BYD SEAL試乗

BYD SEALに乗ってきましたので感想を。

BYDとはもちろん中国の車。 正式名は比亜迪股份有限公司、略称は比亜迪(ビーヤーディ)またはBYD(ビーワイディー)という。

日本国内への進出は厳しくなる欧米への輸出状況から、中国に極めてやさしい岸田政権のうちに少しでも

地ならししておこうという魂胆か。

思想的に僕は中道保守であり、中国共産党の日本に対する政治的姿勢は許しがたいものがある。

同時に気を許せない存在であるが、車の評価にそう言ったを私情挟まないよう、気を付けたいと思った。

SEALのSpec

全長4,800mm、全幅1,875mm、全高1,460㎜、ホイールベース2,920mm

車両重量, 2,100kg

モーター出力, 230kW(約310PS)、 360Nm

EV航続距離, 640.0km

528万円也。

乗った車はRRで、リアモーター、リア駆動だった。

意外に大きく、クラスはDセグ。電池を床に並べているのに全高が低い。

BEVのわりに低価格なのは共産党の補助金のおかげか。

SEALとはアザラシの意味らしく、車に"アザラシ"と名付ける感覚は分からない。

まあ、日産も大昔Sunnyをメキシコで"Tsuru"(鶴の意)と名付けて売っていたので、

おかしい事でもないのかな?

 

見てみて

スタイリングは特に見新しいものはない。

とりあえず、格好よく、無難にまとめた感じ。

ノーズが短く、キャビンが大きいところはBEVらしいが、スタイリングでキャビンを小さく見せている。

フロントにくの字に光るLEDのデイライトが特徴的。これはアザラシの髭を意識?

Aピラーが寝ているが、常識的な範囲。

フロントフェンダーホイールアーチの後ろにエアダクトっぽい意匠のものが張り付いている。

これを起点としてサイドのキャラクターラインが伸びるが、リアフェンダーの辺りで急激にドロップする。

通常は勢い、伸びやかさを表現するためにリアに伸ばすが、この処理は意外。

サイド下にはえぐりを入れて車の厚みを低減させる、シックスライトのキャビンだが、形自体特に特徴はない。

綺麗に流れるような造形。

こうしてみると少しうるさく、中国車らしい。引き締まった印象があり、大きく見せないところは良い。

 

リア周りは絞り込んでおり、リアガラスが寝て、トランクは短い。

SEDANと言うよりはファストバックのような形だ。

リアコンビは最近流行の一文字で導光LEDは綺麗に光っている。結構お金をかけている。

Detailのうるささはやはり中華の車。これ見よがしのリア下のディフューザー形状はちょっとカッコ悪い。

サイドの袴の形状もしつこい。

 

気になる外板の仕上がりは、パネル同士のパーティングラインは綺麗にそろっている。

樹脂製バンパーと鉄板の継ぎ目も国産車と同様だ。

ぱっと見て僕のG330iよりは綺麗な仕上がりだ。

但し、パネルの平滑さは微妙でフロントドアなどは少し波打っている。

この辺は鉄板の問題だと思うが、日産NOTEレベルの出来具合だ。

フロントボンネットとAピラーの交差する仕上がりなど、妥協した感じはあるが、概ね中国製であることの

ネガは見つからない。

矢印の部分。こういった処理はあまりやらないと言うか絶対にやらない。デザイン上(2次元では)成立したのだろうが、

ボンネットを開ける要件を消化できなかったのだろう。

 

 

Dセグとして見ると、少しばかり仕上がりは他の車より劣る気もするが、特に気になることはない。

なお、日本での輸入に際してPDI(Pre Delivery Inspection)を入念に何回も

行っているとのことで、それが功を奏しているのは間違いない。

ちなみにBody外板の金型はLuxusの金型を作っていた”オギハラ”の館林工場を買収して作らせている。

Lexusと同等の仕上がりとでも言いたかったかもしれないが、いくら何でもLexusに失礼だと思う。

比較するものではない。

なおスタイリングはAlfaとかBMWに在籍していたと言われるウォルフガング・エッガーが担当。

この日、3人の担当者からこの名前をそれぞれ聞いた。

しっかり営業Manualを熟読していると感心した。

 

触れてみて

ドアノブは最近流行のみょっと出てくる奴。

握ると剛性感低く、なにも良いことはない。

こんなものただのギミックに過ぎず、意味はない。空気抵抗低減かな?

