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2024年1月追記
マイクロホンの製作記事はWebを探すとそこそこ見つかるものです。
しかし業務用を指向したマイクロホンクラフトはまずその機会はありません。
また、バウンダリーマイクは前例すら無いと思います。
このブログ「マイクロホンクラフト」のテーマでご紹介している中で、ファンタムパワー動作のマイクは全て業務用途として設計しております。
前回のBLM-fet 1 はそんな中で「現場で使えるマイク」を強く意識して開発致しました
そうするとBLM-fet シリーズ第2弾は当然この BLM-fetⅡ でしょう。
前作fet-1 では13.7φのプレゼンスピークを持つUEB-5361 カプセル を使用しましたが今回使用したカプセルはフラットなUEB-5261 です。
このキャラクタの違いは音源と目的により使い分けできると思います。
(2つのマイクを並べてみた)
◎「前回作ったヤツのマイクカプセルだけ変えただけじゃないの?」と心配されないように2台を並べて写しましたヨ ^^v
左 BLM-fet1 右 BLM-fetⅡです、シールをジーッと見ない限り全く見分けはつきません
(左)BLM-fet 1 :UEB-5361 カプセル使用 セリフなどがクッキリ浮かび上がる音作り
(右)BLM-fetⅡ :UEB-5261 カプセル使用 生音とPA音がシームレスにつながり、電気音を意識させない自然さ
BLM-fetⅡはフォーリーフ社 製10φのUEB-5261単一指向性ECMカプセルを使用しております。
ちなみにPCC-160の使用カプセルも同口径10φの単一指向性ECMカプセル使用です。
しかしそれに比較し、カプセルのグレードと使用回路に決定的な優位性がある、と見ましたのでBLM-fetシリーズはそれを上回る音質を指向しています。
※PA(モニター)をセットし、このマイクを床に置いた状態でやや大きめの声でボイスチェックしてみると妙な感覚に包まれているのにハッとします。
それは「自分の声がそのまま出ているのか、拡声されて大きくなっているのかが区別つきにくいまま響き渡っている」不思議な感覚を経験することです。
それはSM58などを使ったボイスチェックPA音・返し音に慣れている程、ある意味新鮮な感動でもあり、これこそがこのマイク最大の優れた点であろう・・・(マイク・PAを意識させない手法)
これは「ファンタム(隠れた)SR」呼ぶべきか、新しい拡声ジャンルの入口なのかもしれない。
このカプセルUEB-5261と5361を使った前作のfet-uⅡとfet-u1 は先月、クラシック系コンサートにおいてマイクの使用・PAを意識させない特殊PAをまかなった前歴持ち。
一層現実味を帯びてこのジャンルの可能性を考えさせられます。
【製作】
前作BLM-fet1 との違いはマイクカプセルのみですので製作上の迷いはなく、むしろ前回の問題点をここで解決して置きました。
キャラクタの違いのみの兄弟、BLM-fetⅡ はナチュラルなバウンダリーマイクです。
(前作の(BLM-fet1 )からの改善点)
①風防とシールドを兼ねたメッシュが(銅)が外側から見えるので、黒色艶消し塗装をおこない、外観上黒一色にして違和感をなくしたトーンにした。
同時に銅メッシュ~アースポイント間の配線に絶縁チューブ処理。
銅メッシュにブラッセン黒色艶消し塗装を施した
②収音部(プラスチック製)はハメコミ構造ですが、カバーの固定にネジ止めを加えて、堅牢化した。
ネジ止め箇所(3箇所)
③BLM-fet-1でのケーブルは3.0mでしたが、この手のピックアップマイクの場合、適度に長い必要があります。
中には10mという物までありますがより実質的な4.5mとしました。
(今回の改善点を見習い、前作品も同一の改善を図りました。)
(主な仕様)
方式 : バウンダリー型コンデンサマイクロホン(ECM)
指向性 :半球形前方指向性(ハーフ・カーディオイド)
ファンタム電圧 : 18V~48V
使用カプセル : UEB-5261(単一指向性ECM=フォーリーフ社製)・・・10φ
サイズ : W 110 D 97 H 35
重量 : 320g(ケーブルを除く)
動作電流 : 2.0mA(48V時)
マイク側出力コネクタ: ミニXLRオス(平衡出力)
ケーブル :モガミ3031使用 4.5m IN側・・・ミニXLRメス OUT側・・・XLRオス
(ご注意)非業務用のマイクアンプやオーディオI/F、格安卓など低品質のファンタム環境での動作は保障できません。
(回路図)
(考察)
①このバウンダリーマイクは60度以上上方も指向範囲に入る為、予想外の音まで収音します。
②UEB-5261と5361の2基搭載したマイクも面白いかもしれない(SW切り替えか?)
③バウンダリー・レイヤーマイクロホンは歴史的にも非常に新しい技術である為、まだまだ手の付けられていないアプリケーションもあるはず、無指向性タイプの多数派方式にも手を伸ばしてみるとこの分野の可能性は、はかり知れないものがある。
④ファンタム(幽霊・隠れた)SR・・・(仮称)というアプローチはPA(SR)の新しい可能性を創りだせるかも知れない。
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【おことわり】
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