<2/5追記>

今度、【死について考える】シリーズを

何遍か書こうと思い、

本記事をその1番目と

することにしました。

 

 

(関連記事)

【死について考える1】
 安楽死と相続の問題(本記事)
https://ameblo.jp/shimpo-shiho/entry-12566141955.html
【死について考える2】
 「死にたい」と言われたとき……(1)

https://ameblo.jp/shimpo-shiho/entry-12571169243.html
【死について考える3】
 「死にたい」と言われたとき……(2)

https://ameblo.jp/shimpo-shiho/entry-12573038105.html

【死について考える4】

 死の受容と音楽療法

https://ameblo.jp/shimpo-shiho/entry-12572471624.html

 

 

(以下本文)

今回の投稿は、下記のブログ記事

に啓発されて書いたものです。

というか、下記記事にコメントを付けましたが、

それを詳しくしたのが本投稿です。

 

義父は安楽死で亡くなった

https://ameblo.jp/iitoki0204/entry-12565323643.html

(なお、リブログはできない設定のため、

リンクのみ貼りました。)

 

↑のブログ、介護・福祉関係の

話題を中心に、常に本音で

問題提起されており、

意見はそれぞれ分かれるところも

あると思いますが、

私は有益な記事が多いと思っており、

いつも勉強させて頂いております。

 


1 言葉(概念)の整理

さて、安楽死について考える前に、

まず整理しておいた方が

良いことがあります。

 

安楽死」、「尊厳死」、

さらには「脳死」、「植物状態

の違いはお分かりでしょうか?

 

また「延命治療(医療)」と

緩和治療(医療)」については

いかがでしょうか?

 

この辺、混乱してままでは、

議論をしていても意味がないので、

よく分からないという方は、

まずは次のサイトなどでご確認下さい。

(検索で上位のものを紹介しています)

 

(1)尊厳死安楽死の違い

https://www.tarui365.co.jp/column/16.html

(某葬儀社のサイトですが、

詳しく書かれています。)

 

(2)一般財団法人 

 日本尊厳死協会 Q&A

https://www.songenshi-kyokai.com/question_and_answer.html

(こちらに、「尊厳死緩和医療

関係を教えてください。」
尊厳死とは安楽死とどう違うのですか。」

という設問があります。)

 

(3)「尊厳死宣言公正証書」について

http://www.koshonin.gr.jp/business/b06/q0603 (公証人連合会)

http://www.k-kosho.jp/b2.html (京橋公証役場・費用も)

 

(4)脳死植物状態について

(岡山県臓器バンク)

http://www.okayama-zouki.or.jp/noshi.html

 

 

2 刑法上の問題

法律上の問題というと、

まず思い付き、かつ重要な問題は、

殺人罪」あるいは

自殺関与・同意殺人罪」に

当たるかどうか、です。

 

これも大変難しい問題で、

国によっても違いますし、

現行の裁判例が、

法律的にはどうなのか、

法律外の問題としてはどうなのか?

多くの議論があり、どれが本当に正しいのか、

簡単には言えない問題です。

 

 

3 もう1つの、本質的ではないが、

 法制化を難しく

 している問題……「相続

 

これが、今回、私が

取り上げたい問題です。
相続なんて、亡くなってからの話で、

しかも財産の話ですから、
本当は、「本人の死生観」や

苦痛軽減について」の方が、
重要であるべきことは

十分認識しております。
 

ただ、「法制化」となると、

下記のような問題があるため、

これについても、

考えられないといけないわけで、
そのため、法制化が遅れる

原因にもなっております。

 

また、「死生観」「苦痛軽減」を

重視する見地からも、

遺産目当ての安楽死等を

させない法整備や

制度設計が必要だと思います。


(1)相続人になる要件

 ……同時死亡は?

