初期人類の婚姻形態について | 日本の歴史と日本人のルーツ

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初期人類の婚姻形態について、子欲居氏は一夫多妻のハレム、一夫一婦、多夫多妻の三婚姻形態を考察して、最後の多夫多妻の形態の優位性をフリーセックスの長所を根拠として主張している。ただし、従来の研究は、ある程度個体数が増えた集団での性行動を見たものであった。

しかしながら、現生人類が発生し、そしてアフリカを脱出した当時を考えると、現生人類の全個体数が少なく、男女が巡り合うチャンスは少なく、男女が集団で行動すること自体が難しそうだ。その証拠に、アフリカを最初に脱出した日本人の祖先は旧人類のネアンデルタール人の女性とも結婚していたことがDNA解析で分かっている。

だから、最小行動単位として一夫一婦制が考えられる。

また、旧約聖書ではアダムとイブの一夫一婦であったし、性風俗が乱れたソドムとゴモラと言う都市は神によって滅ぼされている。

アダムとイブ(wikiより)

現在の婚姻形態を見ると、一夫一婦制と言っても、死別したり離婚した場合、再婚が許されている。例えば、つい最近まで、出産で妻が死亡すれば後妻を迎えていた。また、戦争などで夫が死亡すれば、夫の弟などを新しい夫として家を継いている。だから、異母兄弟とか異父兄弟などはザラにいた。ここでは家を守ると言う概念があった。

また、現在の農家の作業にしても、漁師の潜水漁なども一夫一婦のペアがよく見られる。

男女の関係は今も昔も、そんなに変わっているとは思えない。家を崩壊させる男女の浮気は今も昔も許されてはいないと考えられる。家を守ると言う観点から、子供の血統を保証する為、女性の貞操は特に要求されていた。


雑談

日本民族は男性遺伝子Y-DNAハプログループC、D、Oで大きく分類され、地域的・社会階層的にも明確に区別されるが、女性から伝わるミトコンドリアDNAの変異は多様に広く分布していた。

すなわち、民族社会は男性集団で規定され、女性の出自はあまり問われなかったようだ。だから、男の浮気で出来た子供は男が引き取って家族として処遇される。また、平安時代の妻問婚においても、出来た男子と妻は男が引き取り、多夫一妻では無った。が、しかし、女の浮気で出来た子供は、母子ともに排除される運命にあった。

従って、多夫多妻の男女平等のフリーセックス・乱婚制では無かったことになる。


参考

① 初期人類の婚姻形態について

子欲居的東アジア世界(参考)


2017年12月22日ブログ掲載 12月30日本ページ掲載


人類学者が約320万年前の猿人化石を調べた結果、男女の体格差は現代人並みで、男性が女性より少し大きい程度だという。ちなみに、ゴリラのように、優位のオスが群れのメスを独占するようなハレム型の動物では、オス同士の争いが激しく、オスの体格差が勝敗を決することから、オスの体格はメスの約1.5倍になったりする。


一方、チンパンジーやボノボ、現生人類では、オスとメスの体格差は、それほど大きくない。そして、そのような体格差を持つ動物の社会はゴリラのようなハレム型ではなく、一夫一妻かチンパンジーなどのような多夫多妻型であると、人類学者は言う。


多くの人類学者は、その体格差から、猿人のような初期人類は一夫一妻の集団であったなどと主張するが、ある論者が指摘するように、一夫一妻なら、テナガザルのように男女の体格差はほぼ同一となるのではないだろうか。


人類学者は、犬歯(これは闘争用の武器である)の縮小をもって、体格差の縮小と共に、人類がメスをめぐって争う必要のない状況に至った証左(この推論は全く正しいが)とし、それを可能にしたのは、一夫一婦制であると主張する。一方、「チンパンジーのような多夫多妻の集団では、集団内の順位がメスの獲得に関係するだけに、オスの争いは激し」く、それゆえに犬歯は縮小していないという。


しかし、ある論者が指摘するように、なぜ人類学者はチンパンジーを引き合いに出すだけで、同じく多夫多妻のボノボに言及しないのだろうか。チンパンジーもボノボも、多夫多妻でありながら、争いの絶えないチンパンジーに対し、ボノボの群れは平和的であり、「チンパンジーは性の問題を力で解決するが、ボノボは力の問題をセックスで解決する」と言われたりする。


ちなみに、同じ多夫多妻の両者で、このような差異が生ずる要因として、発情期の長短が上げられる。ちなみに、ボノボのメスには発情期を長く維持するゆとりがあり、ほぼいつでも交尾できる状態にある。「おかげで雄は支配的な地位を他の雄と争ったり、雌に対して暴力的になったりせずにす」むという。逆に、発情期の短いチンパンジーでは、性交可能なメスが少ないため、メスをめぐるオス同士の争いも熾烈になる。


