0917: 公道越えのワイヤレス伝送PA | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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この記事は公開から14年以上経過している事をご理解下さい。 2024年1月追記

 

秋のイベントシーズン真っ只中。

どうしても公道をまたいで音響信号を飛ばさねばならない場面は案外発生します。

 

レイテンシー覚悟の無線LANという選択もあるでしょうが今回はこんな攻め口です。

また、この無線伝送は限られた機材のなかでテンポラリーに使えるテクとしても有効です。

 

(実施する前に)今回のテーマは安易にマネしないでください
 

※ 適正に法解釈された上でお願いいたします

 

 

(公道越えのワイヤレス伝送PA)
Shure
のワイヤレスマイクは「マイクカートリッジ部分」と「送信機部分」との電気的接続構造がどの機種も統一され、セットの価格とは関係なくほぼ下図のようになっています。

※他社製品はわかりません。

(Shureの資料より部分引用させていただいております)

 

 


ShinさんのいたずらPA工作室 (オリジナルのPDFに加筆してあります)


 


ShinさんのいたずらPA工作室 図面右上部分の現物写真です(EUT24の例)

 

シルク印刷で接続部分はしっかり表示されていますので送信機部のAUD-INとGND間に伝送信号を加えます。

 

◎この部分はMICレベルではなくLINEレベルになっていますので卓の送りレベルを合わせてアンバラOUTからの信号を入力します。

 

受信機側の出力を測定しながら、この入力レベルは (最大-10dBvである事を確認しました)
 

(結果・実力)

の某学園祭では「よさこい」同様の2~300人の踊りの隊列で移動車(山車)2台にそれぞれPAをセットして流し踊りの振りを全員シンクロさせ、好評を得ました。

威力を発揮したのがこのワイヤレス装置で、無線区間は約20m位です。

また送受信区間が建物でさえぎられる場所も4箇所あります。

それでも20分間の移動演技中、一瞬の「プツリ」があった程度でした。(Shure EUTシリーズ使用)

山車の振動でクリップが外れないようにガムテ巻きし、送信部を袋に入れ、山車の高い位置ににヒモでぶらさげる方法をとりました。

 

2年程前公道(9m)をはさんだ向こう側へのPAサービスを依頼され、1時間ほどですが同じシステムで行った事があります。

信号ケーブルを長くし、クリップが外れないようガムテでグルグル巻きにしてマイクスタンド目いっぱいの高さまで上げました。

通行量は片側で1分間10台以上ある道路ですが、音切れは皆無で終わりました。


 

◎音質は、いわば「ワイヤレスマイクと有線式」との違い同等、当然「コンパンダ」処理された音になりますが音質上の違和感を指摘する方は皆無だと思われます。

 

Shureの製品ごとに差は出るものの、少し古い私の「EUT24/58」の流用ではお客様には全く気付かれない品質でした。他機種でも同様の結果を得られると思います。

 

(問題点)

送信機(TX)側の電極接点にクリップを挟みますが、この事により確実に接点を痛めまので、極力ダメージの少ない挟み方、またはここにストレスを与えない方法を考える必要が有ります。

 

 

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(電波法上の問題) ※実施をお考えの方は必ずお読みください

 

私Shinは電波法上の一切の責任を負いかねますのでご注意下さい。

②なお、この接続に関しては適正な法解釈だけがカナメであり、特段の免許・資格は必要ありません。

 

電波法の「無線設備規則」の中にワイヤレスマイク(特定ラジオマイク)について次の規定が有ります。

考察の結果、私Shinは「合法」と判断しておりますが、「違法だ」と言われた場合、法的な説明責任が生じます。

その場合、「知らなかった」あるいは「このブログに書いてあった」では通用しません。

 

 

(抜粋)

第四節の十三特定ラジオマイクの陸上移動局の無線設備
(特定ラジオマイクの陸上移動局の無線設備)

この中に次の規定があります

3.6 筐 体 (設備・第49 条の16)(告示・平成元年第698 号)
送信設備は一の筐体に収められており、かつ、空中線端子を備えず、容易に開けることができないこと。ただし、次に示すものは、この限りでない。
ア 電源設備
イ 送話器
ウ 附属装置その他これに準ずるもの
エ イヤーモニター用ラジオマイクの無線設備の空中線、分配装置及び回線補償装置

 

つまり、電池交換用の開け閉め部分、カプセル交換可能なマイク(送話器)部分などは簡単に(容易に)開けて良いという規定です。

 

この法解釈上、クリップで電極をはさんで送信部より電気信号を加える事は私の判断ではと判断しておりますが半田付けした場合、違法改造」とされる可能性が高いです。

 

送信部は「容易に開けられない」構造ですので開けませんが、この信号入力電極の扱いについては特段の規定は存在しません。

 

しかし、関係機関より「違法である」と指摘された場合、正当性を以って反論する自信のない方はこの「ワイヤレスマイクを使った無線伝送」はおやめ下さい。

罰則を受けたり、係争に至った場合、あくまでも実施した個人責任として対応することとなります

 

この種の取り締まりは管轄の電気通信管理局だけでなく、通報・指摘さえあれば専門知識のない警察官に想像外の判断を下される可能性もあります。

 

指摘されなければ何も起こりません。

 

 

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【おことわり】

★ここで公開している回路・写真・説明文などはアマチュアの方、音響業界の方でハンドメイドまたは試験評価なさる場合の参考として考えております。
 

★製作物・加工物の性能・機能・安全性などはあくまでも製作される方の責任に帰し、当方(Shin)ではその一切を負いかねます。

 

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                             管理人(Shin)

 

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