ドアを開けるが妙に重い。

こんな重いドアは初めてかもしれない。理由は不明のだとのこと。

さて乗り込む。

フロントシートは合皮と革。

少しサイズが小さいように思えたが、取り付け剛性が悪くない感じ。

少しばかりシート座面のクッションが心許ない印象。

ステアはD型。

ポジションを合わせる。

意外に悪くなく、すんなり決まるが、床に電池が並んでいることもあり、シートがあまり低くならない。

そのため少しばかり視線が高い。

インパネは大きな縦にも横になるLCD。空調など多くの操作をここで行う。

ため息。

コンソールに申し訳なさそうにシフトノブやハザードなどが並ぶが、使い勝手は極悪い。

インパネにはアルカンターラが貼られ、ステッチ入りで質感は低くない。

ただプラスティックはさっと塗装しただけで、かなり安っぽい。

またドアノブは操作感、ノブそのものの質感が低く、とてもじゃないが、許せるものではない。

軽自動車を思わせるような出来。

風が直接当たるので操作しようと思ったがルーバーにノブがない。

これもLCDで操作するようだ。

全く最近の車は。。。

ルーフには全面に大きなガラスがはまっている。

いくら低重心と言われてもこんなに大きな長大なガラスを屋根に乗っけてどうすんの?

重心から離れれば離れるほど慣性モーメントが大きくなるので、これは必要ない。

写真は質感高いが、部品によって質感に差があり、統一感が無い。アルカンターラのありがたみがあまりないのは何で?

ドアノブ、Speakerのパンチンググリルはとても安っぽかった。

建付けはどれも良く、感心した。

 

リアに乗る。

重いドアを開けて乗り込む。

シート自体は座面の大きさ、シートバックの高さはOK。

ただフロアが高く、シート座面の角度が後方に傾いているため、膝裏が浮き、腹の圧迫感が強い。

これは背が低い車故に頭上空間創出のための苦肉の策だろう。

前席同様、座面のクッションは少し心許ない作りだ。

当然頭上空間見ミニマムで、側頭部の空間もぎりぎり。

フロントシートの下につま先が入らず、後席の居住空間はDセグとして見るとあまり褒められない。

トランクは横、深さが足りず、また開口部が狭い。

ファストバックのようなスタイリングの影響。使い勝手は良くない。

スタイリング優先の弊害はこのようにいくつか感じられた。

座面が後方に傾き、あまり心地良くない。クッションは薄いし。

革についてはBMWの5 Seriesよりも上等。

ドアのデザインもなんだか。。もうちょい落ち着いたデザインはできないもんかね。

 

