E85 BMW Z4 3.0 SMG
快感発生マシン。Made in USAは信用できぬ。 
 
車検の時期が近付いた。318Ciに文句は全くなかったが、ディーラーに行くとZ4を貸してくれる
と言うことで、2泊3日で借りることになった。
Open Carは何度か乗ったことはあるが、エンジンはあこがれの直列6気筒 3000cc。
初めて触れる世界だった。
そして、一旦乗ると脳天直撃の快感。
以前2500ccのZ4に乗ったが、ここまでの快感は得られなかった。
BMWは3000ccの方はSportyに仕上げていたのだ。
翌日会社を休んで江の島まで走りに行ったが、もう最高だった。
ルーフを取っ払うとこんなに気持ちが良いなんて。
いくつか見えた欠点なんて気にならないぐらいだった。
そしてすぐに契約。
車はSMGで、左ハンドル。SMGは左しかなかったかもしれない。
日常においての非日常を味わえる最高の車だった。会社帰りは雨以外は必ずOpenにして
帰った。実は冬のOpenは最高なんだと初めて知った。
低い位置に座るシートと、独特のスタイリングはSports Car然としており、初めて見ているだけで
格好良いなあと思える車を乗ることができた。
内装は無垢のアルミパネルが貼られており、NAVIの位置も良く、操作系に不満は無かった。
ステアリングはBMWにしては細く、らしくないものだったが、このステアがじつはこの車の性格を
表していたのだと今にして思う。
そしてエンジン。
M54B30Aは最高のエンジンだった。
しっとりと綺麗に回り、変な軽々しさは無く、きめの細かい回転フィールだった。
何かたっぷりとOILに漬かったムービングパーツが動いているような感じと言えば良いか。
サウンドも良いし、このエンジンを味わえたことは僕の財産になった。
これに勝るエンジンはM5に積まれたV10 5000ccぐらいだと今でも思う。
トランク容量も大きく、エレアコのギターも飲み込んでくれた。
インテリアは適度に広く、S2000やロードスターのような狭さは無く、快適であった。
風の巻き込みがかなり多かったが。
 
天国を味わせてくれたZ4だが、しかしながら同時に地獄も味わった。
まずは日本一と言われたくらいの故障の多さ。3か月としてまともな期間は無かった。
サービス工場の人と顔見知りになるくらいだった。
不満は故障だけではない。
まずは非現実的な乗り心地の悪さ。その頃BMWはランフラットを採用しだしたのだが、18インチの
Optionタイアだったためか、胃下垂になるのではないか?と思うような硬さだった。
シートは例の世界最悪の革と言われるダコタレザー。すぐに尻が痛くなり、サポートは全然しない。
いつもニーパットのお世話になっていた。
問題は走りにもあった。BMW初採用の電動パワステのフィールはとてもBMWとは思えないほど
人工的で違和感があった。
また車のZ軸よりも後方に座ることによる挙動の感じ方は最後まで馴染めなかった。
ステアを切ると一旦外側に体が降られ、それから巻き込むよ動きになる。
素早くノーズが入っていかない感じがするのだ。車との一体感が薄いともいえる。
古いイギリスのSports Carや、フェアレディ Z等も同様の挙動がある。ND ロードスターも
若干この傾向がある。
よって山道や峠が楽しくなく、高速道路が一番気持ち良いと言う車だった。
この車でも伊豆半島を一周したが、楽しさよりも疲れが大きかった。
またSMGもやってくれた。
アクセルを踏んだままシフトアップすると、ショックが大きく、とても醜かった。
よってシフトアップの際はアクセルを戻してトルク変動を吸収させてショックを逃がすことで
快適に走ることができたのだ。
故障は無いですよーと営業の言葉にすっかり騙され、予想通りちゃんと壊れた。
油圧系に問題があり、シフトチェンジできなくなったのだ。
工事渋滞のところでエンゲージできなくなって、更に渋滞を助長さてしまった。
右往左往していると、何とか3速まで走るようになって、何とか帰宅できた。
結局ミッション交換の憂き目にあった。
ある時リアタイアがカッターナイフを踏み、故障の多さもあって、この車から離れたくなった。
まあ、その前に発生したミッション交換で既にその気になっていたのかも。。
 
総括
Z4に乗ると高揚させてくれ、いつでも楽しかった車。
疲れる車だったが、それよりも気持ち良さが上回った。
だが、品質の悪さと、コンセプトの曖昧さがあったように思う。
本来はSports Carに仕立てるのではなく、もう少しゆっくりとした車にすべきだっただろう。
また、ランフラット最新技術も消化不良だったと思う。
とは言え、新しい価値観を与えてくれ、素晴らしいBMWのBIG 6を味わうことができたこの車は
本当に良い経験を与えくれたと思う。
このエンジンに「何とか間に合った」という気がする。これ以降のエンジンは大きく変わるからだ。
数えきれない故障があったが、良い思いでしかない。 
 
おまけ
この車からNAVIを付けた。
モニターでAudio等もControlするようになっており、もはやAudioの交換はできないと思わせた。
実は318Ciでは電気系のトラブルが多くあった。
特にウォンカー以外、点灯するものは全て1度は球切れを起こした。
Audioを付けるにはシートや内装をへっぱがし、全てケーブルを引き直す。それなりに太い
ケーブルをバッテリーに直接繋げる。
スピーカーはもちろん木でベースを作りしっかりと固定する。Power AMPも同様に木に固定される。
断定はできないが、こういった電気系をいじることにより過電流などが流れた可能性もある。
R34の時もシートを外したところ、サイドエアバックの警告灯が消えず、ディーラーにResetを
依頼したそうだ。
今の車はバッテリーを外すだけでも不具合を起こす可能性があり、できる事なら車に手を
入れない事が賢明であるように思い出した。
内装を全部へっぱがすことで緩みも生じ、長い時間がたてば軋みの発生を誘発する。
ネジで止める内装何て今やほとんどない。
製造のことは考えられていても、取り外すことはあまり考えられていないのだ。
部品を取り外すことで車が傷む。
昔の車と今の車は全く異なる工業製品なのである。
ポルシェ911なんて通常ではエンジンを見ることができない。
変なことすんなよ!というメーカーの姿勢である。
 
Z4 故障履歴のLinkです。
 
本当に気分が良かった。屋根が無いとこんなに気分が良くなるとは。。
バイクも同じように感じるのかな?
スタイリング、エンジン以外はBMWの車と考えるとお粗末都言わざるを得ない。。
 
M54B30A
231PS/30.6KgmというOutputだが、官能的だった。音、回転フィールは当時のAlfa Romeo
GTV 3.0 V6エンジンには劣るかもしれないが、しっとりと力強く回る様は今では
味わえないFeel。「気持ち良い!!!」と思わず声が出てしまうエンジンだった。
これ以降出てくるバルトロ搭載6気筒エンジン(N52B30A)はどこか軽々しくなってしまい、
気持ち良さは後退した。
ブロックにマグネシウムを採用したからかもしれないが、たしかリサイクルの問題もあり、
直ぐに姿を消したのは朗報だった。