旧石器時代の人々が日本列島あたりから北米へも進出していた | 日本の歴史と日本人のルーツ

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縄文時代の海の民は南米にまで進出していたことは既に示したが、それより前の旧石器時代、1万6000年前に、北米の北太平洋沿岸沿いで進出した証拠が見つかったようだ。


参考

①-1 新発見の石器から「最初のアメリカ人は日本から来たかもしれない」説が急浮上

GIGAZINE(2019.8.30、参考)


これまでの定説では、最初に北アメリカ大陸にやってきた人類は1万3000年前に栄えた クローヴィス文化の時代の人々だとされてきました。そんな中、新たにアメリカで発見された石器の分析から、これまでの常識を覆す新説が浮上しています。

Late Upper Paleolithic occupation at Cooper’s Ferry, Idaho, USA, ~16,000 years ago | Science 

Stone tools suggest the first Americans came from Japan | Ars Technica

15,000-year-old Idaho archaeology site now among America’s oldest

First Americans arrived at least 16,000 years ago, and probably by boat | NOVA | PBS | NOVA | PBS

1930年代に、アメリカのニューメキシコ州にある クローヴィスで後期氷河期ものと見られる遺跡が複数発見されました。さらに、その後の調査で北アメリカ大陸全土に分布する約1万3000年前のクローヴィス層という地層から、尖頭器をはじめとする石器などが多数発掘されたことから、この時代に栄えた石器文化は クローヴィス文化と呼ばれています。


こうした多数の発見から、クローヴィス文化の人々がアメリカで栄えた最初の人類だとする「クローヴィス・ファースト」という説がこれまで有力視されてきました。また、この説では、アメリカの先住民の起源として「アフリカで発生した人類は、氷河期後期に氷が溶けて通れるようになっていた ベーリング地峡を通ってアメリカにやってきた」と説明されています。

しかし、その後クローヴィス層よりも古い地層からも人類の痕跡が見つかるようになり、「クローヴィス・ファースト」仮説に疑問がなげかけられるようになりました。そんな中、オレゴン州立大学の人類学教授であるローレン・デイビス氏は、アイダホ州西部にある「クーパーズ・フェリー遺跡」から石器や炭、動物の骨などの遺物を発掘しました。 放射性炭素年代測定によると、これらの遺物の多くは約1万5000~1万6000年前のものだとのことです。

以下の図は1万6000年前のクーパーズ・フェリー遺跡周辺をシミュレートした地図で、地図北部の水色で示されている部分は 氷床です。 


ニューハンプシャー大学で地質学を研究しているアリア・レスネク氏は今回の発見について「これは本当にエキサイティングです。おそらく、北米における最も古い人類の痕跡の一部だと思われます」とコメント。また、遺物の年代から「アメリカ大陸最初の人類が、氷に覆われていない陸路でやってきたという考えは基本的には排除されると考えられます」と話しています。 

というのも、1万6000年前のベーリング地峡はほとんど氷に閉ざされており、人類が移動できる状態ではなかったと考えられているためです。このため、レスネク氏は「アメリカに最初にやってきた人類は、氷のない陸路ではなく、太平洋沿岸を通ってやってきたのではないか」という 説を提唱しています。 

以下の図で赤色の矢印で示されているのが、かねてからの定説だった「氷のない陸路」ルートで、オレンジ色の矢印が最近提唱された「太平洋沿岸ルート」です。レスネク氏は、「太平洋沿岸なら約1万7000年前のころには氷が溶けていたので、アメリカにやってきた最初の人類はこのルートを船で通ったのではないか」と考えています。


また、デイビス氏らは今回発見された石器が、日本で発見された同年代の石器と酷似していることを発見しました。以下の図はクーパーズ・フェリー遺跡で発見された石器の写真と、北海道の 白滝遺跡から出土した石器のイラストを比較したものです。大きさや形状がかなり似ているのが一目でわかります。 


ワシントン大学の考古学者であるドナルド・グレイソン氏は「古代の遺物に類似性があったとしても、かなり複雑なものが似ていない限り、関連性があるとみなすべきではありません」と話し、クーパーズ・フェリー遺跡の石器と白滝遺跡の石器が似ているとの指摘に対して慎重な姿勢を示しました。 