走ってみる

さて、公道へ。

意外とハンドルが切れない。最小回転半径 5.9mだそうで、これではFF時代のAlfaのようだ。

タイア切れ角まで考慮できなかったか。

流石BEVだけあって静か。スッと車が動く。

ブレーキはドリルドローターの4ポッド対抗ピストンキャリパー。ちょっと奢りすぎ。

タイアはコンチで、235-45-19。そのおかげもあって、当りは優しい。

50メートルインプレでは、「お、普通だ。悪くない。」と言う印象。

スムーズさはBEVであれば当然で、それに慣れた今は特に感心することはない。

BYDはBEVのジャーク感を抑えて、ICEからの乗り換えに違和感がないように制御しているとのこと。

普通に走っている分には剛性感も高く、変なピッチングもないし、低重心をにわかに感じる。

床に電池を敷くと横剛性も捩じり剛性も上がる。

営業が”電池を下に敷いているので、バネ下重量が軽く、乗り心地が良いです!”と盛んに

言っていたが、それ、間違っています。

少しアクセルを踏むと、音も無く、振動なく加速する。

これがBEVの良いところだ。

この静かさと加速感に慣れるとICEの車がうるさくて仕方がなくなる。

Normal Modeになっていたので、Sportsに変更。

電圧を増やすだけで、特にステア、足回りはNormalと変わらないとか。

踏み込む。

中々の加速感だが、僕の車より少し劣るぐらいか。

速度を上げると心許ないのはブレーキ。

どちらかと言えばストロークで管理するタイプで、初期制動、剛性感が頼りない。

昔のTOYOTAの車みたいだ。

もちろん、ブレーキ バイ ワイアーであり、これは制御・設定の問題だろうが、あまり感心しない。

高速からのブレーキのコントロール性が難しいのは減点だ。

ドリルドローター、対向ピストンキャリパーのありがたみは無い。

そしてステアフィール。

低速では重さも程よくあり、変な制御もないのは好感。

但しステア剛性、シャープさ、正確性はもう少し。

もうすこし前輪を感じさせたほうが良い。これだと高速域でのステアは心許ない。

これはBMWに長く乗っていた弊害でもあり、好みの問題かもしれないが。

良くなかったのは強い路面の凹凸ではステアへのキックバックが大きく入るところ。

久しぶりの感覚に驚いたくらいだった。この辺ステア周りの剛性はイマイチと言わざるを得ない。

車の動きがクイックじゃないのはセッティングとやはり重さの影響だろう。

乗り心地の良さは重量の影響が大きいが、やはり2100kgは高速移動体として許容範囲外だと思う。

短い試乗だったが、シートの座面の底付き感を感じてしまった。

昔のセルシオを思い出す感覚で、シートに空調を仕込んだのと、全高を低くした影響がこの辺に

出ているのだろう。

 

降りてみて

全体的にNegativeな印象は受けなかった。

指摘できる部分は多々あるが、ここまで仕上がっていたことには感心した。

ドイツ御三家と比較すればその劣勢はぬぐえないが、国産車と比較して、そう劣るものはない。

先述した気になる部分以外、国産車と肩を並べるぐらいだと思う。

中国車のレベルは相当に高い。

となると、商品力としてどうか、と言う問題になる。

大きな特徴はスタイリングだけで、その乗り味に大きな新鮮味がなく、洗練されているわけでもなく、

高級感があるわけでもない。

普通の車だからだ。

はったりでも良いから何か刺激や飛び道具が足りないような気がする。

また、試乗中、左の拳にエアコンの風が当たり、気になって仕方がなかった。

LCDで”人に向けない”と調整したのだが、ほとんど変わらなかった。

これは一つの象徴的なもので、車全体的にみて作り込みが足りないように思う。

何となく統一感がなく、車の性格が微妙な感じがある。

中国車とはいえ、日本人から見ては外国車である。

外国車に求めるものは国産車との違いであり、現時点ではそれが足りず、例えば、ここは駄目だけど、

あそこは素晴らしい、と言わせるような特徴や魅力がない。

全方位的の良い得点を取ろうとしている様は正に国産車と一緒である。

そうなると敢えてBYDの車を選択する必要はなくなる。

はっきり言って、故障などは未知数であり、耐久性に関しても同様だ。

BEVは日本では原発稼働状態を考えればまだ低公害車でも何でもないし、敢えてBEVの中国車を

選択する必要なない。

営業が”寒い朝、暖房を入れておくと、奥様が喜んでくれるそうで、忘れると怒られちゃうんだ

よ、とお客様が言ってました”と喜んで話していたが、そんなもの本来の車の魅力とは関係ない。

(一部であることは認める)

