監護者母・父との面会交流なしの場合の子の意見~子の声の紹介② | 金沢の弁護士が離婚・女と男と子どもについてあれこれ話すこと

金沢の弁護士が離婚・女と男と子どもについてあれこれ話すこと

石川県金沢市在住・ごくごく普通のマチ弁(街の弁護士)が,日々の仕事の中で離婚,女と男と子どもにまつわるいろんなことを書き綴っていきます。お役立ちの法律情報はもちろんのこと,私自身の趣味に思いっきり入り込んだ記事もつらつらと書いていきます。

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このシリーズ
1 面会交流について悩んでいるお母さんたちへ
2 『離婚した親と子どもの声を聴くー養育環境の変化と子どもの成長に関する調査研究』から
3 監護者母の場合の父との面会交流,子の評価①~人数,割合の紹介 
4 監護者母・父との面会交流ありの場合の子の評価~子の声の紹介①

 前回記事「監護者母・父との面会交流ありの場合の子の評価」では,『離婚した子どもの声を聴くー養育環境の変化と子どもの成長に関する調査研究』(FPIC)から,その表題の紹介を行いました。
 今回は,監護者母・父との面会交流なしの子の意見です。

2 父との面会交流がなかった27人中,面会交流について肯定的意見6人(22%)

①女性,離婚時保育園児,現在20代

「離婚時被疑者は親にしてほしかったことは何か」の問いに,「父親と会う機会を作ってほしかった」と回答。
「父親にしてほしかったことは何か」の問いに,「一度でいいから会いたかった。せめて年1回の誕生日は祝ってほしかった」と回答。
さらに,以下のように心境を綴る。
「今も十数年前の親の離婚の影響は大きく,ストレスになっている。心理的にかなり追いつめられていたことはトラウマとなって今の私を苦しめる。しかし,母を責める気はない。今の願いは,一度父親に会いたいということだけだ。それが実現すれば,やっと長年の心のもやもやが少し晴れるのではないか」

②女性,離婚時4歳,現在10代大学生

「離婚後,父親にしてほしかったことは何か」の問いに,「手紙の1通くらいは書いてほしかった」と回答。

 なお,この本の解説によると,「面会交流がなかったことについて,父や母に対して,子どもが会いたい気持ちを持っていることを汲み取って,働きかけてほしかったという回答」が複数あったということである。

3 父との面会交流がなかった27人中,面会交流について否定的意見9人(33%)

①男性,離婚時6歳,現在20代

「離婚してよかった。喧嘩が絶えず,喧嘩のときの父親の怒鳴り声や躾けの厳しいことで,怖い,嫌いという気持ちしかなかった。父親に会わなくて済むことで気分的に幾分楽になった」

離婚時6歳で,その時の父親像から,「離婚してよかった」という思いになっても,この男性は,「両親が離婚したことで困ったり悩んだりしたことがありますか」の問いに対し,以下のように答えている。
「離婚するような相手との子どもを何でつくるのか,そんな相手との子どもは生まれて生きていく意味はないと思った。このような感情は大きくなるにつれて強くなってきたと思う。」


 この調査研究の解説では,前記事
監護者母・父との面会交流ありの場合の子の評価~子の声の紹介①の中の,面会交流あり肯定的意見のケースの⑧,⑨を紹介し,これら意見は,面会交流を経験し,離婚時拒否した親を再認識して受容している場合であるとしています。

⑧「昔は父が嫌いだったが,いい面も見えて来た」(女性,離婚時小学校入学前,現在20代)


⑨「父はかつての暴君ではなかった」(女性,離婚時19歳,現在30代) 

 その上で,この調査研究の解説は,次のようなまとめを行っています。

「夫として,妻としての争いが離婚によって収まった後,子どもに「(面会交流は)嫌だ」と拒否させないように,夫・妻の立場で争った関係から,父親として,母親としての新たな関係で子どもの立場・幸せを考えていくことができる,『どちらも親』として認識できる新たな関係の成熟が求められている。」


 しもちゃんは,上記の指摘は,基本的に同意します。
 ただ,私としては,もう少し突っ込んで考えたくなる部分がありました。
 また,調査の分析が,面会交流はあった方がいいのだという方向へ誘導しているような印象を受けました。
 次の記事で私が考えたことを紹介します。
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