3人くらいの弁護士に法律相談をして,その中から選ぶ~弁護士を選ぶ(女性の方へ)・3-1~ | 金沢の弁護士が離婚・女と男と子どもについてあれこれ話すこと

金沢の弁護士が離婚・女と男と子どもについてあれこれ話すこと

石川県金沢市在住・ごくごく普通のマチ弁(街の弁護士)が,日々の仕事の中で離婚,女と男と子どもにまつわるいろんなことを書き綴っていきます。お役立ちの法律情報はもちろんのこと,私自身の趣味に思いっきり入り込んだ記事もつらつらと書いていきます。

 前記事弁護士に依頼するって結婚みたいなもの?~弁護士を選ぶ(女性の方へ)・の続きです。

 前記事では,弁護士への依頼は結婚のようなものなので,その弁護士でいいかを熟慮してあなた自身で選びましょうと書きました。
 さて,その選び方です。
$金沢の弁護士が離婚・女と男と子どもについてあれこれ話すこと-DVhandbook
 ずばり…

 3人くらいの弁護士に法律相談をして,あなたにもっとも合う弁護士を選びましょう。

 これは私のオリジナルではなく,「意味のある我慢」シリーズ(こちら)でご紹介した竹下小夜子先生がおっしゃっていたことです。


 また,「あなた『ひとり分の人生』を生きる」,「専門職支配」といったことに関してご紹介した 『ドメスティック・バイオレンスー援助とは何か 援助者はどう考え行動すべきか』(鈴木隆文・麻鳥澄江著・教育資料出版会,2003年9月第1版発刊。2008年3月三訂版発刊)(「専門職支配」についてはこちら)でも,このように説明されています。やや長いですが,大切なことですので,略さずに引用します。色つけとか太字は私です。

~引用開始~

利用者が選択する

 利用者にとって十分な情報と納得した選択をしていくことが望まれるが,利用者の選択を妨げているのは①情報の不足,②選択肢の不足,③選択を利用した場合の社会的評価の悪さである。
 社会に選択肢を増やし利用しやすくするのは援助者の役割である。選択できるものが複数あることは力になる。選択肢を伝えることは利用者の健康と安全に大きく影響している。当事者が利用しやすい選択肢を社会が用意できないと,利用者は男性からの暴力のある生活の中で選択権を奪われているのに,援助の場でも選択の自由がないことになる。利用しやすい選択肢が存在しないこと,少ないことは,それ自体が社会的抑圧の現れである。したがって特に社会の周縁にいる人は選択肢が限られてしまいがちである。
 それでもやはり援助者は本人が選択できる複数の情報をできるだけ提供する。直接情報でなくても図書館で読める本の紹介もある。複数の情報が伝わることが本人の安心につながり,実は援助者の安全にもつながる。例えば,援助者としても,利用者が事前情報を得て,複数の援助者の中から,誰の援助を受けるのかを,冷静に選択することができる力を信用すれば,利用者から過度に依存されないという安全を保つことができる。
(前掲書第1版203頁・231頁)
$金沢の弁護士が離婚・女と男と子どもについてあれこれ話すこと-DVasadori
~引用終了~
 
 麻鳥澄江さん,鈴木隆文先生の上記文章は,弁護士の選択に限ったものではなく,どのような選択でも,複数の選択肢をできるだけ提供するべきとしています。そして,「例えば」以降の文章で,援助者自身もまた複数のものから利用者に選択されるべきものであることに言及しています。さらに,それが援助者にとっても,「利用者から過度に依存されないという安全を保つ」と指摘します。

 次の記事では,竹下小夜子先生の指摘や麻鳥澄江さん・鈴木隆文先生の指摘を,私自身の経験をふまえつつ,お話したいと思います。特に,麻鳥澄江さん・鈴木隆文先生の指摘にある「利用者から過度に依存されないという安全を保つ」という指摘は,その背景事情をご説明しないと分かりにくい面がありますから。
 私は,実際に,法律相談の際,「私以外にもあと2人くらい,全部で3人の弁護士の法律相談を受けてからどの弁護士に依頼するかを決めた方がよいと思います。」と相談者にお話することがあります。相談者が私に依頼したいと即決し,私自分がその相談者の依頼を引き受けたいと積極的に思っている場合でも,そうする場合があります。そのようにする理由も,このシリーズのどこかの記事でお話します。

 次の記事に続く…