一方、サンディエゴ州立大学の考古学者であるトッド・ブライエ氏は「非常に興味深いつながりです。当面の課題は、クーパーズ・フェリー遺跡の石器を世界で見つかった初期の遺物と比較してみることです」と話し、今後の研究次第では、新しい洞察が示される可能性があるとの意見を述べました。


①-2 人類の北米到達、定説覆す新証拠 アイダホ州の遺跡

アメリカ大陸最古級の石器、日本の石器との類似点も

NATIONAL GEOGRAPHIC(2019.09.06、参考)

クーパーズ・フェリーの発掘調査で、1万5000~1万6000年前にさかのぼる遺物が出土している。従来、人類がアメリカ大陸に到達したと考えられていた年代より数千年古い。(PHOTOGRAPH BY LOREN DAVIS)

米アイダホ州西部の遺跡が、南北アメリカ大陸で最古の部類に入るとの研究結果が、8月30日付けの科学誌「サイエンス」に掲載された。

遺跡は、「クーパーズ・フェリー」と呼ばれる。放射性炭素年代測定によると、ここで人々が道具を作ったり、動物を解体したりしていたのは1万5000年~1万6000年前。近年、アメリカ大陸への人類移住の時期やルートに関しては、従来の定説を覆す遺跡がいくつか見つかっているが、クーパーズ・フェリーもその重要な例として加わることになった。

これまでの筋書き

20~30年前までは、おおむね1万3000年前のクロービス石器が、アメリカ大陸で最初の人類による技術だと考えられていた。いわゆる「クロービス・ファースト」仮説だ。この石器を作った人々は、かつてシベリアとアラスカを結んでいた陸地、ベーリング陸橋を渡り、アジアから徒歩でやってきて初めて北米に入ったと、多くの研究者が考えていた。北米の内陸部を覆っていた広大な氷床がおよそ1万4000年前に後退し始め、氷の消えた回廊地帯(無氷回廊)が現れ、そのルート沿いに南下してきたというものだ。(参考記事:「米先住民の起源はアジア、DNA分析」

これが一般的に言われる筋書きだった。アメリカ大陸各地で、クロービスよりも古い遺物が見つかり始めるまでは。

「先クロービス」時代のものとされている遺跡は数十カ所ある。しかし、年代が正確にわかっているのは今のところ数えるほどしかないと、米ワシントン大学名誉教授で考古学者のドナルド・グレイソン氏は言う。チリのモンテベルデ(約1万4500年前)、米テキサス州のフリードキンおよびゴールト遺跡(それぞれ1万5500年前と1万6000年前)、米オレゴン州のペイズリー洞窟遺跡(約1万4000年前)などがそうだ。ここに、クーパーズ・フェリーが加わることになりそうだ。(参考記事:「北米最初の人類に新たな証拠、マストドン狩猟も」

「私の見るところ、クーパーズ・フェリーは極めて説得力のある先クロービス遺跡です」。今回の研究に関わっていないグレイソン氏は、こう評価している。

米サンディエゴ州立大学の考古学者で、今回の論文を査読したトッド・ブレジー氏も同様に、この遺跡は「『クロービス・ファースト』のモデルはもう成り立たない」ことを示す、さらなる証拠だと話す。

より古い出土品が続々

クーパーズ・フェリーは、近くにサーモン川が流れる、夏は暑く冬は寒い素朴なところだ。先住民はこの地を、古代の村ニペヘと呼んでいた。

今回の論文を執筆した米オレゴン州立大学の考古学者ローレン・デービス氏は、1997年、博士論文の一環で、クーパーズ・フェリーを初めて発掘した。そこで、西部有茎尖頭器と呼ばれる、先をとがらせた石器を発見。槍などに取り付けられていたものかもしれないが、同じ小さな穴に埋まっていた骨と木炭を放射性炭素による年代測定にかけたところ、最も古くて1万3300年前と判定された。