そんな事を良い車のエピソードとして語ることが、この車の現在の立ち位置を示している。

敢えて日本でディーラーを展開させ、まじめに売ろうとしている姿勢はヒュンデよりはよっぽど

良いと思う。

どうせならPHEVを日本で展開すればよいと思うのだが、エンジンを扱うとサービス工場の施設、

認証など、多くのお金がかかることからBEV一本でいくらしい。

日本市場ではイバラの道だと思うが、腰を据えてやって欲しいと思う。

もう少し魅力を感じさせる車、BYDとはこういう車、という性格付けがこれからのマーケットに

は重要だと思う。

これには時間がかかるのだが。

 

おまけ 1

ATTO 3を見てみて

街に埋没しそうなスタイリングだ。

乗ってみると例のうねったインパネは落ち着くことなく、質感もそれなり。

車のインパネとはどうあるべきか何も考えていない。

ギターをモチーフって、いったい何?

エアコンルーンルーバーの動きと言ったら単にプラの抵抗だけで動かしている感じで、驚いた。

インナードアノブの動的質感は低く、これもNG。

シートは座面のウレタンの質が悪いのか、これも底付感が酷い。

リアシートはポジション適切で、BEVにはやはりSUVがお似合い。

ただこれもシート座面が酷く、長く乗ることはできないシートだった。

国籍不明。

変化のための変化、差別化のための差別化。 これでは説得力ない。

ギターを模した物入れに3本の赤いゴム紐。弦を表すならせめて4本に。三味線じゃねっての。

 

ドルフィンを見て

インテリアの質感は軽自動車より劣る。叩いても触っても酷いものだった。

手に触れる部分全てが低品質で、インパネ中央のダイアルみたいに並ぶスイッチの操作感は

35年以上前に初めて乗った軽自動車のセルボのスイッチを思い出させるくらいだった。

ある意味驚愕。

インパネを叩くとどこも共振し、これで走れば変な低吸音が室内を満たすことでしょう。

(SEALはその点良かった)

これまたシートが凄かった。前後共に座面は昇天しているかと思ったくらい。

大げさに言うと15年乗ったトラックのシートの座面みたいなクッションだった。

ちょっと酷い仕上げで、スタイリングだけで絶対買ってはいけない見本のような車。

車を統括して評価できる人間がこの車に関してBYDにはいなかったと、言わざるを得ない。

手軽なBEVが欲しい方はSAKURAに乗ってからこちらに見に来て欲しい。

強烈でした。

あくまでも個人の感想だけど、2024年現在販売されている車と言う観点から、こう評価するし

かない。

どこもハードプラは仕方ないにしても、動的質感が低いのも厳しい。SEALのような車作りができるのだから、

もう少し使う事を前提に設計して欲しい。見た目で気を引けばよいと思っていてはダメだ。

今時珍しい質感の低さだった。

 

おまけ2

中国共産党の下で生まれた車だけあり、色々懸念はある。

今の車は"繋がっている"ため、登録した内容、行動記録が全て吸い取られる。

中国産の監視カメラをある大学教授がTestしたところ、定期的に勝手にDataをServerにUpしていた

という。Serverはもちろん中国に置かれている。

ある意味、中華製品は必ずバックドアが仕掛けられていると言っても良い。

BYD JapanではServerは日本国内にあるので、中国にDataは渡りませんと言っているようだが、

そんなものは全く信用できない。

BYDの車が増えて、街中を走った時に一斉に”停止”の指令を出されたら稼働不動となる。

ある意味、意図的にインフラへの影響を起こすことができるのだ。

そのような事を起こす危険性がある国で作られた車であることは意識した方が良いとは思う。

性善説では語ってはいけないのだ。(まあ、どの国も一緒か。。)

