先日、近所の行きつけのスーパーで、偶然にもひょっこりはんを見かけた。 



 テレビ局のクルーらしき人影もなく、スーパーからの事前告知もなかったので、たぶんプライベートなのだろうか?


いや、


何気なく近づいて行ったら、単に僕の人違いだったようだ。 


しかも、よくよく見たら女性ではないか!


なんぼなんでも女性をひょっこりはんに見間違えてしまうなんて「ホント、マジで大変申し訳ありませんでした!」と心の中で深く一礼して、その場を立ち去ろうとしたその時、その、ナ~ンチャッテひょっこりはんの方から呼び止められた! 


「あの~ ひょっとして磯野くんじゃない?」 






ちょっとだけ時間がかかったけれど思い出した! 同級生で小学校が一緒だった田中さん(仮名)だ! 


田中さんは小学生の頃は、ちょっと暗めな子で、みんなとキャピキャピ遊ぶようなタイプではなく、なんとなく近寄りがたい不思議なオーラを醸し出しているような、おとなしい人だった。 


そんな感じの子だったので、特段これといった思い出はなかったけれど、ひとつだけ強烈にドっカーーン!とインパクトのある記憶が蘇った!



幸か不幸か、たまたま偶然席が隣同士だったこともあり、一度だけ「ねぇ磯野くん、一緒にコックリさんやらない?」と誘われたことがあったのだ。 


僕的には、コックリさん云々よりも、正直なところ田中さん自身があまり得意ではなかったんだけど、当時めちゃくちゃ流行っていたコックリさんへの怖いもの見たさの好奇心から、そのお誘いを安請け合いしてしまった。 


その日の放課後、誰もいなくなった教室に、僕と田中さんと、もう一人田中さんの女友だちの高橋さん(仮名)3人だけが残った。 

 

そしていよいよ儀式が始まる… 


田中さんはおもむろに自分の机の上に用意していたコックリさんシートを広げ、その上に、これから狐の霊が宿ることになる10円玉が置かれた。 


3人はそれぞれ自分の人差し指の指先を一枚の10円玉の上に置いて意識を集中させた。



 僕にとっては、初コックリさん体験だったけど、半信半疑や遊び半分で行ってはコックリさんに取り憑かれ半狂乱になってしまうという言い伝えがあったので、僕は全身全霊を賭けて誓って、コックリさんを心の奥底から信じきった。 




そしていよいよ降霊の時が来た! 


「コックリさん、コックリさん、どうぞお越しください」 


するとどうだろう!驚いたことに、僕は全く指先に力を入れていないのにも関わらず、10円玉が勝手に鳥居の上に動いたではないか!


そして、すかさず田中さんが先陣を切ってコックリさんに尋ねた… 


 「コックリさん、コックリさん、わたしが将来結婚するひとは誰ですか?」 




 えっ? 

えぇぇぇーーーっ???  

結婚なんて、まだまだ遠い将来のことなのに、今、いきなり初っ端の1問目にそれ訊いちゃう? 


田中さんのせいで不覚にも、一瞬だけ心を取り乱してしまったが、この邪念がコックリさんをご立腹させてはマズイと思い、必死で体勢を立て直し、再度、全神経を指先に集中させた。 


 お願いです!コックリさん!間違っても、どうか僕の名前だけは出さないで下さい!





するとまた、ゆっくりと10円玉が50音の文字の上をなぞりだした!


そして、コックリさんが導いた答えは…

 


 「こ」

「う」

「ひ」

「ろ」

「み」 







あの時の、あの瞬間の、若かりし頃の田中さんの笑顔さえ鮮明に思い出した。 


あの日から田中さんは、将来自分は憧れの郷ひろみと結婚できるものと信じて疑わず、心なしか、それまでより笑顔も増えたようにさえ思えた。 



 そんな思い出話は一切出さなかったが、話の成り行きで、田中さんは未だ独身であることを知った。 


この先、ひょっとしてひょっとすると、郷ひろみ、4度目の結婚あり得るのか!?  


それとも、結婚のお相手は郷ひろみではなく、単に「高ひろみ」などという赤の他人なのか? 

それは、コックリさんのみが知るところ。




なんだか、この日記を書いていたら、だんだん頭が重たくなってきた… 


あれ? 僕は今、コックリさんについて書いてるんだっけ?

ひょっこりはんについて書いてるんだっけ?


何かに取り憑かれたかもしれない…