こんにちは、みなさんお元気ですか?
なかなかブログを書く時間がとれず、久しぶりの更新となってしまいました。

ということで本日ご紹介するのはこちら、先月行われた「板谷波山没後50年記念シンポジウム」です↓

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板谷波山先生は、茨城県筑西市出身の陶芸家(文化勲章受章者・茨城県名誉県民・筑西市名誉市民)。
今年はその没後50年にあたるということで、各地で先生を偲ぶ展覧会やイベントが開かれています。
波山先生のふるさと筑西市でも、「波山 鳩杖 八十年」、「没後50年 波山忌茶会」などが行われました。
この「板谷波山没後50年記念シンポジウム」も、筑西市内で行われた波山先生を偲ぶイベントのひとつで、先生の命日にあたる10月10日に、市民グループ「下館・時の会」が開催したものです。

さて、シンポジウムですが・・・
司会進行を努めるのは、「下館・時の会」の一木努会長↓

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場内には、「関東地方のある方」が所有する波山先生の作品「彩磁草花文花瓶」が展示されていました↓

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開会時間になり場内に流れてきたのは、波山先生自身がうたう謡曲「桜川」。
波山先生の肉声はあまり残されていないようなので、これはなかなか貴重な音源かと思います。
ちなみに、昭29年に茨城県が制作した映画「HAZAN」の一部が筑西市ホームページで公開されていて、ここでは声と併せて先生の動く姿を見ることができますので、興味のある方はご覧ください。

さてさてシンポジウムは3部構成で、まずは第1部の「波山再考」。
美術雑誌編集者である小松久人さん(写真左)と、東洋古美術を取り扱う繭山龍泉堂の川島公さん(写真右)のお話をうかがいました↓

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小松さんは、波山研究の第一人者である学習院大学・荒川正明教授のもとで研究に携わり、当時の新聞や雑誌も含めた文献資料を丹念に精査するなど波山先生の足跡を探究し続けているそうです。
ヘレンケラー来日時に贈られた記念の香炉が実は波山作であったなど、初めて聞く興味深い話ばかりでした。
いつかその研究成果をまとまった形で、多くの筑西市民の目に触れる方法で発表していただけれればと楽しみにして

川島さんのお話は、美術商の立場から見た波山作品について。
バブルが崩壊して以降美術品の相場は下落したが、波山作品だけは別格で輝きを失っていないとのことです。
10年ほどまえに波山先生の「大壺」が市場に出た時には5,000万円、小さい「葆光」は1,500万円で取引されたと話されていました。
すごいですね。

続いて第2部は「美術館競演」。
それぞれ没後50年の展覧会を開催する、茨城県陶芸美術館の花井久穂学芸員(写真左)、敦井美術館の渡辺新太学芸員(写真右)、出光美術館の柏木麻里学芸員から、所蔵作品や展覧会コンセプトなどについてのお話をうかがいました↓

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こちらは敦井美術館「開館30周年記念 近代陶芸の巨匠 板谷波山展」のチラシ↓

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敦井美術館は昭和58年、新潟県内を基盤に燃料や建材などの関連商品販売や工事などを行う敦井産業の創立60周年を記念し、創業者である故敦井榮吉氏が収集したコレクションの公開を主眼に開館。
このチラシに大きく写っているのは、敦井美術館所蔵の彩磁禽果文花瓶(大正15年)で、国の重要文化財に指定されている波山先生の代表作のひとつです。
※なお、この日出席予定だった佐野市立吉澤記念美術館の末竹さとみ学芸員は、急用のため欠席されました。

最後は第3部、学習院大学・荒川正明教授による特別講演「波山との日々から」↓

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フランスの画家・セザンヌのふるさとが、セザンヌの記念館やゆかりの地を中心に芸術のまちとして発展していることを引き合いに出し、筑西市でも板谷波山記念館など波山を知るための施設の整備を地元に期待し、自らもそれを支えたいとおっしゃっていました。
確かに、鳩杖や陶片を飾れる場所があるといいかもしれませんね。


というわけで、「板谷波山没後50年記念シンポジウム」のご紹介でした。


■「板谷波山没後50年記念シンポジウム」
日時 平成25年10月10日(木)午後1時30分会場 午後2時開演
会場 しもだて地域交流センター・アルテリオ集会室 
主催 下館・時の会(第25回企画)
共催 筑西市 筑西市教育委員会
協力 財団法人波山先生記念会 しもだて美術館
問合せ TEL0296-23-2607(T's設計室)

■茨城県陶芸美術館企画展「没後50年板谷波山展」
期間 平成25年10月5日(土)~12月8日(日)月曜休
時間 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
料金 一般700円 高大生500円 小中生250円
主催 茨城県陶芸美術館 毎日新聞社
後援 N H K 水戸放送局 朝日新聞水戸総局 茨城新聞社 笠間市 笠間市教育委員会 社団法人笠間観光協会 筑西市 筑西市教育委員会
協力 板谷波山記念館
協賛 日本写真印刷
助成 平成25年度文化庁地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ
問合せ 茨城県陶芸美術館(笠間芸術の森公園内)TEL0296-70-0011

■敦井美術館「開館30周年記念 近代陶芸の巨匠 板谷波山展」
期間 平成25年10月7日(月)~12月14日(土)日曜・祝日休
料金 一般500円 高大生300円 小中生200円
問合せ 公益財団法人敦井コレクション敦井美術館 TEL025-247-3311

■出光美術館「没後50年・大回顧 板谷波山の夢みたもの-〈至福〉の近代日本陶芸
期間 平成26年1月7日(火)~3月23日(日)
時間 午前10時~午後5時(入館は4時30分まで)
    毎週金曜日は午後7時まで(入館は6時30分まで)
料金 一般1,000円 高大生700円 中学生以下無料
主催 出光美術館、毎日新聞社
問合せ ハローダイヤル (展覧会案内) TEL03-5777-8600

■佐野市立吉澤記念美術館「波山没後50年を迎えて-吉澤コレクションの板谷波山
「田中正造翁没後百年顕彰事業 特別企画展 田中正造をめぐる美術」併催 
期間 平成25年10月12日(土)~11月24日(日)
時間 午前9時30分~午後5時 
料金 一般500円 大学生以下・障害者手帳等をお持ちの方は無料
主催 佐野市 佐野市教育委員会 佐野市立吉澤記念美術館
問合せ TEL 0283-86-2008