なお、BMWももはや繋がってる車であり、同じことができる。

が、資本主義のドイツの一会社と専横独裁の中国共産党の支配下で経営される会社を同列で

語る事に意味がない事は自明だ。

BYDは2003年に国営自動車メーカーを買収してから車を製造しているだけあり、国営企業の顔を持つと

言ってもおかしいことは何もないのである。

 

日産 AURA MC

日産 AURAがMCした。 カタログには下記の文言が躍る。

「針葉樹が美しい南ドイツの森からインスピレーションを受けた新ボディカラー「フォレストグリーン」。ベースは深い森のような落ち着いたグリーンで、光があたった部分は青みがかって輝き、木漏れ日がさすがさす森のように心地よい雰囲気を醸し出します」

まあ、カタログの文言はいつ見ても滑稽なものが多いが、ライターも大変だろう。

カラーを作成した担当者の言葉をそのまま、奇麗に仕上げた感じだが、大したもんだ。

が、MCの売り文句がこれでは、今回の改善点は知れたものであろう。

 

恐れていた日産AURAのMCが実施された。

NOTEが見るも無残なデザインを施されてしまい、その影響が懸念していたが、まあ、大体似たような

ところに落ち着いてしまった。

基本的に自動車のデザインとはPackagingを包み込んだ外皮である。

Miniなんて小さくまとめたPUに最大限の居住空間を持たせながらコンパクトにまとめた結果、

あのスタイリングになった。

M・M思想(Man-Maximum、Mecha-Minimum)で考えられたPackagingに与えられたスタイリングは決して

可愛さや愛嬌を狙ったものではなく、小ささと、制約あるCostの中から生まれたものだ。

開発者のアレック・イシゴニスによる効率化と実用性を優先した結果の工業的デザインと言える。

 

現在の自動車のスタイリングはMiniやBeetleのようなPackagingを優先された結果生まれたものではない。

スタイリングこそ売れる要素の大きな一つだからだ。

内包するメカニズムを覆う表皮3センチくらいでデザイナー達は勝負を挑む。

それはそれで大した作業だと思うのだが、そのデザインの多くは機能とは関係ない事が昨今特に多い。

その自動車の本質的な性能とは関係が無いのだ。

大変失礼な言い方だが、単にお絵かきであるとも言える。

僕自身、スタイリングの好き嫌いはあるが、それで車を選んだことは一度もない。

スタイリング以上に優先事項がたくさんあるからだ。

 

やっとAURAの話。

MCに際して外観に関する制約がいくつかある。

ヘッドライト、ボンネットは変更できない。ボンネット下のガーニッシュも変更できなかった。

フロントフェンダーも変更不可。

リアはバックドア変更不可、バンパーのみ変更可能。

そして一番大きな制約はデジタル Vモーションの採用が必須であったこと。

NOTEの方は縦に伸びるVモーションの意匠を廃止し、セレナっぽい方向にシフトした。

凹みとモールをくっつけてそれを表現した。

バンパー下のエアインテークを横方向に広げて広がり感、安定感を出し、特徴的な縦スリットを廃止した。

さて、AURAの方は下まで伸びるVモーションはそのまま残し、ヘッドライトの下にVモーションの意匠を設定した。

その形状は何ら必然性が無く、先述したお絵かきの範疇である。

セレナのデジタルVモーションがヘッドライトとグリルの融合という、デザイン的必然性を感じさせるため、

違和感は無いが、AURAはそれをイメージさせる形を置いてみただけだ。

それ故、何も説得力がなく、無駄なものが張り付いていると言う印象しか受けない。

申し訳ないが、車会社のデザイナーの仕事と、小学生のお絵かき位のレベルの差がある。

グリル同様、その意匠は左右対称であるが、一つとして形が同じではなく、面を変えて光の当たり方で微妙に

表情が変わるようにしている。そうしないと何とものっぺりと見えてしまうから。

グリル面積が大きくなり、MC前の引き締まった印象が薄れてしまった。

日産のデザインコンセプトはTimeless Japanese featurismと言われているが、何も水引きや

組子細工を採用するだけではない。

日本文化特有の美学意識である”侘び寂び”を取り入れる事でもあると思う。

まさにARIAはその方向でデザインされ、同様にNOTEも意識されたが、この装飾グリルはそういったコンセプトを

忘れしまったようだ。

またNOTE同様にバンパーの縦スリットが消失したため、オーバーハングの長さを誤魔化すために

バンパーにえぐりを入れて変化を与えてその解消を狙っている。

何故縦スリットを辞めたのだろうか?

