※ この記事は公開から13年以上経過していることにご留意ください。
2024年1月追記
※本日現在このECMカプセルがまだ手に入るため緊急記事にしました。(2月3日)
(2月30日午後、終わりかけてはいますがまだ入手は可能でした。)
※入手を逃したかたはShinまでご連絡ください少量ならお分けできます
そう、ボーカル用コンデンサマイクをつくってみましたよ。(ファンタム電源動作)
(クラシックプロCM 5の外ケースをそのまま流用)
こうして見るとファンタムを入れるのが何とも不思議な気分になる。
ボーカルマイクの大事な要件のなかに「色気」というファクターまである、どうだろうこんなおバカな攻め口だが・・・
コンデンサマイク(ECM)の自作は誰でも手を出しやすく「録音用途」であれば簡単に
成功する。
しかし、PA用途を主体とするボーカル用単一指向性コンデンサ型ではかなり難題をクリヤーさせる必要がありますが、幸い今回は実にキレイにまとまったようです。
ただし、汎用の一般録音には絶対にお奨め出来ないマイクでもある。
アキバの定番コースに「千石電商」があります。
最近本店の近所に店舗を増やしつつありますが、これは本店の話。(1月下旬)
アキバでECMカプセルが手に入る主な店は秋月電子通商と千石電商くらいですが、実際のところ秋月のECMしか使い物にならないのは有名な話。
ところが千石電商本店に入った右床上、ダンボール箱に「処分品」のようなECMカプセルやお宝がゴロゴロ。(2月3日現在確認済み)
この界隈、年度末になると妙なものが出没するが、このダンボールの中は正体不明のECMカプセルばっかりで30円均一、アルミのシェルがややススけた単一指向性ECMがかなり混じっているので足が止まった。
何だかわからないけれど一掴みほど手に入れてみた、 これがアキバの原風景だ。
この店は普段「ホシデン」のカプセルを置いているので、もしかすると・・・??ですが正体は全く不明。
とにもかくにも「単一指向性ECMはアキバにはロクなものがない」はずなので、たいして期待もせず無駄使い?円也。
30円の単一指向性ECMの正体は?
サイズはこんな感じですね、約9.5φです。
【音は ? 】
さっそく「ファンタム式パナ改マイク」のAMP部にセットすると無事に音が出た。
「ン!?」ちょっとこの音・・・!!
・・・ただし逆相だ、そんなのは如何にでもなる。
吹かれるので10φ用のWSを付けてポラリティを変えもう1度。
「何だ、この音!・・・エーッ?本当かよ」SM58・・・ベータ58・・・ベータ87・・・いやいや
立派なボーカルサウンドだ、ただただフラットな訳ではなく、単にプレゼンスピークがあるわけでもなく、近接効果を活かした低域~前に押し出す中域、プレゼンスピークを経て綺麗に伸びて落ちる高域、ボーカルサウンドとして全体が実に整っているではないか。
しかし、とにもかくにも他にボーカル用ECMカプセルを探しまわっても、なかなかこの音にはたどりつかないだろう、高品位なボーカルユーズのECMカプセルだ、とんだ拾い物である。
キャラクタ的には女性ボーカルに向きそうであるが、近接効果のまろやかな低域、決して耳に痛くない整った中域、品のあるプレゼンスピークを持ち高域は必要以上に強調もしておらずきっちりとボーカル音をまとめている。
指向性も見事なもの、ハウリングマージンはSM58と同一クラス、タッチノイズはむしろ58よりも静かなくらいで手持ちボーカルマイクとしての要件はすべて整っている。
(Shinさん、マイク音質の判別は一瞬でやるのが特技、時間はかからない)
【ECMカプセルの電極部】
何か季節はずれのハロウィンみたいですけど・・・
謎の9.5φ単一指向性ECMは3線式なので大変使い勝手が良いです。
Shinさんお約束の「ソースフォロワ」動作です。
ボーカルの高音圧に柔軟に追従し、歪み知らずの高音質
(バックエレクトレットECMの場合と差動入力部が逆使用になります)
回路基板は「ファンタム式パナ改」と同様、XLRコネクタ部に仕込みましたが、ケースサイズが大きいのでマイク側や、持ち手部分を広く使っても大変作りやすいと思います
【ハウジングケース】
さてハウジングケースをどうするか・・・迷うことはない、骨までしゃぶりつくしたクラシックプロのCM 5の残骸がコロガッている。
これに組み込むことにした、かくしてShinさん初のボーカル用コンデンサマイクとなりました。
ケース(ハウジング)さえ何とかなれば楽器用クリップオンにも適しているはずであるが機会をあらためます。
ボーカルマイクのハウジングケース、この手作りだけは絶対お奨めしません。
クラシックプロのCM 5を1本いけにえに・・・980円をケース代にしても安いものです。
(しかしあのグリルのインナースポンジは欠陥ですからね!!)
【組み込みの様子】
ECMカプセル取り付け基板は「ブチルゴムテープ」によってデッドニング。
この効果は絶大で、他の事例に転用も利くと思います。
フェルトを硬く詰め、その大きな音響抵抗によって持ち手部分内部でのレゾネーション(共鳴)を防止。
この結果、持ち手部分内部にはあえて吸音やデッドニングなど必要ないところまで追い込みました。
これらの結果、手摺れやタッチノイズもしっかり抑えられSM58を超える静かさです。
【問題の起きた点・改善した点】
①擦雑音及び「鳴き」
・ケース上半分内部にフェルトを硬く詰めてレゾネーション動作を鎮めた。
・CM 5のユニットを収めていたゴムケースを流用し、フローティング構造の強化。
・ECMカプセルをマウントした基板の「鳴き防止」のため基板をブチルゴムテープでデッドニング処理を行った。
(これは実際に音を出し、ショックを加えながら効果を確かめていった)
②高域偏重
・CM 5のインナースポンジは欠陥のため取り去り、グリルボール内にフェルトを敷き詰めて音質のチューニングを行った。
(CM 5のインナースポンジでは「スコン」と低域不足の高域偏重音、SM58のグリルボールに交換するだけで「ガラッ」と普通の音に・・・、結局CM 5の改造同様にフェルトを使ったチューニングで収めた)
③逆相
・このECMはバックエレクトレット型ではなく、膜エレクトレットタイプのため出力が逆相となる。差動AMPの入力部を逆にした。
XLRコネクタの②~③の入れ替えでも同じ結果が得られる。
④残留ノイズ
・小レベルのホワイトノイズが感じられるが実用上問題ない(ECM8000の1/10以下)
手製ですが質の高いボーカル用コンデンサマイクの完成となりました。
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追加)
うーん
これはプリモのEM-127ですが、孔数と電極構造、サイズがわずか違う、特性も・・・・・
どなたか今回のECMの正体わかる方、Shinさんに教えてください。
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