このような両者の関係を考えたならば、争いが少ないのは、一夫一婦よりも、むしろ多夫多妻の方ではなかろうか。ボノボの発情期が長いのは、その環境のもたらした食料の豊富さであると言うが、人類の場合は、もとより他の動物と違って、そもそも発情期というものを消失している。この特性を人類がいつごろ獲得したかは明らかではないが、発情期をなくし、いつでも性交可能なメスが存在する集団では、むしろ争いがなくなるのは、群れの中の男女がお互いを共有し合っている多夫多妻ではないだろうか。


実際、一夫一妻は決してオス同士の争いを解消するものではない。どのメスを自分のものとするかを巡っては、当然、オス同士で熾烈な争いが起こることは、その後の人類の歴史が証明している。結局、エンゲルスなどが指摘したように、「男子の全集団と女子の全集団とが互いに相手を所有しあっていて、ほとんど嫉妬の余地を残さない形態」である「集団婚」(多夫多妻)によって初めて、群れ内部のオス同士の対立は解消されたのである。


そして、そのような比較的大きな群れを形成し、群れの団結を維持することによって初めて、猿人のような初期人類は、生き延び進化(動物状態から人間への)を達成できたのである。その群れの団結のために、上のような成員同士の性行為は欠かせぬものであったろうし、人類における発情期の喪失(特にメスの)も、そのような文脈で考察されるべきものかもしれない。


(参考文献)


1. エンゲルス『家族・私有財産・国家の起源』(新日本出版社 1999年7月20日)


2. 三井誠『人類進化の700万年——書き換えられる「ヒトの起源」』(講談社現代新書 2005年9月20日)
 著者は、人類学者ではなく新聞記者であるが、よく一般の人類学者の見解をまとめている。


3. クリストファー・ライアン、カシルダ・ジェタ『性の進化論』(作品社 2014年7月20日)
 各種の観点から、初期人類の乱婚状態を立証している。


4. 「ボノボの森へ “人間に最も近い類人猿”の意外な素顔」(『ナショナル ジオグラフィック』2013年3月号)


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② すでに奴隷が? 先史欧州の世帯内に格差、新発見

ギリシャやローマ以前の4000年前のドイツ、地位は父系が継承

NATIONAL GEOGRAPHIC(2019.10.16、参考)

考古学者たちは青銅器時代の墓地に「持てるもの」と「持たざるもの」の社会的不平等の萌芽を見るが、新たな分析により、世帯の中での差異が見え始めてきた。(PHOTOGRAPH BY SCHELLHORN, ULLSTEIN IMAGE/GETTY)

ヨーロッパで社会的不平等が始まったのは、青銅器時代とされている。贅沢品とともに埋葬された有力者の墓がこの時代に現れるからだ。

集団の中で「持てる者」と「持たざる者」に分かれていったと想像するのは簡単だ。だが、このほど現在のドイツ南部にある古代の墓を調べた研究により、個々の世帯の中においても、豊かさに格差があったことが明らかになった。つまり、豊かな者と貧しい者が一つ屋根の下で暮らしていたのだ。論文は10月11日付けの学術誌「サイエンス」に発表された。

研究チームが注目したのは、バイエルン州のレヒ渓谷にある先史時代の集団墓地だ。4000年ほど前、この谷には農場が広がっており、それぞれの世帯は数棟の住居と倉庫、そして小さな墓地をもっていた。

研究では、新石器時代(4750年前)から青銅器時代中期(3300年前)までの墓を100以上調査し、古代人のDNAデータを用いて、各世帯の家系図を再現した。また、骨格の同位体分析からは、それぞれの人がどこで育ち、一生の間にどのくらい旅をしたかが明らかになった。そして、死者の副葬品を生前の豊かさの指標とした。(参考記事:「古代の哺乳瓶を発見、動物の乳飲ませ離乳早める?」

米ハーバード大学医学部の遺伝学者で論文の共著者であるアリッサ・ミトニク氏は、分析の結果、いくつかの興味深いパターンが見られると言う。

個々の農場の墓地は、中心的な1つの家系によって、4〜5世代にわたって占められているものが多かった。その家族のメンバーは隣り合うように埋葬され、装飾品や武器など、豊かさを示す副葬品の数も多かった。農場は男系を通じて継承されていたらしく、同じ墓地に埋葬された遺体の間に認められた親子関係は両親と息子だけだった。


以下省略


③ 日本人の先祖が真っ先にアフリカ人を出て来た現生人類であり、ネアンデルタール人とも最も長く結婚生活していた。