空力的に優れていると思うし、何よりも日産車の新しい特徴になりうる処理だっただけに残念である。

思ったほど空力的に効果がなかった、穴を開け、空気の流れをControlするための開発Costの削減等が

その理由だろうか?(バンパーの形状が変われば見直しが生じる。穴開きよりも無しの方が空気の流れの

可視化は容易だし、Controlもし易い)

いずれにしろ、NOTE、AURAにあった緊張感や、コンセプトがフロントから失せてしまった。

残念である。

何とも残念な顔立ちになった。洗練もされていないし、格好良くもない。 デジタルVモーションに感化され過ぎ。

何か"デジタル"なのか不明だし。

 

リアの変更点はバンパーだけ? 軽快さが失せ、重くなった印象。

やはりこちらが良いですよね。精悍だし、緊張感あるし、無駄なく、洗練されていたと思います。

 

インテリアは使い勝手の向上と、質感向上が主眼。

まあ、金掛けない際の常套手段である。

 

PUに関しては特にAnnounceが無く、走りに関連する変更は行われていないようだ。

通常乗り心地の改善、PU制御の見直し、燃費改善など盛り込まれても良いと思うが、日産のこの姿勢は

相変わらず表面的な薄っぺらいものだ。

金をかけないことに関してはゴーン体制の悪しき慣例が残っている。

 

総じてやらなくても良い事をやったと言う印象。

MCだって金がかかるのだし、こんなになるぐらいならもっと消極的なMCでも良かった。

おそらく見えない所でCost Cutが激しく行われているはずなので、もし在庫車があればそちらを狙った方が

良いと思う。値引きもするし。

一点良い所がある。

Bodyサイドの面が鉄板の影響か、塗装の影響か分からぬが、そこに映る景色・陰影がもやもやしており、

どうにもスッキリしなかった。

ところがMC後のサイドはようやくそれらが普通に写り込むようになっていた。これはNOTEも同様。

(まだMAZDA 2に追い付いていない)

日産も何も言わないし、こんなことどこにも書いていないが、少なくともCostをかけて改善した部分だ。

ここだけはようやく通常のレベルになった印象だ。

日産のHP見てもカタログを見ても修正されていて全く分からないけど、実車を観察した結果、

改善傾向にはある。似たような面を持つアリアには到底及ばないが。

NOTEだけどサイドの映り込みが酷い。この波の出方は一体何が原因なのか?

若干波打ってますが、一応ラインが出るようになった。少しはまともになったようだ。

実車を見ても目を覆うようなものではなくなった。

 

フロントプロジェクションイルミネーション

“離れたところからでもインテリジェントキーのボタンを押してドアをアンロックすると、シグネチャーランプに連動して車両前方をライトアップ。AURAの印象的なグリルをデザインした光のアートを路面に映し出してお迎えし、ドライバーの所有感をくすぐります。”

およそ6万円也。Optionです。

こんなのが投影されたら恥ずかしくなるのが普通の感覚だと思う。

もう少しセンス良いものを照らしておくれ。

 

恥ずかしながら僕の車にも付いています。

ウェルカム・ライト・カーペット:クルマのドア周辺を白い光で照らし、乗員をエレガントに迎え入れます。

エレガントに迎えてもらっているらしい。こんなモノ3回見て飽きた。

 

 

新意匠のホイール

水引きの表現なのか知らんが、デザイナーの陳腐な発想がこんなホイールを生む。

アルミにするのは軽量化が主な理由だが、全く軽量化の方向でデザインされていない。

またリムに向かってスポークを細くするのが物理的見地からの常識だが、そんなことは一切考慮されていない。

リム付近のスポークが太く、重ければ、バネ下重量重く、慣性の法則によってドタバタする。

機能美が一切感じられず、単に性能を落とし、デザイナーの意思を優先させたこのデザインは

最低の部類に入る。

車を置物や飾り物と考えているのだろう。

敢えて良い所を探せばホイールがフラット気味なので、空力的に有利?

