こんにちは、みなさんお元気ですか?

さて突然ですが、みなさんは、夢枕獏さんの小説や野村萬斎さん主演の映画「陰陽師」などでお馴染みの安倍晴明(921?~1005?)をご存知でしょうか。

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↑画像は筑西市ホームページより

安倍晴明は平安時代に実在した人物ですが、実はここ茨城県筑西市生まれという伝説があります。

その伝説を伝えるのは、「簠簋抄 ほきしょう」(成立年代不明、江戸時代初期か)という文書。「簠簋抄」は、何者か(諸説あり)が晴明に仮託して編纂した「三国相伝陰陽輨轄簠簋内伝金烏玉兎集(さんごくそうでんいんようかんかつほきないでんきんうぎょくとしゅう)(簠簋内伝)」という陰陽道の文書の注釈書です。

「簠簋抄」には、陰陽道の日本伝来や、安倍晴明の様々な伝説などの記述があり、その中に、晴明は常陸国猫島(現在の筑西市猫島)で生まれたと記されているとの事です。同書によれば、晴明は5~6歳頃まで猫島に住み、村人から神童と呼ばれていたといいます。

現在猫島には、安倍晴明を祀った神社や、干ばつでも決して枯れないと言われている晴明の井戸などが残されています(個人所有)。
また、市内宮山にある宮山ふるさとふれあい公園内の安倍晴明展示館に晴明に関する展示がされているので、興味のある方は一度立ち寄ってみてください。

ちなみに、晴明が常陸国猫島生まれというのはあくまでも「伝説」であり、確証はありません。そもそも猫島生誕説の根拠とされる「簠簋抄」自体が筆者・成立年代不明であり、更にその大元である「簠簋内伝」も晴明の手によるものではありません。また内容も、晴明の母が狐の化身であるなど荒唐無稽な部分が多く、それらの点は史実として認められる性質のものではありません。おそらく晴明は、陰陽道に通じる下級官人の子として、畿内で生まれたと考えるのが妥当ではないでしょうか。

ただし、なぜ後世になって常陸国猫島が晴明生誕の地として選ばれたのか、そのあたりは別の課題として調べてみても面白そうです。



というわけで、陰陽師・安倍晴明の常陸国猫島生誕伝説のお話でした。


筑西市観光協会