日産 キックス試乗
キックスに一般道、多少のワインディング、高速道路に乗ってきましたので、この感想を。
見てみて
スタイリングに関しては前回くどくどと書いたので割愛します。
気になっていたCピラーとリアフェンダー、ショルダー辺りの処理に関してですが、写真で見るよりも
綺麗にまとまっていました。
ライトの映り込みで、綺麗にラインが繋がっているか確認するのですが、一部だけラインの流れが
滞留している箇所があり、そこだけ歪んだように見えるくらいです。
おそらく僕のような素人がパッと見ても気が付かないくらい。
しばらくじろじろと見ていたら日産の人が“気になることがあれば聞いてください”と声をかけてくれたけど、
おそらくデザイナー、もしくはモデラーの人じゃないと答えられないでしょう。
こういった上の面と下の面が重なる箇所は非常に仕上げが難しく、破綻があってもうまく隠しているところです。
まあ、どうでも良い話ですね。
気になるものではありません。
矢印の辺りにちょいと気になる点がありましたが、陽の下で見ても分からないくらいだと思います。
モデリングをやっている人にしかわからないくらいの微妙なものでした。
お疲れ様です。
フロントは何がVモーションか気になっていましたが、矢印の部分がVモーションを表しているそうですが、
もう日産はあんまりこだわっていないのかもしれません。
スタイリングは全体的にまとまっており、意外とこぢんまりと見えました。
このグリルの斜めがV motionとのことです。
まぁ、"V"ですかね。
この写真を見てもやはり顔を大きく見せたいと言う意図が伝わります。
立派なことは良い事と世界では思われています。おそらく。
触れてみて
ここでSpecのおさらいとしましょう。
全長×全幅×全高=4365×1800×1615mm
最高出力143PS、最大トルク315N・m。4WDのみに備わるリアモーターは同68PS、同140N・m
車両重量は4WDで1550kg。中々重い。
運転席に座る。
シートは少し沈み込みがあり、その奥で安定する感じ。シートバックの剛性は及第点。
シートを下げて、前後に動かし、ステアを調整。
ポジションに問題なし。
ステアリム剛性は2本スポークのためか、しなりが大きめ。
取り付け剛性ももう一息。TOYOTAはTNGAになってからこの辺に抜かりはなくなっています。
例のモノリスメーターはようやく反省したのか知りませんが、真正面でなくドライバーに向くようになった印象。
運転中も違和感がかなり減ったように思った。
シフトスイッチはコンソールの下側かつ奥の方に配置されており、しかもボタン式なので使い勝手の悪さは
最低だが、意外とシートバックから背中が浮くことなく操作できました。
どこかの試乗記にはブラインドタッチができると大嘘書いていましたが、酷い記事ですね。
絶対に無理です。
Rボタンだけ斜め下に押し込む感じになっていますが、これだけでどこにギアが入ったか分かる人は
日産の人でもごく一部です。
しかもさ、肘が浮いた状態で人差し指でこれを押すのは人間工学的にはNGですよね。
シフトノブがなくなって一等席にスマホの充電置き場とカップホルダーが設置されていますが、
車を動かすという行為よりも、そちらの方が今は重要なのでしょう。
もうちょい考えて欲しいです。こんな使い方あるかな?一等地ですよ!
質感は高く、クロス張りで、シフトパッドも多く使われ、お金がかかっています。
まあ、最高グレードで424万8200円なのだからそれぐらい当然かも。
ドアノブの操作感はクラウンよりも上です。
エアアウトレットが小さく低い位置にあります。
ハンドルを握る手に風が直撃し、不快極まりなかったです。
最近こんな車が多い。僕の車も角度によってはガンガン当たります。
Test driverの方は手袋しているから気にならないのかな?
まあ、言ったところで直さないでしょうけど。
リアに乗ります。
フロアとサイドシルの段差が大きく、足の運びはあまりよろしくないですね。
座るとトルソ角も適当で、座面の長さも問題なく、膝裏が全く浮かないとはいかないけど、
大きなネガはあまりなかったです。それなりにうまいパッケージングに思えました。
これならまあ合格でしょう。
惜しむらくはシートの出来でしょうか。もう少し座面を厚くできれば居心地も上がるのに。
問題はリアドアの内装の貧相さ。
フロントとは違い、ハードプラでステッチもなく、明らかに3ランクくらい下がった物を使っています。
最近の車では”あるある”だけど、ここまで差があるのも珍しいかな。
要はフロント重視という事なのでしょう。
リアのラゲッジの広さは車のサイズからすると適当?
この手の車の基準がわからないので、相対的にどうなのか不明ですが、個人的には少し狭いと感じました。
悪くない室内空間です。
一応リアにもアウトレットがありますが、その小ささで意味あるのかな?