 

駄目駄目ホイールの例

外に向かって太くなっています。手足の末端が太いのはのんびり歩く生き物だけ。

俊敏な動物の末端は皆細くなっている。

 

理想的なホイール

さすが!これぞ機能美!

夜の運転

夜の運転が好きだ。

何が良いって、車が少なく、速度域が高いため、気持ち良く走れる。

信号に引っかかることも少ない。

気持ち良く流していると何とも言えない開放感がある。

それが好きだ。

車に乗る時はその車の事を感じながら走ることが多い。

自分の車に乗る時でさえ、その時のコンディションやステア、エンジンフィールを感じながら走る。

季節によって始動時の乗り味には大きな違いがあるし、ロングドライブの後のエンジンフィールの違い等、

微妙な変化を味わうようにしている。

それも好きなのだが、上述したとおり、開放感の方が好きなのかもしれない。

仕事や日常のストレスなどを運転していることで何となく中和してくれるような感覚がある。

もちろん、渋滞では全然ダメで、夜中の空いている道を走る事でそれが満たされる。

路面を滑るように走るフリクションの少ない駆動系の気持ち良さ、ステアの反力、フィール、Body剛性感、

アクセルを踏んだ時のレスポンスの良さと滑らかなエンジンの回転感。

いっつも良い車だな、、と呟いてしまう。

以前であれば、車両の小ささからクイックな動きや、上まで回した時の回転感など、

”楽しさ”があったが、今の330iではこの楽しさはほとんど感じられない。

ただ車の出来の良さに感心していることが多い。

楽しさ=刺激だとも言える。

330iは所謂GT Carであり、少しおっとりした、どこまでも快適に走れることを目指した車なのだろう。

刺激は少ない。

このおっとりしたフィールを今では心地良いと感じているのだが、やはりサイズが小さく、軽い車に乗ると

何も変えがたい気持ち良さと楽しさがあるとも思う。

もう、速い車は欲しくは無いのだが、それでもある程度Powerが欲しい。

330iにはもう少しPowerが必要だと思う事もある。

1630kgだからだ。

もし1,100kgの車であれば160PSでも十分に速い。

しかも燃費良く、車はクイックに動き、重さを克服するための変な電子デバイスも必要なくなる。

衝突安全性能も高まるし、Ecoであるとも言える。

軽い車への憧れが高まる。

但し、重い車故の重厚感、安定感、凝縮感、質感が低くなる可能性が高い。

これまで所有した車の経歴からも、ある程度の質感の高さは僕にとって重要なファクターになる。

今しか乗れないからロードスター買うか!と、何度も思うのだが、楽しさを感じつつも乗る度に

このエンジンのがさつさや、車の質感に満足できるのか?と考えてしまう。

僕の求めているものは二律背反になってしまう事が多いかもしれない。

妥協点がどこなのかさっぱりわからず、とりあえず買ってから考えるのが現実的かもしれない。

 

330iを走らせていると、この車はある意味最大の妥協点になっているのかなとも思ってしまう。

とりあえず質感的には申し分ないし、求めているものはほぼ揃っている。

重さ、長さ、軽快感の不足は気になるが、そこいらを流しているには過不足ない。

 

夜の運転は色々と考え込むのにも適しているかもしれない。

まずは気持ち良く走っている事実を受け止めて、それからゆっくり先の事は考えたいと思う。

夜の運転は楽しい。

 

