この時季になるとつらい花粉症に悩んでいる方も多いでしょう。
花粉症は現在日本人の4人に1人が発症しており、今や「国民病」とも言われていますが、日本だけでなく世界中で問題となっているアレルギー疾患です。
4大主症状は「鼻づまり・くしゃみ・透明な水っぽい鼻水が多い・目のかゆみ」で、世界でも典型的な症状は日本の花粉症とほぼ同じです。
漢方の世界では、花粉症(アレルギー性鼻炎)は「鼻鼽(びきゅう)」といいます。
中国の医家である巣元方(そうげんほう)は、肺気が弱まるという原因で寒気が肺に溜まり、鼻水がとまらないほど多くなるという病因病機(病気の原因とメカニズム)を解明しました。
現代臨床研究による花粉症に関する論文では、日本人以外の人種でも花粉症の一番多いタイプは
「肺気虚(肺の機能が低下している状態)」であることが証明されています。
私たちの体は「衛気」というバリア機能によって守られていると考えられています。
「衛気」は、風邪などのウイルス、細菌、ほこり、花粉、化学物質などの外邪の侵入を防ぎ、体を守る気のことです。
この衛気の機能が弱ることで花粉などの影響を受けやすくなり、「肺気虚」にもなりやすくなります。
そこで、花粉症対策として衛気の機能を守り体表の免疫力を高める「益気固表(えっきこひょう)」という効能効果を持つ漢方薬をおすすめします。
■バリア機能を高める!『玉屏風散』
花粉症のほとんどが、白血球の抗体のひとつ「IgE抗体」の過剰な産生によるI型のアレルギー反応だと言われています。
漢方医学界では、「I型のアレルギー反応を過剰にさせず、IgE抗体のレベルを正常レベルに下げるにはどの漢方薬が良いか」を長年研究してきました。
漢方の世界では、不足した気を補うものを「補気薬」と呼んでいますが、その中でも衛気を養う生薬として知られているのが「黄耆(おうぎ)」です。
黄耆は、花粉やウイルスに侵されやすい粘膜や体表部分を強化し、免疫力を高めるだけでなく、体の状態に応じて免疫力の過剰反応を抑えてバランスを保つ働きも兼ね備えています。
この黄耆が配合された補気薬に「玉屏風散」という漢方薬があります。
その名の通り、屏風のように風邪(ふうじゃ)を制御するという薬効からその名がつけられました。
さらに「玉屏風散」にはIgE抗体のレベルを効果的に正常レベルにすることが分かっています。
衛気を強化する「黄耆」に、胃腸の働きをよくする「白朮」と風邪の侵攻を防ぐ「防風」を加えた衛益顆粒は、花粉症やウイルスの根本治療を目指す人におすすめの漢方薬です。
■食生活の改善を徹底しましょう!
花粉症を患っている方の中で、特定の生の果物や野菜などを食べたあとに唇・口・喉などにイガイガ感やかゆみ、腫れ、さらに息苦しくなるなどのアレルギー反応を引き起こす「口腔アレルギー症候群」が増えています。
対策としては「玉屏風散」を服用するほか、食生活では生ものは加熱してから摂取するようにすることが大切です。
アレルギー様症状を呈する化学物質「ヒスタミン」は高脂肪の食事で生成されるため、油脂の多い肉や揚げ物、マーガリン、マヨネーズ等の食品やアルコールを避けましょう。
対して、腸内環境を整え、免疫システムを正常にする働きをする食品が、干しシイタケやイワシ、紅鮭などのビタミンD、ワカメやヒジキ、ゴボウなどの食物繊維、発酵食品などです。
なんでも摂り過ぎはアレルギーの原因にもなりますので、バランスよく毎日の食事に取り入れましょう。
しまばら薬局では、症状をその場でとる漢方薬をご準備しています。
あなたに合った花粉症漢方を一緒に見つけていきましょう!