国道14号、千葉街道より南西側はかつては白砂青松の海岸だった。保養地としての稲毛海岸の名残として旧神谷伝兵衛稲毛別荘が国登録有形文化財に登録されている。
浅草の神谷バーにビールを飲みに行ったことを思い出した。
① 「ワイン王」洋館休館へ 旧神谷伝兵衛稲毛別荘 来年築100年、耐震工事で
2階の和室とブドウの古木が使われた柱を見上げる女性
日本の「ワイン王」と呼ばれた明治~大正時代の実業家、神谷伝兵衛(1856~1922年)が建て、国の登録有形文化財に指定されている洋館「旧神谷伝兵衛稲毛別荘」(千葉市稲毛区稲毛1)が、耐震補強工事のため9月1日から休館する。築100年の節目となる来年12月下旬まで工事を予定。地域の貴重な文化振興拠点として、より効果的な活用方法を検討していく。
神谷は、日本人向けの洋酒製造に努めた実業家。東京・浅草にある「神谷バー」の創業者で、ワイン「蜂印香竄葡萄酒(はちじるしこうざんぶどうしゅ)」やカクテル「電気ブラン」の製造者として知られる。
同別荘は18(大正7)年に建てられた。鉄筋コンクリート造りで、1階にシャンデリアのある玄関ホールと暖炉が備わった洋間、2階は和室が広がる。ワインを連想させるブドウのモチーフが柱や天井などにデザインされているのが特徴。庭には磯馴松(そなれまつ)やコイが泳ぐ池がある。
84年に市が所有者から無償譲渡を受け、89年から一般に公開。稲毛がかつて白砂青松の海辺の保養地だった歴史を物語る建造物として、97年に国登録有形文化財になった。
現在は指定管理者の市文化振興財団が、88年に敷地内に開館した市民ギャラリー・いなげと併せて、地域の文化振興拠点として活用。市内小学校の団体見学を受け入れるなど地域密着の取り組みを進め、昨年度の来館者数は前年度比約3700人増の1万3308人だった。
市文化振興課によると、施設の老朽化を踏まえ、2011年3月の東日本大震災以降は1度に入れる人数を7人までに制限。12年度の診断で耐震不足が判明し、補強工事を決めた。工事車両が入りづらい地形や当時の建具をそのまま使うことから工期は約13カ月間を想定し、10月中旬にも着工する。
総事業費は1億1100万円。うち約7千万円が地方債を含めた市負担分で、残りが国補助金となる。同課は「工事後も多くの市民に見てもらえるよう、利用方法を検討したい」と話す。
同ギャラリー学芸員の行木弥生さんは「西洋文化が日本の文化となじんだ大正時代らしい建築。工事後は空間を生かした企画展なども大々的に開けるようになる」と期待する。
同別荘は入館無料。開館は午前9時~午後5時15分。月曜日休館。同ギャラリーは9月以降も通常通り開館する。
② 神谷バー