関門海峡の浚渫事業 | 日本の歴史と日本人のルーツ

日本の歴史と日本人のルーツ

日本の歴史と日本人のルーツを解明します。

基本的に山口県下関市を視座にして、正しい歴史を探求します。

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内務省下関土木出張所跡地の碑

古来関門海峡は、我が国屈指の要衝として聞こえたところであったが、往時の海峡は、大きく湾曲した水路に与次兵衛岩、金伏瀬を初めとする岩礁、浅所が随所に散在して、航路を複雑狭隘にし、加えて名にし負う急潮渦巻き、天下の難所として海の男たちの大いに恐れるところでもあった。ここにおいて、政府は、海難の防止と海運の振興のため、海峡の大改良を決意し、明治44年4月この地に内務省下関土木出張所を開設して、その事業に当たらせると共に、西日本一体の公共土木事業を所掌させることとした。

すなわち、現在の運輸省第四港湾建設局及び建設省九州地方建設局の前身である。爾来60有余年、海峡は巨額の国費と多くの先人の苦闘とにより、数万トンの巨船の行き交う国際航路として面目を一新した。またこの間、この地に拠って九州山口地区の港湾、空港、河川、道路の建設に数々の業績を積み、地域の発展に大きく寄与した功績を忘れることは出来ない。

この度、下関地方合同庁舎の新営なり、由緒あるこの地を離れるに当たり、関門海峡改良事業、草創の由来と、先人の偉業を永く後世に伝えるため、浄財を募って、記念碑を建立するものである。(現地の説明板による)

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与次兵衛碑

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国土交通省の関門海峡の浚渫事業概要

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浚渫船の概要

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旧内務省下関土木出張所下関機械工場乾船渠


内務省下関土木出張所

この写真は大正元年のものであるから、内務省下関土木出張所になっている。昭和一八年に運輸通信第四港湾建設と改称した。

松尾守治さんが長く建設部長をしておられ、昭和三一年三月下関市長になられたが、戦後の下関の道を広くしすぎたということで三期目には出られなかった。

(写真集 明治大正昭和 下関より)(彦島のけしきより)


参考

① 与次兵衛碑(
参考)

文禄元年(1592)7月朝鮮出兵のため肥前名護屋城で指揮をとっていた秀吉は母の大政所 危篤の報で急遽、帰坂することになった。途中、小倉でお座船の日本丸に乗ったが、関門海峡で暗礁に乗り上げ危うく命を落とすところであったが、護衛中の毛利秀元に助けられた。日本丸の船頭 明石与次兵衛は責任をとり切腹した。

この岩礁は満潮時は海に沈み、干潮時に少しのぞくことで「死の瀬」と呼ばれていた。
ずっと経ってからであるが、航行安全と与次兵衛の冥福を祈り、碑がこの岩礁に建てられた。碑は何度も建替えられたが、明治45年からはじまった浚渫工事で「死の瀬」は爆破され船は安全に航行できるようになった。


戦後、記念碑として
門司の和布刈公園
と、当地、下関阿弥陀寺町の海岸に建てられている


② 古代、関門海峡は簡単に通過出来なかった(参考)

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明治27年の海図、彦島あたり、海峡の中央に岩礁が多くあった

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明治27年の海図、早鞆瀬戸あたり、海峡の中央に岩礁が多くあった


③ 長州出島

関門海峡の浚渫事業で出た土砂で貿易の為の人工島「長州出島」を響灘側に建設している。

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④ 旧内務省下関土木出張所乾船渠(参考)

明治43年(1910)、関門海峡は横浜、神戸、敦賀とともに国の第一種重要港湾に指定されました。海峡の航路確保のため、翌年には内務省下関土木出張所も設置され、西日本最大の土木基地となりました。このための作業船の造船、修理を行うために付設された下関機械工場の現存する唯一の遺構がこの乾船渠です。当時は石造のドックが一般的でしたが、下部4段は無筋コンクリート造であり、全国最古級のものとして注目されます。

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大正8年

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西から東方向に見る


⑤ 唐戸市場とドック(参考)