乗ってみて
乗った車はG e‑4ORCEで、一番お高いやつでした。
さあ、走ります。
軽いアクセルペダルは国産車いつもの設定。
これがどうもなじめなくなっている。
スルスルと車が動きますが、強烈な駆動系のフリクションの少なさまでは感じません。
金がかかるからね。
フェンダーの峰が立っているためか車両感覚がつかみやすく、運転しやすいですね。
これはリーフも同様でした。
デザインが良い仕事していると言えます。最近では珍しい。
50メートルインプレッションですが、特に感銘も受けず、なんか高い位置に乗っているなあと思うくらい。
車の挙動が良く分からんのです。
4輪の状況が掴めないというか。
アクセルを踏んでもいつエンジンがかかったのか全く不明。
たいへん静かで振動なく、以前のe-Powerと比較してその進歩の度合いは大きいと感じましたね。
素晴らしい。
アクセルを奥まで踏みます。
音もなく速度が上がっていきますが、モーターによるジャークを期待すると完全に裏切られます。
フロントとリアのモーターの単純合算すると211PS、トルクは前315N・m、リアは140N・m
(トルクは合計して良いのか僕は分からない)
それなりのOutputですが、どうも普通のICEの特性のような出力制御を行っています。
なんでも人間の期待する自然な加速度を再現しているとか、していないとか。
ちょっと期待していたものとは違いました。
Sports Modeにしても出力が上がるわけでもなく、極大人しいSportsでした。
ステアはこの手の車らしく、速くもなく、遅くもなく、自然です。
接地感やらダイレクト感とは無縁のもので、なんとなく頼りなさも感じますが、大変正確で、この車に
相応しいセッティングのように思いました。
もう少し重めの方が僕は好き。
さて、上り、下りの曲がりくねった道路を走ります。
e-4ORCEの本領発揮です。
普通では踏み込まないようなコーナーでアクセルを深く踏んでも、ドンドン頭が入ってきます。
違和感たっぷりですが、ロールも少なく、アンダーを出さずに車が入っていきます。
これはアリアB9でも同様に感じたことです。
三菱ランサーのAYCのようです。
聞けば、このe-4ORCEの制御技術は三菱が関与しているとか。
登りでも下りでも、関係なくフロントがはいっていく様はSUVの領域を超えています。
改めて驚きましたね。
乗り心地ですが、19インチタイアにもかかわらず、突き上げ感は少ないし、変な揺れもないし、
ロール少ないし、静かだし、ほぼ文句無しでした。
高速道路でもその快適性はかわりません。
プロパイロットでフラフラすることもないですし、安心感すらあります。
だた、ここでもアクセルを踏み込むと“さて頑張りますか”と言う感じでゆっくりとスピードが上がっていく。
うーん。。これは物足りない。
高速道路でのタイトなコーナーでもe‐4ORCEの効果はすばらしく、異次元の動きをします。
また、ピッチング制御も巧みで、車の姿勢が一定なのも、このAWD SYSTEMのおかげ。
モーターによる制御は本当に素晴らしいと再確認できました。
お見事!
日産復活か?
因みに一番高いグレードはダンロップで、中間グレードはハンコックのタイアを履いていました。
降りてみて
嫌なところは殆どなく、1時間余り大絶賛の試乗でした。
e‐Powerの進化ぶりも目覚ましかったですね。初めてNoteに乗った時のそれとは比較にならないくらい
うまい制御になっています。
走りにこだわらない人であればおススメ度満点です。
ここまでよく作り込んだなというのが正直な感想です。
素晴らしかったです。
では個人的な趣味嗜好による評価です。
まあ、はっきり言って魅力が感じられませんでした。
座る位置が高いせいか、どうも腰高な印象がずっと付きまといました。アリアでは感じなかったので、
HPの位置だけの問題ではないと思います。
また軽快感が余り無く、それでいて重厚感も感じず、言い方を変えると、良いもの感がなく、価格相応の質感を
あまり感じませんでした。
走りの質感が低いわけではないのですが、しっとり感が薄いというか。
安物という感覚は無いのですが、何か車が軽々しいのですよね。
例のe-4ORCEですが、確かに素晴らしい技術であり、いざという時の保険になりうる技術です。
でもあの挙動の素晴らしさを商品としてどれだけの価値があるか?
コーナーでわざわざアクセル踏んで、おー曲がる!なんて喜ぶようなキックスの購買層はごく少ないと
思うのですよね。
オーラNISMOなら映えると思いますが、キックスでは売りにならないと思うのですよね。
この辺りに日産の愚直さを感じますが、こんなことやっているから会社が傾くような状況を何回も
繰り返すのではないでしょうか。
もっとこの技術をアピールできる車に搭載すべきだと思ってしまいます。キックスはあまりにも
優等生すぎて、e-4ORCEのすごさがキャラクターとして伝わりにくいのです。
高次元で全てまとまっているせいもあって、車から降りるとキックスってどんな車だっけ?と考えてしまいました。
要は印象が薄い。
e-Powerとe‐4ORCEの制御の素晴らしさに驚嘆しつつも、キックスという車の性格が明確に伝わってきませんでした。
重厚感や、しっとり感は求めるべきものではありませんが、精度感やしっかり感はもう少し感じさせて良いと
思います。
文句はないのですが、Golfのような”良い車を運転している感”が薄いのです。
足りないものが技術なのか、思想なのか、COSTなのか定かではありません。
この車が目指したかったものが何であるのか、それをもう少し明確にできればこの車はより魅力的に
映るような気がします。
いや、これが目指した姿だ、と言うのであれば、それもありです。
ただ車の運転を楽しく思わせるために、もう少し工夫があればと。
ここまで無味乾燥な車は本当に珍しい。
言い換えれば、棘が無く、全方向に良くできた車であると言えます。
まあ、昨今、スタイリングと燃費が重要視されている訳であり、日産の思惑は十分に
達していると言う他ないのでしょう。
受注10000台の実力は十分に感じました。
少なくとも車好きなおっさんには刺さらなかったわけですが、そんな奴らは相手にしていません、と言われそうです。




















