1134 :サンケンのECMカプセルSU-16(単一指向)を使ったマイクの試作 | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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2024年1月追記

 

このたび、読者の方のご好意で珍しいECMカプセルを手に入れることの出来ましたので実際に使いながらご紹介いたします。

 

それはサンケン「SU-16」というECMカプセル、現在では「検索」を行っても有効な情報に触れることは困難なようですが、

 

口径16φミドル・ダイアフラム、正面の不職布は白く、FETは専用の2SK-103を外付けするバックエレクトレットカプセル。年代としては1970年代中盤のものと推測。

 

とかくマイクロホンクラフトで2番目に悩むのはケース・ハウジングだ。

 

いや、まともなケースさえあればずいぶんいろんなマイクが作れる訳だが・・・

しかしそう易々と問屋は卸さない、大いに悩んで「手作り」だ。

 

ここはShinさん流「合体式半手作り」でこんなんの出来ました。

Clip Tea Strainerという特殊な茶漉しをバラして作った。

直径5cmの小さな球形スタイルのウィンドガードを持ちますが姿カタチ以上に強い風防効果があります。

 

まず写真をご覧ください(サイズはSM‐58よりひとまわり以上小振り)

50φ(ウィンドガード)×130mm(長さ)×胴体最小径10φ胴体最大径19φ


ShinさんのPA工作室 この写真では左上が指向方向となります

 


ShinさんのPA工作室 ケーブル接続状態

 

 

やっぱり茶漉しにみえちゃいますか? 気のせいですよ、ちゃんとマイクに見えてくるでしょ。

 

マイクハウジングは無指向性マイクでは何とかなっても速度成分を使う「単一指向性」マイクでは

泣く泣く既存のマイクを壊してでも住処にすることさえある。

 

昨年の「レトロ風」冗談マイク よりも何だか決まっていませんか。

 

【回路図】

ShinさんのPA工作室

SU-16はFET外付けタイプのECM 、これ用の2SK-103(ECM用FET)も一緒に頂いた、当初それで組んだがまもなく2SK-117に交換した。

 

カプセルのスペックが不明だが「ファンタム式パナ改」の回路をほぼ流用した。

 

ゲート抵抗は1,000MΩ(1GΩ)タクマン製メタルグレーズ1/4W抵抗を使ったが、3GΩとかもっと高い値の方が良いらしい。

 

また、ECM用FETはたしかに高抵抗だけでなく、2個逆パラの「ダイオードクリッパ」を含んでいるものもありますので音質に影響を与えるはず、非ECM用FETであるお奨めの2SK-117に交換した。

http://doc.chipfind.ru/nec/2sk3782.htm  うーんECM専用FETは気になる、次回別カプセル使用の時あらためてこの辺を実際にふれてみたい。



ShinさんのPA工作室

高抵抗はタクマン製メタルグレーズ抵抗使用 (千石で購入)

上が1,000MΩ(1GΩ) 下が100MΩ、抵抗値によってこういう価格差があります、たかが抵抗だが1GΩとなると結構な値段だ。

 

1GΩ、3GΩなんて「何にもないのと一緒じゃない」と云うなかれ、電気設備の絶縁試験ならどちらも ∞ (絶縁良好)みたいなものだが・・・

 

あっそれからこの1GΩの抵抗ってテスターでは計れないから要注意、

メガー持ってきても無理ですよ。

 

☆ 読者の方より「素手で触ってはいけない」という情報を得て、一旦アルコール洗浄後天日干し、薄ゴム手袋を使って「空中配線」をやり直した

 

 

【工作】

・今回の茶漉しは直径は50mmのステンレス製、切断・穴あけは以前ご紹介した「ミニルータ」 1台で全部済みました。

 

このツールは1台持っておくと工作の幅が広がりますね (しかしステンレスはやっぱり硬い)硬い材料に小孔をあけようとドリルチップではボキボキ折れるが「テーパーリーマの1/50スケールのような傘型チップとダイヤモンドチップを併用して楽に1mm台の孔が空く。

 

・2つの茶漉しの間にスキマは禁物、GNDにきちんと接続すると誘導音はピタリと止まる。

 

ウィンドガード下の部分は「AMPHENOL」XLRコネクタである「AC3MMB」 を使用、ネック部のテーパーカーブが気に入りました。

 

ShinさんのPA工作室

スケール上にあるのがサンケン「SU-16」のカプセルです、使用跡のある年月経過したものです。

 

【音質】

プレゼンスピークはなく、フラットなワイドレンジ感は典型的なかつての「BTS1級」的な音。

 

 

30cm未満で発する日本語のスピーチ実に美しく表現してくれる。(他国言語では違う結果となるだろう)

完全なオフマイクでの収音はこれからの課題であるが器楽音では和楽器に非常に合いそうである。

 

 

 

 

 

「沖縄さんしん」を弾きながらヘッドホンモニタでいくつかのマイクと比較してみた。

 

 

≪C-451B・・・低域の豊かさと楽器との相性はSU-16の方が上、不要なアタック音は感じられない。

 

≪fet-u1と≫・・・ほぼ上記と同じ(特性がC-451Bと酷似しているため)ウリ2つ

≪C-391Bと≫・・・・キャラクタがSU-16と非常に似ており、どちらもフラットで良質なため刺激性の音は感じられない。

 

≪fet-u2と≫・・・ほぼ上記と同じ(特性がC-391Bと酷似しているため)

 

≪東芝Bベロと≫・・・アタック感はむしろリボン型の方が強く感ずるのは意外、高調波成分がやや異なるようだ、今回比較した中ではBベロの音によく似ているが、音の品位はさすがBベロ(OB-1161)に軍配が挙がる。

 

 

【マイクハウジング】

茶漉しの小さいの(直径5cm)を2つあわせると、何となくこういう形状のマイクを連想してしまうので、それをそのまま形にしてみた。

 

※フォーリーフ社のまだ使ったことのないECMカプセルを数種類入手してありますが

かなり優れたものがありますので、このハウジングをいくつか作ってみようかと思います。

 

 

 

筒形状の材料を使った加工・チューニングの難しさを考えると夢の様に簡単に素直にカプセルの性能が出てくれるようですので指向性マイクの入門用ハウジングには「茶濾し」は非常に向いていると思います。

 

 

 

 

 

ただ5cmという小さい茶濾しは非常に入手しづらいと思いますが最終的にどこで手に入れたのか覚えていない(ダイソー・キャンドゥ・Seria・Silk???) 

レバーを握ると2つの茶漉しがパカパカ開閉するもの、しかも50φと小さい。

 

のちにClip Tea Strainerという名称が判明した。

 

類似で「ボール茶濾し」というのがある、100円ショップになくてもアマゾンや楽天でも簡単に手に入る、サイズは45~50mmモノが適切である。

 

 

 

高抵抗を求めにアキバへ行くと裏通りに「桜・稲垣早希」ちゃんが・・・アスカ

http://www.mbs.jp/888/blogtabi/archives/201107/  

なんだ、エヴァンゲリオンのアスカのコスプレしたメイドさんがチラシを配っていただけだった。

                                 だよね^^;

 

(おしらせ)

fetⅡ、fetⅡi、measurement-fetⅡほか、ご注文により人気機種の製作を承っておりますのでお問い合わせください Shin



 

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