こんばん優☆ & こんばんポノック♪
先日、神保町の某古書店で買った一冊。
『ぱふ』の前身雑誌『だっくす』の'78年11月号(200円)。
特集が樹村みのりということで買いました。
樹村みのり先生は埼玉県在住の漫画家。
寡作な上に短編を中心に執筆されているということもあり
単行本も少ないんですが、作品は本当に素晴らしいてす。
また、ほとんどメディアに顔を出すこともなく、インタビュー自体レアなので、これは買うしかと。
しかもこの号には作品リストなどと併せて未発表の短編を一本掲載。
これがまた樹村みのり先生らしい、人の心の奥底に潜む偏見や
思い込みを暴くような作品で、読んでて引き込まれてしまう。
真崎守氏を相手に行われたインタビューは、インタビューというより雑談っぽくて、それほど
興味深い内容ではないものの、樹村みのり先生の素の部分がチラリと垣間見えるのは面白い。
むしろ一問一答のアンケートの方が興味深いかな。どちらにしても
自作や自身について、あまりペラペラ喋るタイプではないみたい。
樹村みのり先生は主に少女漫画雑誌を発表の場としていましたが、
いわゆる男の子と女の子の恋愛物というのはほとんどありません。
それよりも、例えば友人同士とか親と子供とか、人と人との関係を描いた作品が多い。
特に初期から中期にかけては心にグサリと刺さる作品が多く、
それら名作の数々が現在入手困難なのは非常にもったいない。
調べてみたら、文庫本では何冊か手に入るみたいですね。でも
出来ればきちんと、全集のような形でまとめて欲しいところ。
で、この『だっくす』という雑誌、特集記事以外も読んでるといろいろ面白い。
一番驚いたのが、読者の投稿コーナーで投稿者の名前だけじゃなく住所まで明記してあること。
個人情報に厳しい現在では考えられないけど、昔は割とフツーだったんだよなぁ。
漫画雑誌でも『○○先生に励ましのお便りを出そう!』って、作者の住所が載ってたもん。
読者アンケートで好きな漫画の1位が『トーマの心臓』、
好きな漫画家の1位が萩尾望都というのも時代を感じる。
ちなみに嫌いな漫画の1位は『がきデカ』!
何故その漫画が嫌いかという理由も、『主人公と名前が同じでいろいろ言われるから』
とか、『巨人の星』が嫌いな理由が『中日ファンだから』とかけっこうメチャクチャ。
ま、嫌いになる理由なんてそんなもんか。
たまに古い雑誌を古本で買うと、本当に“雑多な誌面”って感じで面白い。
最近の雑誌がつまらないとは言わないけど、コラムとか気楽に
読める記事は明らかに減った気がしてちょっと寂しいですね。
では、今日はこの辺でおやすミサティ★