バネ指(ストレス性) | 島川はり灸院(院長ブログ)

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堺市ではり灸院を営んでいます。
各疾患別に治療例を紹介しています。
はり灸の話を中心に日記も書いていきます。

こんにちは。

大阪も梅雨入りし気候が安定せず朝晩が冷える日々が

続いております。

本日は様々な原因から発症すると言われているバネ指

の治験例を紹介いたします。

 

(患者) 男性、56歳、自営業。

(主訴) 右手中指PIP関節のバネ指(1ヶ月くらい前から)。

(愁訴) 腰痛、肩こり。

(症状) 右手中指PIP関節の曲げ伸ばしが自力では困難。

      朝起きた時が酷く右PIP関節が強張り右中指を動

      かすのに痛くて時間がかかる。

      日中の痛みはマシ。

(診断) 問診などの四診法の結果、肝心の血虚と診断しました。

      患部の右PIPの状態は左側と比べて少し肥厚してい

      ましたが大きな炎症は診られませんでした。

      また、右PIP関節を曲げた後、左手の助けがなければ

      右PIP関節を伸展させる事ができない。

(治療) 全身調整を施した後、右背部(けつ陰愈)に目立った

      凹を見つけたのでそこに鍼を当て右PIP関節の動き

      がスムースになったので10分間置鍼する。

      次に精神安定の効果を図るため頭にあるツボに10分

      間置鍼を行なった。

      最後に患部の右手中指PIP関節を挟んだ上下に短鍼

      で5分間留置。

      結果、自力で右手中指を動かせるほどになる。

      ただ、違和感は残っていました。

(2診目)2日後に来院されました。

      朝の強張りはあるが右PIP関節の屈伸時のカクカク感

      が大幅に減ったとの事。

      2診目以降も右手中指の血流改善(栄養)を補うことを

      目的に治療を重ねました。

(6診目)右手中指の違和感は朝の寒い日に偶に出るくらいで右

      PIP関節の曲げ伸ばし時の問題は完全に解消された。

             右PIP関節の肥厚はさほど変化は見られなかったと思う。

      また、肩こりも持続的なコリが無くなり腰の方も長時間、

      車の運転をしていても疲労が残りにくくなっているとの事。

      生活指導を耳にタコができるほど行いこの日で一応治癒

      といたしました。

(考察) 今回の患者さんのバネ指はよく見られる右手の使いすぎ

      によるものではありませんでした。

      恐らく心因性(ストレス)からくる末梢の血行障害が原因し

      ていたと思われます。

      また、今回の症例は2年前のものを温めておいたもので

      して細かな仕事内容までは憶えておりません。

      ただ、右手を酷使するようなお仕事ではなかったと記憶

      しております。

      来院されていた時期は6月の初めでちょうど季節が大きく

      変動する時期でもあり体内の血液が体幹に集まりやすく手

      足の末梢部に血流が行きにくくなっていたと思われます。

      そして、それにプラスして過剰なストレスが心の臓に負担

      をかけ更に体内の血流が悪くなって右手中指の血行障害

      に繋がってしまっていたのでしょう。

      前述しました冬季~春、または春~夏季にかけての気候

      が激しく変化する時期は手足の関節の痛みや痺れ、下肢

      の浮腫み、あるいは喘息発作などの症状が出やすくなる

      傾向があります。

      最後に今回の患者さんのバネ指は手の使い過ぎによるも

      のではなく気候の変化とストレスとが重なって発症した稀な

      ケースのものでした。

      つまり、問題のある指を酷使しないよりもストレスを無くす、

      あるいはストレスを取り除いてあげる事の方がバネ指には

      良い結果を生んだ症例だったと言えます。

 

 

      島川はり灸院

      http://www.shimakawa-harikyu.com/