認知症の地域、在宅医療 | ほっこり 知恵袋

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第19回認知症カフェ ケアコミュニティーカフェせたカフェ主催に参加しました。本日のテーマは「認知症の地域、在宅医療」です。ゲストは、医療法人社団創福会 ふくろうクリニック等々力の山口 潔先生でした。山口先生は、認知症専門医であり、老年病専門医です。老年病という言葉を初めて聞きました。



❰老年病とは?❱
平たく言えば、高齢者になれば罹患する病気全般。
認知症、骨粗鬆症、心不全、糖尿病、肺炎、頻尿、高齢者のがんなど。
これらは、老年内科にあたる。

❰高齢者医療はどうなる?❱
従来は、各科に専門分野が別れたが、これからの高齢者医療は、老年病をまとめて診る医療が必要になってくる。
内科、眼科、耳鼻科、皮膚科、整形外科などが老年内科と連携して患者を診る。
加齢により、いくつかの病気を併発していることが多い。
例えば、認知症だけ罹患している人は少なく、ほとんどがいくつかの病気を併発している。つまり、認知症は加齢すれば誰でもなる病気である。
おおよそ、85歳以上で35%,90歳で50%,100歳で90%だそうだ。

❰認知症はかかりつけ医に診てもう病気?❱
認知症も老年病ならば、一般のかかりつけ医に診てもらった方が安心するのでは?
かかりつけ医に診てもう方が患者は安心かもしれないが、医者が経験不足の場合、難しい時もある。

❰在宅医療へ❱
入院すると、環境の変化が認知症に悪影響を及ぼす。ADL を上げるためには、施設や自宅で療養することが勧められる。


❰在宅医療への不安(本人、家族の場合)❱
認知症の場合は、周囲との人間関係が重要で、介護を含め連携することが求められる。ふくろうクリニック等々力では、「物忘れ往診」もされている。医師が自宅へ来て診察してくれる。医師と良好な人間関係を作り、気持ちがほぐれてから、病院で画像診断などをしている。

❰「お馴染み関係」を作るには?❱
▪困ったときに手を差しのべられる距離にいて、見守り続ける。
▪必要なときに直ぐに駆けつける。

❰「通院拒否、通院忘れ」の時は、訪問診療を❱
専門職の評価や介入を押し付けないこと。先ずは、人間関係をつくること。
認知症の方にも社会参加してもらう。生き甲斐があると、積極的になってくれる。
❰「おひとりさま」でも、最期まで在宅は可能か?❱
可能になっている。
心臓や呼吸が止まっても、後から在宅医師が来るので大丈夫。
訪問診療は定期的にしているので、死亡の確認がとれる。

❰感想❱
認知症は、もはや老年病の一部であることを知りました。
寿命が延びたことで、罹患率が高くなったのです。認知症のリスクは避けられないのだから、認知症になっても安心だという環境を整える方がよいのです。そのためには、認知症の人が安心できる人間関係を作ることが重要です。できれば、馴染みのかかりつけ医師に診てもらい、医療や介護スタッフとも良好な関係を築きたいです。何かが起こっても、周囲の環境が認知症を受け入れていれば、不安ではなくなります。地域の人が顔見知りになり、声を掛け合う関係になれば、認知症の方も安心し、落ち着いてきます。そのためには、医療者側から患者へ近づくことが重要になります。親切に声かけをする、挨拶をする、そんな小さなことから始めようと思いました。病気を持つと不安になるのは、誰でも同じです。病気になっても安心できるまちを地域で作ることが理想です。
当院でも、認知症にかかっている方が増えました。ご家族が付き添って来ますが、「本人が来たいときは予約しなくてもできるだけ診ます。」と言っています。ご家族にとっても安心できる診療所でありたいと思っています。