コミュニテイについて考える! | 南海トラフ地震・津波よ、来るな!

南海トラフ地震・津波よ、来るな!

南海トラフ地震と津波災害の予測がされている高知県から自分の身を守る、家族の身を守る、周囲の人を守る防災を考えていきます。
そして国際交流が多様化する中、文明と文明の出会い部分に注目して、日本人がどうすれば良いのか、について考えていきます。


今私は、南海トラフ地震・津波の大震災を真正面に受ける地域の1つ、高知県に住んでいます。


日々、大震災からどう逃れるのか、対応に追われている地域の皆さんのありようを真剣に見つめているのです。


しかし、時代の大きな流れの中で、実際に起きるかも知れない大災害も恐怖なのですが、同時並行で進んでいる、この「地域のコミュニテイの崩壊」こそもっと深刻に感じています。


この問題については、目立った対策が取られていないように感じるからです。



そこで数年前に山梨県に居た時に聞いた話を思い出したのです。



この先生を仮にK先生としておきます。


K先生は5~6年前にヨーロッパとアメリカの田舎を視察してきたそうです。そして見事な文明論を聞かせてくれたのです。



●ヨーロッパの田舎(スペイン、イタリアなど)

ヨーロッパの田舎をローカル鉄道に乗って、あるいは車で移動しながら、地方のコミュニテイを見て回った。


レストランで食事をして、食材は何処から?と尋ねるとみんな地元の、半径15kmの地域から調達しているというのです。その地域内で経済も回っているのです。


とくにスペインの田舎には、どこの村にも中心に教会があり、ゴシック建築のその建物が数百年の時間を超えて、存在感を示していて、村の中には箱型の建物など1軒も見当たらないと云います。


300年、400年の村のたたずまいが、キチンと現代も生きていると云う訳です。


ここでいう箱物建築とは、アメリカ風のビルを云うのですが、とにかく住民が生活をしていく上で、数百年の伝統の生活様式を、ごく自然に、楽しんで受け継いでいる様に感動したと云ってました。


つまりこの数百年間、田舎には今も昔からのコミュニテイが維持されているというのです。



●アメリカ(アトランタ市など)


一方、アメリカの社会を見ると、元々歴史が無いので古いコミュニティはないのです。奴隷と移民政策により人口が増えた国です。だからカラード(つまり白人以外の人種)の人口も増え続けてきたと云います。


しかし街の中にカラードの人たちが住み着いてくると、治安が悪くなり、白人は次第に転居して行ったというのです。


では白人家庭は何処へ行くのかというと、ゲーテッドコミュニテイに入るのだそうです。


ゲーテッドコミュニティは1980年ごろに欧米で登場し、現在では約5万箇所あるとされます


これは出入り口をガードマンが24時間ガードしている大規模な団地で、たとえば年収3000万円以上の家庭しか入れないなど、白人専用の団地で、そこの中は絶対的に安全な地域になっているそうです。


しかしその団地の中には商店がありませんから、安全に買い物ができる場所が必要になったのです。



●大型ショッピングモールの誕生


こうした歴史的経緯があって、アメリカでは街の郊外に大型のショッピングモールが次々に建設されたと云います。


その大型ショッピングモールの中は常に安全を保証されているそうで、ガードマンたちが雇用されてその任務に就いている訳です。



●日本の経済界は・・・


日本の経済人は、これこそ次世代のショッピングの姿であると勝手に思い込んで、米政府の後押しもあって、小泉政権が大店法を廃止し、日本にこれを持ち込んだのです。


そしてどうなったか?


地方に大型店舗ができてどうなったか?


日本の従来の商店街は壊滅し、シャッター通りになりました。

地域のコミュニテイの在り様が劇的に変わりました。


すべて後の祭りです。


規制緩和がなされて大店法を撤廃し、良い政治が行われたのでしょうか?



地方都市の商店街は壊滅しました。

大都市のデパート業界も地盤沈下が起きましたね。


ただ、住民個人として買い物は便利快適になった・・と感じているでしょうね。



●地方のコミュニテー崩壊の責任を政治が取れるのか?

大型店舗の許認可権は県知事にあります。


大型店舗が出店してきて、地域からお金を巻き上げて本店に吸い上げていきます。


地方の商店街がシャッター通りになって、各商店も息子が跡取りをすることが出来なくなり、結局は大都市で就職するはめになり、田舎に帰省することもなくなっています。


この責任を政治が取るのでしょうか?

地方都市の首長には何の権限もないのです。

しかし、過疎になった地域の政治の責任は負っているのです。


県知事が地方都市の空洞化の責任を取った話は聞いたことがありません。




●これで良いのか?日本


誰も意識していないかもしれませんが、便利・快適主義がもたらす先に何があるか?です。


そのもう一つの象徴がコンビニの普及です。


都市部のみが便利快適になって、国土全体を見た時に、日本は実にアンバランスになりつつあります。


あたかも先日沈没した韓国のフェリーのように、日本全体がアンバランスになってませんか?と警鐘を鳴らしたいのです。


誰も20年先の日本の理想社会のイメージを考えていないかのように感じています。


経済効率最優先の社会を選択して、次世代の日本は幸になるのでしょうか?

今の政界と経済界のリーダーに日本の文明論が欠落しているのでは?




今日のテレビで、改めて高知県の南海トラフ地震・津波による死者の数は、想定で4万2千人だと云ってました。



再度書きます。

私は南海トラフ地震・津波よりも、時々刻々衰退していっている地方のコミュニティの衰退ぶりがもっと恐ろしいのです。


過日新聞の一面に「高知県の人口は、あと数年で73万人を割る・・」というショッキングな文字が出ました。この人口は熊本市の人口ですよ。


コミュニテイが崩壊しては震災の復興は不可能でしょうから。



若い子育てをしている世代をこの地域に増やしていくことに私は真剣に取り組んでいこうと決めています。


コミュニテイがだんだん崩壊していく流れに逆らって、四万十の田舎に、若者が生活できるモデルを農業法人を基盤にして作っていきたいと考えています。