まず、相続するには、

亡くなった方より、
一瞬でも長く生きている

(=本人死亡時に生存している)

ことが必要です。
「同時死亡」でもダメなのです。

 

※ なお、事故や災害で、

どちらが先に亡くなられたか

分からない場合は

どうするかといえば、

同時死亡の推定」と言って、

同時死亡として扱う

(=お互い相続人にならない

規定があります。

 


(2)に、

 二人の間の子がある場合

も、ともに死期が近いとします。

(珍しいことではありません。)
相続人が、このお二人の間の

子だけであれば、
どちらが先に亡くなっても、

親の財産は、

いずれは子に相続されます。

ですので、子が複数で

揉めることは別として、
死亡の前後によって、

さほどの問題は起きない、

と思います。

 

 

(3)夫婦が再婚で、

 この夫婦間には子がないが、
 前婚での子(いわゆる連れ子)が

 双方にいる場合、

この場合、死亡の前後で大きな差が出ます。


 ①まず、が先に亡くなる場合

    を考えると、

    相続人は、夫の子(1/2ずつ)、
  ②次にが無くなると、

    もうはいないので、

    妻の子だけです。


 すると、夫の子は、

 ①で夫財産の1/2を得ますが、
  妻の子は、

  妻財産全部(②)+夫財産の1/2(①→②)

  を取得することになります!

 しかし逆に、が先死亡

 だったとすると、
 夫の子は、

 夫財産全部②+妻財産の1/2(①→②)
 妻の子妻財産の1/2①のみ

 の取得です。

 つまり、このケースでは、

 自分の親が後

 亡くなってくれた方が得

 ということで、

 死亡の前後が相続に

 多大の影響を及ぼすわけです。


 そうなると、自分の利益を狙って、

 実親の延命を求めたり、
 あるいは義親の延命を拒否したり、

 という親族が出てこないか、

 という問題があることが、

 お分かりいただけると思います。

 

 ※ なお、この場合、

 それぞれが相手の連れ子と

 「養子縁組」をすると、

 「養子は実子と同様」に扱うので

 (なお、相続税の計算は別ですが)、

 (2)と同じような、あまり

 ややこしくない話となります。

 ただし、もちろん、

 人間関係の視点もあるので、

 相続のためだけに養子縁組をすると、

 別の問題が出てくることもあります。

 

 

(4)夫婦間には子がなく

 (連れ子もなく)、

 双方に兄弟姉妹(注)

 がいる場合、

 この場合も、死亡の前後で

 大きな差が出ます。

 

 (注) 先に死亡した

 兄弟姉妹がいる場合、

 死亡した兄弟姉妹の子

 (本人から見れば甥姪)までは、

 相続人になれます

 (代襲相続と言います)。

 以下、これらをひっくるめて

 「兄弟」と呼びます。


 ①まず、が先に亡くなる場合

    を考えると、

    相続人は、妻(3/4)夫の兄弟(1/4)
  ②次にが無くなると、

    もうはいないので、

    妻の兄弟だけです。


 すると、夫の兄弟は、

 ①で夫財産の1/4を得ますが、
 妻の兄弟は、

 妻財産全部(②)+夫財産の3/4(①→②)

 取得することになります!

 しかし逆に、が先死亡

 だったとすると、
 夫の兄弟は、

 夫財産全部②+妻財産の3/4(①→②)
 妻の兄弟妻財産の1/4(①のみ)

 の取得です。

 つまり、このケースでは、なおさら、

 自分の兄弟姉妹が後で

 亡くなってくれた方が得、ということで、

 やはり死亡の前後が

 相続に多大の影響を及ぼすわけです。

 

 

(5)夫婦間には子がなく

 (連れ子もなく)、

 片方にだけ兄弟姉妹

 (以下、兄弟)がいる場合、

 

 (4)の応用編ですが、この場合も、

 死亡の前後で大きな影響が出ます。

 仮に、に兄弟がいない(一人っ子)とします。

 

 ①まず、が先に亡くなる場合を考えると、

   相続人は、だけなので、

   妻が全財産取得、
   ②次にが無くなると、

   もうはいないので、

   相続人は妻の兄弟だけです。


 すると、妻の兄弟は、

 妻財産全部(②)+夫財産全部(①→②)

 取得することになります!

 (まあこれは、さほど問題なし)

 しかし逆に、

 妻が先死亡だったとすると、

 どうなるでしょうか?

