スイスの経済情報に騙されるな! | 日本の歴史と日本人のルーツ

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スイスの物価はべらぼうに高いと言われている。

確かに、30年前にジュネーブに暮らして感じたことだが、当時も物価が高くて、国際機関が高い給料を出してくれても出て行くお金も多いので、貯金なんて出来なかった。例えば、自炊をせずに外食したなら、場末のレストランのメニューにある最も安いスパゲティでも日本円換算で1500円となり、モーベンピックと言うファミレスなら最低5000円は要した。

しかし、3年以上暮らして分かったことは、人手がかかるサービス業関連の物価が高いのであって、生活に直結した食料品などを買うために出かけていったスーパーマーケットのMIGROSやCOOPの品はそんなに高くなかった。もちろん、国境を越えてフランス領に行けば、さらに安く生活物資を入手出来た。

さらに、帰国時に判明したことであるが、アパートの家賃が二重価格であったことだ!国際公務員などの外国人と地元民とでは、倍半分のちがいがあった。例えば、私は単身であった為、日本円で14万円/月を家賃に支出していたが、現地民なら同じ部屋が7万円/月程度らしい。これは、私が退去時に、空き部屋を探していた現地民との会話から判明したことであった。アパートを探す場合、外国人は不動産屋を通さずに現地の友達を通じるか、先輩のアパートを直接に引き継ぐべきであった。

国際公務員はスイスに所得税や住民税を払っていなくても、高額な家賃を通じてスイスに金を吸い上げられていたことになる。もちろん、付加価値税(消費税に相当)は、知らぬ間に徴収されていた。

すなわち、スイスでは、何も知らない外国人向けの生活物価と現地民の生活物価は違うと言うことである。もちろん、ホテル生活を強いられる通りすがりの旅行者なら、あらゆる場面で倍に近いお金を支払っていることになる。

スイスの経済情報は、はっきり言えば何も知らない外国人の為であり、官民一体で外国人を騙していたことになる。

かつてネスカフェの宣伝でレマン湖畔のシオン城がTVに出て来たが、中世では、ここはイタリアとフランスを結ぶ街道の関所であり、通行税を徴収していた。資源も産業も無かったかつてのスイスは傭兵で金を稼いだとの話が有名であるが、通行人から金を徴収する山賊も産業であった。現在は観光が大きな産業であるが、美しい風景を使って法外なお金を騙し取っていることになる。だから、観光客が行き交う街中の普通のレストランで食事する方が、地元民がスキーを楽しむ山頂のレストランより高めに設定されていた。

スイスの高物価に対する現地民の対策は、物価の安いフランスに買い物に出かけたり、フランスに居住して国境を越えて通勤したり、外国人相手の場所では買い物をせずに郊外のバレクセールやカルフールなど大型ショッピングモールに行くなど、工夫をしていた。さらに、庶民生活に関しては、既に安物家具のイケヤやリサイクルショップが繁盛していたし、また蚤の市でも生活用品を扱っていた。自家用車も新車は見当たらず、中古車が主流を占めていた。

日本は当時、高度成長期で何でも新品であったので、ジュネーブばかりでなく欧州の成熟文化がまるで後進国に見えた。令和元年になった現在、日本もやっと欧州に到達したことを実感している。


雑談

ジュネーブ市には市が建設した国際会議場(CICG)があるが、隣接するITU(国際電気通信連合)が無料で、この会議場を使用していた。ITUがジュネーブ市から他都市に移転を検討したら、市が大慌てで会議場の無料使用を提案して来たと言われている。

外国人がジュネーブ市に来るだけで、ジュネーブ市が大儲け出来る経済構造があったことの証明である。


参考

① 生活費

swissinfo.ch(2016.7.12、参考)


スイスは生活費が世界で最も高い国の一つ。その中でもチューリヒとジュネーブは「生活費が最も高い都市ランキング」の常連だ。

スイス国立銀行(中央銀行)がスイスフランの対ユーロ上限撤廃を発表したのは2015年1月15日。これを受けフランが上昇、スイスの製品やサービスはユーロ圏の国々と比較してさらに割高になった。

こうした直接の影響が薄れてもなお、1フランは1.2ユーロ(2018年4月)といまだに高い。

18年9月に大手銀UBSが公表した調査によると、チューリヒとジュネーブがオスロ、コペンハーゲン、ニューヨークを抑えて世界で最も生活費の高い国の1、2位に並んだ。

これらの都市では、2つの寝室がある小さなアパートの家賃は2000ドル(約22万円)を軽く超える。そのほか加入が義務付けられている健康保険(月最低335ドル)、交通費(月平均468ドル)、日用品(1人当たり平均458ドル)の出費もある。

平均すると、スイスの総世帯における消費支出は、欧州連合平均よりも60%ポイント高い(ユーロスタット調べ)。

ただ、チューリヒとジュネーブは給与が世界トップレベルだ。住民の購買力ランキングではルクセンブルクに次いでチューリヒが2位、ジュネーブが4位に入った(UBS調べ)。

カイロの労働者は133日働いてようやく最新のiPhoneが買えるが、チューリヒは4.7日で購入が可能だという。

2019年1月のビックマック指数によると、スイスのビッグマックは6.45ドルなのに対し、米国は5.58ドル。フランが18.7%価値が高いことになる。

連邦統計局が価格に関しさらに詳しい統計結果を出している。


② 脱・高物価の島  スイス政府、「公正価格」実現に向け独占禁止法の改正案を発表

swiss info(2018.8.24、参考)


連邦政府は22日、国内外の大きな輸出入企業による価格吊り上げをやめさせる国民発議「公正価格イニシアチブ」への対案をまとめた。

イニシアチブ(国民発議)の提起者らは、裁判所がスイス企業の価格の決め方を検討し、顧客の住む国によって販売条件やサービスに差をつける「地理的な制限(ジオ・ブロッキング)」を禁止することによって、スイス国外の安価なオンラインショッピングを妨害する企業を違法行為とするよう求めている。


政府はイニシアチブについて、やり方は極端だが原則としては理に適っているとみて、対案を発表した。

政府も、外国企業がスイスへの輸出品に「スイス価格」を上乗せしていることを問題視。独占禁止法を改正し、独占企業や価格を設定する力の強い企業に対し、スイス企業にスイス外のサプライチェーンにアクセスさせるように義務付ける。これによってスイス企業は並行輸入できるようになり、国内で価格競争が起きるとにらむ。

政府は、スイス企業の購買力を高め輸入競争力をつける公正価格イニシアチブの目標と目指すところは同じだと主張する。一方、国内市場だけで取引する企業を規制の対象にしても意味がないと考える。

イニシアチブと異なるのは、対案はジオ・ブロッキングの禁止には踏み込んでいないことだ。オンライン販売で、自国より安価で買い物ができる販売は妨げる。

政府の対案は11月22日まで意見公募にかける。イニシアチブはさまざまな政治集団に支持を得ているが、政府はイニシアチブを否決するよう推奨している。

SDA-ATS/dos