九州の島原半島の東海岸の有明海沿岸を北から南になぞって見た。海岸から沖合に、囲いのようなものを容易に見出せた。これらを九州集積古式漁法の石積み 「石干見」として世界遺産にしようと、日韓台で共同申請するらしい。
記録は日本国内では18から19世紀から残っているとのことであるが、こんな原始的な狩猟採集的漁法は遅くとも数千年前の縄文時代の海人族によるものだろう。
大切に保存して欲しい。
参考
九州集積古式漁法の石積み 「石干見」を世界遺産に 保存団体、日韓台で共同申請視野
潮の干満差を利用し、浅瀬に造った石積みで魚介類を捕る古式漁法「石干見(いしひび)」の風景が残る九州・沖縄4県の保存団体が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産への登録を目指す運動を始める。2018年度中に「サミット」を開いて登録を目指す方針を確認するほか、今春には、石干見集積地とされる九州・沖縄、韓国、台湾一帯での共同申請を視野に入れた専門家による初の準備会合も計画されている。
石干見は国内で18~19世紀から記録があり、全長数百メートルの石垣を半円形に積んだ例が多いとされる。広い浅瀬があり、干満差が大きく人力で運べる石がある有明海や周防灘などで盛んに造られたが、漁獲方法の近代化などで減少。かつて200基以上あった長崎県の島原半島では現在、数基だけが残る。
石干見に詳しい関西学院大の田和正孝教授(漁業文化地理学)によると、2000年代から「人と自然が共生する文化遺産」として研究者が注目するようになった。九州では長崎、大分、鹿児島、沖縄各県で保存団体が発足し、現存する石干見の保全を考えるサミットも開催してきた。
今春、台湾で開かれる日韓台の準備会合に臨むのは、国内外の石干見を研究する東京海洋大大学院の岩淵聡文教授。ユネスコの諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)の国際水中文化遺産委員会日本代表も務めており「石干見は世界でも東アジアに集中的に分布し、その大きさもトップクラスだ。九州・沖縄の石干見を含め、世界遺産登録の基準を満たす可能性がある」と評価する。
昨年7月には、長崎県島原市の保存団体と田和教授らが、約600基が残る台湾を視察。韓国も今後訪れる。島原市の保存団体会長の楠大典さんは「『イシヒビ』の価値を広めるため、国内外で連携を深めたい」と話す。
【ワードBOX】石干見(いしひび)
海岸の浅瀬に半円形の石垣を造り、潮が引いた後、石垣内に取り残された魚介類を網や手づかみで捕る漁法、もしくは石垣そのものの呼称。地域によってスクイ、スキ、スケアン、インカチなど呼び方が異なる。
=2018/01/08付 西日本新聞朝刊=