おまけ

若かりし頃はよく隣に並んだ車と競い合った。

今では背の高い車ばかりで、”走る事が楽しい”車が少なくなっているため、競う事はまずない。

いい歳なんだからやめるべきだと思うが、それっぽい車が横に並ぶとワクワクしてしまう。

昨夜はたまたまCivic Type-Rが横に並んだ。

足を落として、マフラーも変えている。

信号が変わるとゆっくりした出だしだったが、横に並ぶように走るとCivicはいきなりアクセルを踏み

加速する。

前にバイクがいたので、こちらも車線変更をして後につく。

けっこう上下にヒクヒクした動きで、これだと速度を上げるほどに怖くなるだろうなあと思いながら付いていく。

サスペンションが動かないため、接地性変化が大きいはず。

広い道路で昼はここでネズミ捕りをやっていることもある。まあ、夜中なので大丈夫だろう。

ここでは書けない速度だ。

この先は一旦下り、登りながら左にカーブしていくため、先が見えない。

するとCivicがいきなり車線を変えた。

「なんで?」

その刹那、目の前にゆっくり走るバイクが登場。

慌ててパドルでシフトダウン!

ブレーキを踏みながら斜め後方に車がいない事を確認して車線変更。

危ねー。

アクセルを踏んでCivicに追いつくが、下った先は信号で、そこで終わり。

短い時間だったが久しぶりに楽しんでしまった。

車の安定感、ブレーキの制動感、ステアの確かさ等が確かめられたのもうれしいい。

のんびり走っても8割はその車の事は分かるが、その先に車の性能が隠れていることも多々ある。

以前、135iでシケインをそれまでの経験ないくらいの速度で走ったことがあったが、ステアは素晴らしく的確で、

車との一体感を強く感じることができた。

走りを優先した車種ならこういう動きができるのだと、いたく感動したことがあった。

BMWの深淵に触れた気がして、直ぐに契約した。(3日間借りた車で無茶なことをしていた)

330iにはそういった感動は無い。

今のM4やM3にあんまりそういった物を感じず、旧M2コンペは鳥肌ものでした。

時代が変わったのか、僕が変わったのか、よう分かりません。

やっぱり小さく軽い車が良いのかな、と堂々巡りの夜。。。

 

Civic Type-R

EK9という型式らしい。 1997年発売なので、相当古い車だったようです。

185PS、16.3kgf·mというアウトプット。今からすると大したことないけど、1,6リットルだし、1040kgの軽量は

素晴らしい。N/Aでリッター辺り100PS超えているし。

この頃のType-Rは一般道路では考えられないほど足回りを固めて筑波サーキット専用モデルの様な

車だった。(実際に筑波でタイムを出すために開発が行われた)

B16BエンジンはVTEC搭載。ボアストは81.0mm×77.4mmで、意外とショートストローク型。

8,200rpmで最高出力を発揮し、正に時代を感じさせる。

高回転まで奇麗に回ることがSports Carの代名詞の一つであった。

僕もそんな価値観にずっと呪縛されていた。

BMWのエンジンがそれより大事なことがあると教えてくれました。

とは言え、急激な頭打ちは興醒めですけどね。今も。

 

 

全く持って端正なスタイリング。

素晴らしいPackagingとは言えないが、今のDセグはこんなもんでしょう。

A4、C Class、ジュリア、Skylineよりもまともな空間だった。

伸びやかに見えるのはこの全長があってこそ。これまで4 Dr.Sedanを所有したのはE90のみだったが、

明らかにG20の方が立派に端正に見える。

やはりSizeは見せることに置いて有効な手段だと思う。

僕には不必要だが。

色々な意味で進化しており、上質という言葉がぴったり合う。

New 5 Seriesの上質さには遠く及ばない程に差があるが、Sportyという面では大きく勝る。

丁度良い塩梅、と言った車なんだろう。