また後見制度の話か、と言われそうですが、

この種の記事が多いこと自体、

後見制度に問題あり、と言わざるを得ない気がしております。

 

夫が認知症に…

 赤の他人に財産を管理される60代妻の悲劇

マネーポストWEB 2020年1月5日 16:00

(女性セブン2020年1月2・9日号)

https://www.moneypost.jp/614157

 

全文転載は著作権の関係で避けますが、

一部引用と私のコメントなど。

 

「松田さんは、……必然的に法定後見制度を選ぶことになったが、

これですべてが解決すると安心したのも束の間、

最悪の現実が現れた。」

「弁護士の外岡潤さんが話す。
「『法定後見』は、後見人に弁護士や司法書士などの

専門家が選ばれることが多く、申し立てをした親族が

選ばれないこともあります。」」

 

⇒これについては、私も下記の投稿をしたことがあり、

 見直される方向かと思いますが、

 しかし、具体的にこの方向になってきたという話も、

 (私に情報が入らないだけかもしれませんが)

 あまり聞きません。

 

成年後見人には「親族が望ましい」 最高裁、考え方示す

2019-03-18 23:43:14

https://ameblo.jp/shimpo-shiho/entry-12447938060.html

 

「後見人が指名されると、本人が死ぬまで

後見人が財産を管理します。

そのため、親族はもちろん本人の望むものも

自分の判断で買うことができなくなるのです。

お菓子や日用品ひとつ買うのも制限されるケースも

あると聞きます」

 

⇒一応、「本人意思の尊重」も謳われておりますが、

 現実には後見人の裁量のため、

 人によりけり、かもしれません

 私なら、高額で、生活が将来破綻するかも、

 ということでなければ、本人意向は尊重しますが……。

 

 (だから、お菓子・日用品のレベルまで制限というのは、

 本来は、生活保護受給者など、

 低所得者のような場合に限られるはずだと思うのですが……。)

 

 また、家族については色々の立場の方がいるので

 (財産狙い、将来の遺産狙いの方も残念ながらいます)、

 一概に言えませんが、ただ、本人思いの方のご意見であって、

 本人の意向も(おそらく)そうであろうと思われれば、

 可能な範囲であれば、私はやってみます。

 

 また、もし法律的には原則不可なことでも(贈与等)、

 それが社会通念上(≒社会常識的に?)

 もっともなお話であれば、家裁に上申書を書いて

 許可が出る可能性があるのであれば、

 上申書を作って出してみますけどね。

 (ただ、上申書を書く手間はかかるし、

 その手間が報酬に結び付くかというと……、

 そうでもない気もして(?)、

 だからやらないという人も、それなりにいるのかもしれません。

 

「2か月に1回、来るか来ないかの“赤の他人”に、

なぜ家のお金を管理され、

報酬まで支払わないといけないのでしょうか。

夫はどんどん悪化しているし、相談もできない。」

 

⇒相談に乗らないのはまずいと思います。

 (上記のような財産狙いの方の

 クレーマー的なお話なら例外ですけど。)

 

 お話を伺ったうえで、内容がごもっともで実現可能なら、

 実現させるべきですし、(法の不備も含めて)

 実現困難であるなら、そこをきちんと説明すべきと思います。

 

「外岡さんが語る。
「法定後見制度は、全ての人にとって

必ずしもよい制度とは言えません。

本人の判断能力があるうちに、

任意後見制度を活用することが何よりの対策です」」

 

⇒これには、半分賛成、半分疑問です。

 法定後見制度に問題ありというのは賛成、

 ただ、任意後見制度は、いわばオーダーメイドの制度で、

 制度設計に、手間とお金がかかることもあり

 (入念な事前打ち合わせの上、公証役場で公正証書を作る)、

 あまり普及していないのが現実です。

 

 また、後見人や報酬も、制度設計の中で決めるので、

 信頼できて、かつ、(おそらく同居の)親族で、

 無償でやってくれる人がいれば良いのですが、

 そうでないと結局、信頼できそうな専門職を探して頼む、

 ということになり、その場合に、任意後見を使うには、

 報酬を支払うだけの資力が必要なんです。

 

※ 任意後見については、前の記事↓をご覧下さい。

”任意後見制度の問題が取り上げられました”

https://ameblo.jp/shimpo-shiho/entry-12564914226.html

 

 (法定後見の場合には、

 市区町村で、低所得・少額資産者のために

 「報酬助成制度」を設けている場合もあります。

 これがあれば低所得者等でも使えます。

 ただし、自治体によって要件や予算額が違ったりします。)

 

なお、関連過去投稿は、上記で

紹介済みのもの以外は次のとおりです。

成年後見制度 潜む罠 あなたも利用するかもしれない
2017-11-13 23:56:11

https://ameblo.jp/shimpo-shiho/entry-12327567629.html

 

まるで犯罪者扱い「成年後見人」で地獄見た家族

 ~認知症の夫を支える妻のあまりに過酷な現実
2019-12-22 23:31:57

https://ameblo.jp/shimpo-shiho/entry-12543043466.html

 

 

 


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