腰に力が入らず激痛 | 島川はり灸院(院長ブログ)

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堺市ではり灸院を営んでいます。
各疾患別に治療例を紹介しています。
はり灸の話を中心に日記も書いていきます。

こんにちは。

大阪、堺も昨日くらいからか秋風が感じられるようになりました。

また、日中との暑さのギャップからか朝夕が寒く感じられます。

言い換えれば、まだまだ気候が安定しておらず我々、人間も完全

に夏から秋の身体にシフトチェンジしきれていない微妙な時期で

もあると言えます。

そして、こういった微妙な時期には必ずといっていいくらい体調を

崩されて私のもとに来られる人がおられます。

先日も1人、リピーターの患者さんが顔を歪めて来院されました。

(患者) 男性、50歳、運送業、堺市在住。

(主訴) 腰痛。

(愁訴) 右坐骨神経痛、全身倦怠感。

(症状) 昨日の昼頃に昼寝が終わり起き上がろうとした時に腰に

     激痛が走ったとの事。

     以来、腰に力が入らず無理な姿勢をとると激痛が現れる

     といった状態を何回か繰り返しているとの事。

(診断) 患部の腰は艶がなく虚しており結構な熱感がみられました。

      手足の先は冷。

     脈診などの結果、労倦の肝虚証といたしました。

     所謂、腰の捻挫で長年のトラックの運転と坐骨神経痛

     からくる痛みをかばう無意識な姿勢が腰に疲労を溜め込ん

     で今回爆発したのでしょう。

     

(治療) 肝経、腎経、胆経、膀胱経と脾の募穴に鍼を施しました。

     次にゆっくりと座位になってもらい筋肉系のトラブルによく

     効果が見られる左の蕨陰癒穴にアプローチを行なった。

     患部の熱感少し取れる。

     そして、座位の姿勢から立ち上がってもらい身体を上下左右

     と動かしてもらいました。

(私)  「腰の具合はどうですか?」。

(患者) 「痛みは大分取れましたが腰の重だるいのがまだあります」。

     次に患者さんにうつ伏せの姿勢になってもらいました。

     腰の陽関穴周辺に細絡(黒紫色のうっ血)が見られたのでそ

     こに刺絡を施し滞っている悪い血を取り除きました。

(私)  「腰のだるさに変化はありますか?」。

(患者) 「マシにはなってますがまだだるいのがあります」。

     2日後の予約をもらい治療終了。

(2診目)腰の激痛は無くなったがまだ恐さがあるらしく身体の動作には

      気をつかっているとの事。

     また、腰の重だるさはまだ残っているらしい。

     今回も前回同様に治療を施しました。

     刺絡を行い悪い血を出している時に患者さんから一言。

(患者)「先生、右のおしりが痛なってきました」。

(私)  「ほ~う」。「取れたなたぶん」。

     そして、ゆっくり座位になってもらいました。

     患部の熱感はかなり退いていていました。

     次に立ってもらい上下左右、歩行運動をしてもらいました。

(私)  「どうですか腰は?」。

(患者) 「重だるさもなく身体が軽くなりました。でも右の坐骨が

      痛いです」。

(私)  「今回の腰痛は治りましたよ」。

(患者) 「右の坐骨が?」。

(私)  「毎回同じ事を言わすな、コノヤロー」。

          

 

(考察) 秋口や春先といった季節の変わり目は本当に体調を崩さ

      れる人が多いです。

      今回の患者さんの症例も気候の変化と疲労とが重なって

      新たな腰痛が出現したものと思われます。

             上記の私と患者さんとの問答を見てもらえば分かると思い

      ますが新たな疾患を患うとその前に自覚していた痛み(今

      回は右坐骨神経痛)の症状は感じにくくなります。

      そして、新しい疾患が改善されるにつれ身体が思い出した

      かの如く前に感じていた症状が顕著になってきます。

      つまり、新病が良くなるにつれ久病(慢性疾患)の症状が再

      び現れるという事です。

            病理で説明しますと労倦の肝虚から気虚の腎虚に変化した

      ことで本来の坐骨神経痛の痛みが出てきたという事です。

      今回の患者さんとは5年ほどの付き合いになりますが季節

      の変わり目には必ずといっていいほど私と顔を合わせます。

      そして、その都度坐骨神経痛の治療を勧めているのですが

      仕事が忙しくて継続治療にはいたっておりません。

(私)   「○○さん、次回は2月末の御予約でいいですね?」。

      「取っときますよ」。

(患者) 「えっ?何で?!」。

 

 

 

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