逆向きに巻きそろえている為、おそらくシールド密度では3031を上回ると思う。

 

非網組シールド線のお嫌いな方には向きませんがこの2901ケーブルの欠点は上の1から6の「しなやかさ」の点で1ポイント劣ることぐらいで、さらに細いケーブルの必要な場合はこのケーブルはおすすめです。

 

そんな2芯細ケーブルの分野に最近現れたのがトモカの2B-35というケーブルだ。


トモカ 2B35  外径3.5φ2芯非網組シールド 

OFC材使用 シースカラーは黒。  @35円/m

 

メチャクチャ安いのでどうせ粗悪なケーブルだろう、と10mほど買って帰った。

 

外形3.5φだから見た目はモガミの3031をやや太くした感じだが一重の非網組シールドである為か、実にしなやかなケーブルだ。

また「OFCケーブル」である点も好ましいが・・・

16~7cmおきに「OFC PROFESSIONAL AUDIO CABLE」と白印刷が入っており、やや気になるかも。

 

ハードな使用法でなければ十分使えるケーブル、特筆したいのは安価版ケーブルにありがちな「誘電体雑音」が皆無であることだ。     

そんなノイズなど微塵も無く、それで35円/m とは・・・要するに使い道次第。

 

(誘電体雑音について)

普通なら使用して当然の「ベルデン」「カナレ」などにもある3φ程度の2芯シールドケーブルをあえて避けるのはなぜでしょう。

 

それは共通して「アルミラップケーブル」だからです。

施工用・機器内組み込み用のケーブルですので急激な屈曲に弱く一般のケーブル同様には扱えません、

これは、ケーブルでありながらコンデンサマイクのような動作をしますので、引きずったり、曲げたりすると「バツン」「カキン」「ボツボツボツ」とノイズを出します。

 

このノイズの事を「誘電体雑音」と云い、絶縁物の誘電率が高いほど、シールド網組密度の荒いほど、芯線とシールド導体との機械的関係が不安定な場合にも発生します。

 

 

(5種類のケーブル比較)

黒色2芯シールド細ケーブルについては数すくない中から優れたものを選ぶ必要がある。

さもなければ有り合わせのものを使うしかないだろう。
 

今回は5種類の2芯黒色細ケーブルについてご覧いただこうと思います。
 

さらに最近AISAN の2種類が手に入ったのでこれを加えて5種類を比べてみよう。

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(5種類の黒色2芯細ケーブル)

 

左から:モガミ3031・2901・トモカ2B35・愛三S-MVVS 7/0.12  3(網組)・2(横巻)

※(このうち愛三の網組は3芯です)

 

 

(5種類のケーブルそれぞれの特徴) 拡大してご覧ください
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こんな結果でした。

 

モガミの優秀さは写真を見ただけでわかるでしょ、

①シールド密度・・・トモカの2B35のシールド密度は気になるがAISANの網組もや

  や透いている、「価格相当」といったところだ。


 

②しなやかさは非常に大切な要素だが、肝心なシールド能力が疎かではダメだ。

 

(実技) 

【2芯網組ケーブルのきれいな剥き方】

ところで、今回はモガミの3031を使って細シールドの剥き方を披露します、これはかつて某メーカーに居た時のやり方です、線材の損傷がまったく発生ないのが特徴です。

また、シールド密度の低いAISANでは別な方法で行います。

 

(手順)


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シールド網をしごいて緩め、下部にスキマ穴を作る



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芯線を丁寧にスキマ穴から引き出す

 


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芯線引き出し完了

 


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シールド網を平らにつぶしながら延ばす

 

以上がShinさん流のシールド剥き手順です、細ケーブルでなくてもまったく同じ方法で作業しています。(線材の切れカスが1本も落ちないのが最大の特徴です。)

 

 

次に見ていただきたいのはこれです。

(2901の構造)
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網組シールドではありませんが密なシールド模様です。

 


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内側のシールドは外側と逆向きにキッチリ巻かれています。

※シールド密度は編組をしのぐかもしれない。

 


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ポリ系の繊維で強度を保持させています。


 


たかが細ケーブル、侮るなかれ


 

モノ作り日本もっと元気出せ

 

【おことわり】

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