1140 :「ティーストレーナ・マイク」 ハウジングを強化してペアで登場 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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2024年1月追記

 

ティーストレーナ・スタイルマイクのバージョンUPを考えている間にすっかり涼しくなりました。

 

前回「1133 :サンケンのECMカプセルSU-16(単一指向)を使ったマイクの試作」
ではさぞびっくりされたと思います。

 

読者の方から頂いた貴重なサンケンの16φECMカプセル(SU-16)なので何とかモノにしようとしている間に、次々とインタラプト、気が付くとこんないい季節になっていました。

 

あの合羽橋の「ティーストレーナ」を使ってサンケン製ECM使用マイクのバージョンUP・ペア化をたくらんでいましたがやっと完成した。

100円ショップ版よりは多少見た目が良くなったかな。

 

 

(サンケンSU-16 ECMカプセルを使ったティーストレーナ・マイク)


ShinさんのPA工作室  サンケンSU-16 ECMカプセル使用(16φ)

 

回路は「ファンタム式パナ改」のものをほぼ流用した。

30年位前の放送用マイクロホンの中身を「出力トランスレス」でリファインしたイイ音。

 

当時のサンケン資料を見ると外形15φのCUS-201という楽器・唄用マイク、さらに小さい11.5φ外形のCUS-101というRCA BK-5代替のトーク番組用マイクがある。

両者ともTV放送用ピュアコンデンサ型。

 

SU-16ECMカプセルは16φ、外形20φ~のマイクの中身であろう。

 

 

【音の傾向】

音傾向はC-451Bと比較するとややおとなし目、素性の綺麗な中口径万能コンデンサ・マイクだと感ずる。


ShinさんのPA工作室      ShinさんのPA工作室

外形19φという細身はC-451と同一、ボイス(30~40cm距離のストレート・トーク)ではとりわけ日本語を美しく表現してくれ素晴らしい。

 

この時「I’ts fine today Test!」使い、マイク素性を最大限読み取る。

 

Shinさん、マイクの全体像は大部分を距離を変えたこのボイステストだけで判断しているが、大きな間違いはない、「オフマイク適性」以外のファクターはこれでほぼ判る。

 

それ程までに人声は豊かなスペクトルを含み、かつワイドレンジです、そこが教科書や専門書に書かれていない点です。

 

ShinさんのさんShinテストではC-451Bではバチ音のキツさが目立つがこちらはナチュラルな さんしん音

低域も豊かで、C・F・C本調子調絃をB・E・B調絃(チンダミ)にすると自然感は一層増して好ましい。

 

この少し角の取れたワイドレンジな音は和楽器に向きそうだ。


ShinさんのPA工作室      ShinさんのPA工作室

    表面                  裏面

 

ECMカプセルはFETナシのバック・エレクトレットタイプ。

使用FETは2SK117、ゲート抵抗は1GΩ。

写真を拡大クリックすると内部がかなり透けて見えます。

白い不職布のフロント面も30年程度経過していますので色は変わっていますがこの音はまぎれもなく現代のサウンド。

 

※最大の難題

やっぱり最大の難題は「ステンレスの切断」にありました。

合羽橋の「ティーストレーナ」は100円ショップのとは比較にならない分厚さでこれは往生しました。

 

(ステンレスの柄はこれで切断した)
ShinさんのPA工作室

このように「ミニルーター」でダマシダマシぶった切った。ステンレスの切断にはあまり適した方法と言えませんが、こんなのでも出来るぞ、というサンプルかも。

 

でもちょっと無理をするとこの通り、ここはもっと適切な工具を使うべきだがShinさんのPA工作室筆頭の工作機械。

 

(オシャカになった砥石やドリル刃)
ShinさんのPA工作室
やはりステンレスは硬いゾー、今回の被害者です。(保護メガネを付けてないと危ないです)

そのほか各種ダイヤモンド・チップやドリル刃も大分痛めているはず。

まあ消耗品だ。

 

【ハウジング及びXLRコネクタに至るシールド構造】

AMPHENOLのスタイルに惹かれたが、このXLRコネクタにはGND電極がないのでマイクロホン自体の出力用には向かない、そこでノイトリックのNC3-MXXに変える必要がある。

 

その場合、2本ある凸部の一つをヤスリで擦り落とします。(簡単です)

 

プラスチックスリーブ部分は内側から「導電塗料」=Noise Hell (ポリウレタン用)

をしっかり塗りこんでシールド処理をする。

 

※完全に乾燥するまで「導電性」を示しませんのでブッシングとスリーブの間やブッシングと金属との間は12時間程度時間をおく必要が有ります。

 

 

(シールド・GND構造の秘密部分)


ShinさんのPA工作室 ShinさんのPA工作室

 

①AMPHENOLのXLRコネクタはデザイン的には好ましいのだが電気的に異なる部

 分もある。

 

②Noise Hellなど導電塗料も使いこなせばプラスチック筐体やこのようなケースも簡単に静電シールドが可能になる。

問題はそれをどうやって既存金属やGND金属と一体化するかがこのシールドワザ。

 

③てっぺんのネジは?・・・網が変形したときここを外して小指を突っ込んで直せる。

 

★重大なことを追加します

条件次第で何となくハムっぽいので気になり調べたらノイトリックのXLR電極のGND電極がAMPHENOLのシェルでは電気的に接触しない事が判り、シェルまで含めてノイトリックのNC3-MXBに取り替えた。

 

その結果、残留ハムは完全に消えた。

 

AMPHENOLだけでなく手元にあるノイトリック形状のサードパーティメーカー数社のXLRコネクタのGND導通をあたったところこれは全滅でした、内部まで塗装されているからです、一方ノイトリックはGNDを意識しているのでしょう、中側の塗装はありません。

 

「これで十分だよ」と安い「なんちゃってノイトリック」を使っている方に警鐘!!

 

(最終形状)
ShinさんのPA工作室

 

結局金属シェル部分も「ノイトリック」に取り替えた、そうしないとバランス入力部からの接続はマイクロホン側のGNDが浮いた状態になります。

 

 

 

 

 

 

(Shinのつぶやき)

良い食材を手に入れると、つい料理を作りたくなる人と同じでShinさんもマイク製作に及ぶ。

お試しの1本目でお茶を濁せなくなると今回のように2度手間だけどより良いものを目指す、ハンパじゃない手間の果てマイクが完成すると「もう絶対イヤだ」といつも思う。

またやるとしてもステンレス切断だけはミニルータではゴメンだ。

 

★ こうして非常識アイデアを見ていただいていると、同じものが手に入らなくても何らかのご参考になっている場合が結構あるようですね。

 

 

 

 

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【おことわり】

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                             管理人(Shin)                             
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