50年前、高校の校長室に押しかけて、授業そっちのけでアポロ11号の月面着陸をテレビで見ていた。
2019年2月21日の今日、はやぶさ2が小惑星リュウグウに軟着陸するべく降下を始めた。無人のロボット探査機の宇宙活動であり、50年前ほどの感動は無いが、本当の宇宙時代に入ったなあと実感している。
参考
① 今から50年前、米国のアポロ11号が月に到達し、アームストロング船長が初めて月面に降り立った…
今から50年前、米国のアポロ11号が月に到達し、アームストロング船長が初めて月面に降り立った。その様子は世界中にテレビ中継された
▼人類で最初に月に足跡を残したファーストマンは「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍である」と月から語り掛けた。その言葉に、何とすごいことを成し遂げたのかと子どもながらに体が震えた
▼実際は、極めて危険で無謀な計画だった。携帯電話もない時代。現在の科学技術から見れば「点火されたブリキ缶」のような宇宙船で月を目指した。数々の事故が起き、幾人もの宇宙飛行士が命を落とした
▼偉業の知られざる裏面を公開中の米映画「ファースト・マン」が、克明に描いている。飛行士たちの犠牲をいとわず、アポロ計画が強行された背景には熾烈(しれつ)な東西冷戦があった。軍事利用も可能な宇宙開発の競争で、米国はソ連に大きく後れを取っていた。米政府は国内の批判を抑えるためにも、有人月面着陸だけは負けるわけにはいかなかったのだ
▼冷戦は終わり、宇宙は多国間での共同開発の時代に。だが、時計の針を半世紀、巻き戻すようなトランプ米大統領である。米国は冷戦終結につながった、ロシアとの中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を通告した。国内向けに対ロ強硬姿勢を示すのが狙いとも
▼極めて危険で無謀な決定だ。その一歩は人類にとって大きな後退となろう。
=2019/02/21付 西日本新聞朝刊=
② はやぶさ2が降下開始、丸1日かけリュウグウ着陸へ
探査機はやぶさ2の降下開始を再開するための作業が完了したかを担当者全員で確認している様子=相模原市中央区の宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所のはやぶさ2管制室で2019年2月21日午後0時ごろ、宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所提供
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は21日、小惑星探査機「はやぶさ2」が同日午後1時15分ごろ、小惑星リュウグウへの初めての着陸に向けて降下を開始したと発表した。運用の設定などの再確認をしたため、予定よりも5時間遅い降下開始となった。
計画によると、はやぶさ2は22日午前8時ごろ、リュウグウの表面に着地し、表面の物質を採取する。降下開始が遅れたため、高度5キロまでは当初の計画よりも速度を上げて降下する。22日午前7時ごろ、高度45メートル付近に到達すると、あとは探査機に事前に送信しておいた指令に基づき、自律運転で小惑星へ着地、物質採取、上昇――という一連の動作を実施する。
リュウグウは現在、地球から見て太陽の反対側、約3億4000万キロ離れたところにあり、地球と探査機の通信には片道約20分、往復約40分もかかる。このため、着陸前後の低い高度にいる探査機に地球から指令を出しても間に合わないため、必要な指令を事前に送信しておき、探査機をロボットのように自動運転させることにした。
2014年12月に打ち上げられたはやぶさ2は、今年6月27日にリュウグウへ到着した。到着後の観測の結果、リュウグウ表面は岩だらけのデコボコで、着陸に適した平らな広い領域がどこにもなかった。このため、当初予定していた昨年10月の着陸を延期し、着陸地点の選定や準備を進めていた。
最終的に、リュウグウの赤道からやや北側に位置する半径3メートルの内側という極めて狭い領域を目指して着陸することが決まった。はやぶさ2は半径50メートルの内側に着地する精度を目指して設計されており、JAXAのプロジェクトチームは設計をはるかに上回る高い精度の運用を求められる。探査機自身が異変や危険を察知したり、計画通りの軌道で降下できなかったりした場合は、降下を中止することもあり得るという。【永山悦子】
③ はやぶさ2、あす着陸挑戦
朝日新聞(2019.2.21)
④ 小惑星探査機「はやぶさ2」がタッチダウンに成功
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月22日、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」へのタッチダウンに成功したと判断したことを発表しました。
⑤ “はやぶさ2”の現在の様子を「Hayabusa2 Trajectory Viewer」で眺めてみた/事前発表のデータをもとに“はやぶさ2”の現状をリアルな3Dで表示【やじうまの杜】
長谷川 正太郎
“やじうまの杜”では、ニュース・レビューにこだわらない幅広い話題をお伝えします。
