今日は午後から上司の許可を得て、飯田橋にある株式会社モリサワの東京本社で開催されたセミナーに行ってきました。
目的は、埼玉県三芳町の佐久間智之さんのお話をお聴きすること。
佐久間さんは、自らDTPで内製化した町役場が発行する広報紙で内閣総理大臣賞を受賞するなど「日本一」の広報紙を作った、全国的にも有名な公務員。
広報のお仕事で培ったデザインの考え方や仕事術など著書も大変売れています。
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佐久間さんの著書 ![]()
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午前中は職場で通常業務でしたが、ふと耳に入ってきた「とある困りごと」の話を聴いて思い出したのが、
デービッド・コルブの「経験学習のサイクル」
経験する→振り返る→概念化する→試してみる
この一連のサイクルで、人は自ら経験したことから学び、成長することができるという考え方です。
日頃、私が交流している人の属性などにもよるのかもしれませんが、私の中ではこのサイクルの中でも“振り返る”って最も大切なステップだと思っていて、それでいて一番難しいんじゃないかとも思っている作業です。
一人ではやりにくいですし。
ワークショップデザイナーとしても、この振り返る部分のアクティビティをどのように取り入れて、プログラム全体をデザインするのかは、非常に大きな関心事です。
でも、今日の仕事中に思ったのは振り返りのことではなくて、“概念化”のこと。
概念化は、自分の経験から振り返り気付いたことなどを、他の場面でも使えるように一つの考え方として整えること。
例えば、
市長の原稿は事前に秘書にわたしてあるから大丈夫だと思って現場に持ってこなかったら、上司から「万が一に備えて持っておくべきだった」と指摘された(経験)とき、
自分は「秘書が持ってくるから大丈夫」だと思い込んでいて、秘書が忘れるかもしれないとは想像していなかった(振り返り)けど、
現場仕事では、現場でどんなことが起こり得るか様々なパターンを想像して、その各パターンにおいて必要な備えをすればいいんだ(概念化)と考え、
市民向けセミナーで受付から来場者の追い出しまで、各場面ごとに何が起こるかを考えて、場内の案内表示や講師の予備資料など前年まで無かったリスク対策を施してみた(試行)。
自分の日々の経験の中で、自分でこんなサイクルをグルグル回せたら自分で勝手に育ってしまってすごいのですが。
今日、思ったのが、
その経験って、
振り返ってちゃんと概念化すればいいのに
と思うことが職場で(自分の所属する課に限らず)ところどころ遭遇するんです。
一方で、その概念化が結構得意(に見える)人もいるんですよね。
以前の経験を今の目の前の仕事でも活かせる人。
活かせる経験って、今の部署での以前の経験の場合もあれば、以前の部署での経験の場合ももちろんあります。
東京でセミナーを受けながら佐久間さんのお話をお聴きしして、やっぱり職場と同じコトを思ったのですが、
公務員にとって、
この“概念化”ってすごく可能性があるな
ということ。
地方公務員は、短い期間で今の部署とは全く異なる部署に異動するケースが多く、それが専門的なスキルが高まらない、信頼関係を築いてた職員の異動が民間にとってのリスク、などと批判の対象となりがちです。
その批判のポイントについては、私も概ね同意です。
でも、コルブの「経験学習」のサイクルの中の“概念化”について考えたときに、異動と“概念化”(もちろん振り返りとセットです)が、もっと上手くリンクしたら、もう少し異動に対する意味付けが変わるのではないかと思ったんです。
異動する職員が異動によって元々の職場から新しい職場に持ってくる資産って何でしょうか?
今日、職場で気付いてから色々な職員を思い浮かべて、様々な仕事の場面を思い出してみたのですが、その多くは、以前の部署の職員との人脈や、以前の部署での法令や制度等の知識ではないでしょうか。
ただ、前の部署の事業と新しい部署の事業とがあまり関係がなければ、人脈も知識も、新しい部署で活かせる場面って限定的ですよね。
ですが、もし経験学習のサイクルを上手に回せる職員だったら、前の部署での経験を基に、新しい部署で活かせる知恵を“概念化”によって創り出せるかもしれません。
福祉分野を経験した職員が、まちづくりの部局に異動して、事業に前向きになれない地権者の“主訴”を明らかにする方法を確立したり
企画部門を経験した職員が、環境の部局に異動して、民間企業と協働するための汎用性のある事業フレームを作成したり
広報部門を経験した職員が、福祉の部局に異動して、住民の行動変容を目的とした情報発信をデザインする手順をマニュアル化したり
なんていうか
多くの地方公務員が、
異動しちゃったから前の部署での経験が活かせない、と感じるのは、今新しい部署で上手くできているアレコレが、実は前の部署の経験の振り返り→概念化による知恵である場合を、自分で自覚できていないというケースが多分にあるんじゃないかなと感じるんです。(もちろん、本当に活かせていない残念な職員もいると思いますが)
これは同じことを違う切り口で見てみると、
前の部署の経験を日々ちゃんと振り返ることができ、概念化もできるのであれば、異動によって様々な部署を経験することは、その都度、新しい部署で活かせる知恵を手に入れることに繋がるのではないでしょうか。
そして、それは職員個人にとっても意味あることですが、そういう経験学習のサイクルを上手に回せる職員が増えるとしたら、まちづくりの部署に福祉や教育や環境や企画部門といった各職員が以前の部署での経験の“概念化”によってもたらされた知恵が集まることになります。
地方公務員は、
振り返りと概念化を中心とした経験学習のサイクルを、もっと当たり前のように回すことを覚えたらいいのかも。
さらに言えば、
職員がNPO活動など庁外での活動での経験について振り返って、庁内で使えるように概念化できれば、組織や市民に還元できる“2枚目の名刺”の持ち方として、相当カッコいい気がします。
ちゃんと振り返った方がいいのは、“やりっ放し”と批判されがちな役所の事業の進め方だけではなく、個人の多様な経験についても言えるみたいです。(しかも、それが組織にとっても超大きなメリットがある!)
皆さんは如何お考えですか?
モリサワでの佐久間さんのセミナーのあとは、さいたま新都心で作戦会議。
こちらもとても有意義な時間になりました。
有意義な時間だったということは、やるべきタスクが積み上がったということでもあるのですが(汗
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