  妻の兄弟は、(3)と同じで、

 妻財産1/4(①のみ)の取得です。

  では、の相続人は??……

  誰もいません。。。。。。

 

  相続人がいない場合は、

 どうなるか……ですが、

  原則(注)国庫帰属(=国に没収)

 となってしまいます。

 

 (注)「原則」と書けば、

 普通は「例外」があります。

 例外として、特にお世話をした人への

 「特別縁故者」制度や、

 共有物の場合には、

 他の共有者に帰属する規定があります。

 

 「国にもお世話になったから

 国に寄付で良いです!」

 という方ならそれでも

 良いのですが、私の経験では、

 「嫌がる人がかなり多い」です

 「税金取られた上に、

 さらに没収ですか?!」という感覚?


 これを解決するのは、基本「遺言」でしょう。
 「遺贈」と言いますが、

 遺言によって、相続人ではないけど、

 お世話になった(あるいは活動に賛同する)

 親族・他人・団体等に、

 死後、財産を譲ることができます。

 

 ですから、一人っ子が結婚して、

 子がいない場合には、

 原則、「遺言が必須」と言えます。

 

 ただ、こういう知識がない方の場合や、

 急に亡くなられた場合には、

 遺言が書かれていない

 ケースもあり得ます。
 そのような場合には、

 国ではなく自分たちが

 遺産がもらえるよう

 操作できないか、

 と思う人が出てくる

 可能性があると思います。


(6)の死亡の先後

 問題となる場合

このケースは、これまでの

(2)~(5)とは少し違う話です。

 

大体、人間は年齢順に

亡くなっていきますし、

その方が幸せとも言えます。

 

しかし、事故や災害に

巻き込まれて、

親子とも危篤状態ということも

無いとは言えません。

 

話をなるべく簡単にするために、

だけ(母はすでに死亡)、

は1人で、「」と、

」(から見てですね)

がいる、という設定とします。

 

 の順で死亡した場合は、

 の遺産を、

 まずすべて相続します。

 次にが亡くなると、

 子の相続人は、

 「」と「」()です。

 

 したがって、「から相続した財産」と、

 「の固有財産」

 (子が元々持っていた財産)との両方を、

 「」と「」()が、

 1/2ずつ相続します。

 

 では、の順で死亡の場合は、

 どうなるでしょうか?

 ①の死亡により、

 「の固有財産」のみ

 「」と「」()が

 1/2ずつ相続します。

 

 ②次に、が死亡した場合、

 子がいないので、

 そのの権利を、が受け継ぎます

 (これも、代襲相続です)。

 しかし、代襲相続は、

 「」はできない規定なのです。

 したがって、「の財産」は

 すべて「」()が相続します。

 

 もちろん、家族間の関係が

 良好であれば、

 あまり大した問題には

 ならないでしょう。
 

 しかし、「」が

 他の親族と不仲の場合などは、
 死亡順を操作して、

 「」に親の財産が

 行かないことを画策する人間が

 いないとも限りません。


(7)まとめ

以上、いくつかのケースを

解説しましたが、

中々ややこしい話

だったかもしれません。

 

さて、「「本人の死生観」や

苦痛軽減について」が重要」

「遺産目当ての安楽死等をさせない

法整備や制度設計が必要」

などと言っても、

言うのは簡単ですが、しかし、

親族の訴えが、

「真に本人のためを思ってのもの」なのか、

それとも、「遺産目当て」の

ものなのか、というのは、

心の内側が見えない以上、

区別は困難であるとも思います。

 

本当は、「尊厳死公正証書」が

証拠力は高いですが、

それでなくとも、「エンディングノート

あたりでも良いので、

ご自身がお元気なうちに、

お考えを示しておかれるのが

良いかと思います。

緩和治療、臓器移植等の可否も)

 

また、遺言も、「必要性が高いケース」、

「あった方がスムーズなケース」、

「無くても何とかなりそうなケース」

など様々ですが、

気になるようでしたら、取っ掛かりは、

時々ご案内している

無料相談などでも良いと思いますので、

それらを活用して頂いて、

情報を得られると

よろしいかと思います。

 

 


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