独立行政法人 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機“はやぶさ2”が、小惑星“リュウグウ”へのタッチダウンに向けて降下を始めました。当初は予定した時刻に降下が開始されず心配しましたが、5時間遅れで降下が開始され、予定通りの時刻にタッチダウンできるようです。
「はや2NOW」の“航法カメラ略図”
でも、「はや2NOW」の“航法カメラ略図”はあくまでも略図。若干、臨場感が足りない気がします。でも、自然科学書編集者でサイエンスライターの柏井勇魚氏が製作した「Hayabusa2 Trajectory Viewer」を使えば、“はやぶさ2”の現在の状況を、事前発表のデータをもとにリアルな3Dで表示できるんです。柏井勇魚氏のツイートによると、降下開始の遅れも反映されているようです。
「Hayabusa2 Trajectory Viewer」では、宇宙空間で“リュウグウ”に向かって進む“はやぶさ2”の様子をさまざまな角度から眺められます。また、“はやぶさ2”を中心とした視点のほか、“リュウグウ”を中心とした視点や“リュウグウ”上のタッチダウン予定地からの視点に切り替えることも可能です。
“リュウグウ”を中心とした視点
⑥ はやぶさ2、着陸成功 小惑星探査で偉業
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日、探査機「はやぶさ2」が地球から約3億キロメートル離れた小惑星「りゅうぐう」に午前7時29分着陸したと発表した。岩だらけの地表で半径わずか3メートルの場所を狙って着地した。小惑星への着陸は世界でも2005年の初代「はやぶさ」以来、2例目。極めて高い精度の着陸をなし遂げ、日本の技術力を証明するとともに小惑星探査で世界に存在感を示した。
JAXA相模原キャンパス(相模原市)で記者会見した吉川真ミッションマネージャは「着陸に成功し、すぐに上昇した。地表の岩石を採取するための弾丸を発射した信号も確認した」と語った。成功の要因としてりゅうぐうの地形を画像で詳細に解析できたことなどを挙げた。
はやぶさ2は22日午前6時すぎから最終の降下を始めた。地球からの指示が届きにくい最終盤はカメラや高度計を駆使した自動運転に入り着陸した。
岩石を採取するため地表に弾丸を発射したが、採取できたかわかるのは回収カプセルが地球に戻ってからになる。
小惑星の岩石は太陽系が46億年前に生まれたころの痕跡を残す「タイムカプセル」。今後は19年夏までに再び着陸に挑み、20年末までに地球へ帰還する。宇宙の成り立ちや生命誕生の謎を探る今後に期待が膨らむ。
はやぶさ2は10年に小惑星「イトカワ」の微粒子を地球に持ち帰った初代はやぶさの後継機。14年12月に種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げ、18年6月にりゅうぐう周辺に到着した。地球帰還までの総事業費は約289億円を見込む。
小惑星探査の狙いの一つは「地球の生命はどこからきたのか」という人類の根源的な問いに答えることだ。りゅうぐうは直径約900メートル。生命の元となる有機物や水分を含む岩石が豊富とされる。かつて地球に衝突した小惑星が有機物などをもたらし生命誕生を促したとの仮説がある。小惑星は火星と木星の間に多いが、火星と地球の間にあるりゅうぐうは岩石を地球に持ち帰って調べやすく、目的地に決まった。
月や火星、その先の天体に向かう技術力を世界に示す思惑もある。はるか遠くの小惑星に搭載カメラの画像や星の位置を頼りに近づき、ピンポイントで降りる。こうした手順や経験は強みになる。
米航空宇宙局(NASA)も「米国版はやぶさ」と呼ばれる小惑星探査機「オシリス・レックス」を小惑星「ベンヌ」周辺に到着させた。20年に岩石を採取し、23年に地球に運ぶ予定だ。はやぶさ2の成否に関心を寄せているという。
⑦ はやぶさ2、弾丸発射を確認 試料採取の可能性高まる 初代失敗の雪辱
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日、小惑星リュウグウへ着陸した探査機はやぶさ2が、試料を採取するための弾丸を発射したことを確認したと発表した。弾丸の発射装置付近の温度が、ちょうど着陸した時間に約10度上昇しており、弾丸を発射する火工品が発火したと考えられるという。
先代はやぶさでは弾丸が発射されず、採取できた試料はごく微量だった。弾丸が発射できたことによって、はやぶさ以上の分量の小惑星の物質採取が期待できることになった。【永山悦子】
⑧ はやぶさ2、狙った場所に舞い降りた JAXA分析
探査機「はやぶさ2」は、狙った場所に着陸できた――。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、はやぶさ2が22日に撮影した小惑星「リュウグウ」の地表画像の分析結果を発表した。
画像は、はやぶさ2が着陸の約1分後、上昇中の高度約25メートルで撮影したもの。機体の影の右下に見える黒い変色部分は、着陸前に撮影した際は写っていなかった。着陸時に試料採取のために発射した弾丸や、上昇する噴射によって舞い上がった砂とみられる。
黒い部分は、着陸予定地の半径3メートルの円内とほぼ重なっていることから、「ほぼ予定通りの場所に着地できたと考えられる」とJAXAは結論づけた。画像には、着陸の目印「ターゲットマーカー」も写っている。(石倉徹也)