このシリーズ
1 面会交流について悩んでいるお母さんたちへ
2 『離婚した親と子どもの声を聴くー養育環境の変化と子どもの成長に関する調査研究』から
3 監護者母の場合の父との面会交流，子の評価①～人数，割合の紹介
前回記事で，離婚後の面会交流について，子の監護者母，父との面会交流についての子の評価の分布を，面会交流ありの場合と面会交流なしの場合の双方について見ました。
この記事では，監護者母，面会交流ありだった子の，やってよかった理由，やらない方がよかった理由を紹介しましょう。
２
父との面会交流あり41人のうち，肯定的評価31人（75％）の「やってよかった理由」
①「父のいい面も見えてきた」（女性，離婚時5歳，現在20代）
②「勉強など教えてもらえる」（女性，離婚時10歳，現在10代）
③「自分を愛してくれるのを肌で感じられた」（男性，離婚時10歳，現在20代）
④「私の心の土台ができた」（女性，離婚時10歳，現在40代）
⑤「父とは別れたくなかった」（男性，離婚時小5，現在10代）
⑥「友人と父の話をしても普通に話せる」（女性，離婚時12歳，現在10代）
⑦「精神的な支えがあった」（女性，離婚時16歳，現在20代）
⑧「昔は父が嫌いだったが，いい面も見えて来た」（女性，離婚時小学校入学前，現在20代）
⑨「父はかつての暴君ではなかった」（女性，離婚時19歳，現在30代）
などなど
３ 父との面会交流あり41人のうちやらない方がよかったと思っている6人（15％）
①「私のことは嫌いだと言われてから，会うのが怖くなった」（女性，離婚時10歳，現在10代）
②「父は私の話に関心がなく，父が愚痴をこぼすための連絡は迷惑」（女性，離婚時11歳，現在20代女性）
③「父は自分の夢を追求していく人。父親になってはいけない人だった」（男性，離婚時14歳，現在20代）
④「父の自己満足だった。私のためだったことは一つもない」（女性，離婚時14歳，現在20代）
⑤「遠かったので会いに来ることはなかったが，酔って電話をかけてきたり，中3の私にお金の無心をしたりした」（女性，離婚時14歳，現在30代）
⑥「なんとなく母に隠してという形になるし，母からは父と連絡を取っているのかと聞かれるたびにイライラした」（女性，離婚時17歳，現在20代）
上記の①～⑤は，その内容からして，面会交流をする父に対する子の否定的評価があります。子の受け止めとしては，面会交流を行う父が自己本位で身勝手なものと感じられたのでしょう（しもちゃん要約）。
なお，この本の解説によると，上記⑤のケースは，離婚原因がＤＶであり，回答した現在30代女性は，「ＤＶがある場合は，基本的には面会交流を認めるべきではないと国連の報告書にも書いてあります（女性に対する暴力についての報告書・クマラスワミ報告書）」と回答書に記述していたそうです。
他方，⑥の意見は，この本の解説では，「一緒に暮らす母としてのあり方を問題にしている。」と評価しています。
これに対し，しもちゃんは，子は直接的には，同居している母のあり方を問題にしているけれども，母がそのような対応をするについて，もしかしたら，父と母との関係性が良好ではないという状況があったのではないかと想像します。
そして，その良好でない関係性の原因が主にどちらにあるのかについては，(1)母，(2)父，(3)父母双方それぞれに，という３通りの可能性があり得るでしょう。
いずれにせよ，当たり前のことですが，私は，これらの子の声から，面会交流については，まず，面会交流を求める父が，子どもにとって良き父であろうとご自身を振り返るところからスタートしてほしいと思います。
そのようなご自身への反省や離婚前の夫婦関係への反省（これは，夫有責，妻有責，双方有責いずれも含みます。）をしっかり行って，その上で，離婚した元妻とのこれからの関係，離れて暮らすこととなった子とのこれからの関係をどのようなものとしてイメージしていただきたいと思います。
その際には，自尊とともに他者尊重の姿勢を十分に持っていただいて，そのような他者尊重の姿勢を発揮していただけたらと思います。
父がそのような姿勢であってこそ，実際に子を監護する母は，父と子の面会交流に対し，協力的になれるように思います。
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