最初の発掘からおよそ10年後、デービス氏はさらに広範囲な調査をしようと、再びクーパーズ・フェリーにやって来た。まだ消えずに残っている疑問、「90年代に自分が見つけた道具は、クロービスの道具より古いのか」を知りたかった。(参考記事:「クロービス文化の起源、定説に疑問」

この10年の発掘で、デービス氏らのチームはさまざまな痕跡を見つけた。太古のたき火による亀裂の入った岩、道具作りや修理のための作業場、動物の解体場、動物の骨のかけらなどだ。デービス氏らは昨年、炉から出た木炭のサンプルを放射性炭素年代測定に回したところ、幅はあるが、およそ1万4000年前という結果に驚かされた。この結果を確認するため、クーパーズ・フェリーの出土品サンプルをさらに測定にかけた。

最初に大陸へ来たアメリカ人たちは、米アイダホ州西部のクーパーズ・フェリーで動物を解体したり、石器を作ったりしていた。(PHOTOGRAPH BY LOREN DAVIS)

「結果が次々と出ましたが、数字はどんどん古く、古く、さかのぼっていきました」とデービス氏。クーパーズ・フェリーにある、遺物が詰まった堆積物の最も深い層は、約1万5000~1万6000年前の範囲と測定された。「この遺跡がそこまで古いとは、全く考えたことがありませんでした」

日本にもよく似た石器が

クーパーズ・フェリーの年代が判明したことで、北米大陸を南下できる無氷回廊が現れるよりも前に、南の土地にすでに人がいたという証拠がまた一つ増えた。だ。デービス氏や同僚の研究者たちは、今回の発見が、現在支持を集めつつある説の裏付けになると考えている。初めてアメリカ大陸を目にしたのは、船で太平洋岸に達した船乗りたちだとする見解だ

「我々が考える最もシンプルな説明はこうです。人々は太平洋岸を下ってきて、コロンビア川の河口に出くわしました。つまり、沿岸の船旅を終えてもいい入り口です。そして、氷床の南の地域にうまく入っていける初めての内陸ルートも見つけたのです」とデービス氏。コロンビア川を内陸へと遡ると、やがてサーモン川に行きつく。(参考記事:「北米最古、1万3000年前の人類の足跡を発見」

クーパーズ・フェリーで出土した西部有茎尖頭器は、アメリカ大陸で見つかっている中で最古級の可能性がある。また、道具を作る技術がクロービス以前に発達していた証拠かもしれない。

「これらの新発見は、有茎尖頭器技術がアメリカ大陸最古の技術であるという事実を補強しています」。米ニューヨーク州にあるハミルトン・カレッジの考古学名誉教授、シャーロット・ベック氏はこう話す。

今回の論文で、デービス氏らのチームは、クーパーズ・フェリーで見つかった道具と、1万6000~1万3000年前に日本で作られていた遺物の類似性に注目している。この点はひょっとすると、このタイプの有茎尖頭器の起源を暗示するのかもしれない。

しかしグレイソン氏は、2つを結びつけることには慎重だ。「遺物の類似性は、本当に手の込んだ物でない限り、関連性を示すとは言えません」

一方ブレジー氏は、この関連がまだほんの仮説にすぎないと認めつつも、「興味を引かれる」と感じている。「今後の課題は、クーパーズ・フェリーと、ほかに少数ある北米の初期の遺跡、そして世界の遺跡との関連を調べることです」とブレジー氏。「ストーリーを組み立てるには、まだまだやることがあります」(参考記事:「人類の出アフリカは早かった?アラビア半島で足跡」


② ヒョウタンに飲料水を入れてアメリカ大陸へ渡海した(参考)

約一万年前ころ日本や米大陸にヒョウタンが渡来したとか!ヒョウタンは航海の間の飲料水を入れる水筒として栽培され、ポリネシアあたりでも栽培されたとか!

渡海ルートとしては、千島列島からアリューシャン列島は米大陸への最短航路になっており、これら列島を経由して米大陸へ到達するのが容易であろうと考えられる。


③ 海の民、海人族安曇氏は太平洋を渡った(参考)、、、ポリネシア人は末裔


④ 南米にも縄文土器職人が行っていた