前回の記事では、二十四節気の「大雪」についてお伝えしました。
今回は12月22日頃から1月5日頃までの「冬至」の過ごし方をご紹介したいと思います。
「冬至」は、一年で一番夜が長くなり、大気中の陰気がピークに達する時期。
この日を境に徐々に陽気が増えていくので、大事な季節の節目であると考えられてきました。
二十四節気の行事を意識しない方でも、冬至には「ゆず湯」に入るというのはご存知の方も多いでしょう。
ゆずの香りには邪気を払う力があるとされるほか、風邪予防にもおすすめです。
他にも小豆粥を食べる習慣があり、厄払いや無病息災を祈る意味合いがあります。
陰気が満ちて心身への負担が大きくなるので、陽気を補うことが大切です。
特に体を冷やさないよう意識してください。
温かい飲み物でも飲み過ぎれば体を冷やすので注意しましょう。
■冬至に起こりやすい不調
陽気が減るため、疲れやすい、気分が上がらないといった不調が現れやすくなります。
陽気が減ると心臓を動かすエネルギーが足りなくなり、動悸・息切れ・胸の圧迫感など、心臓の不調につながります。また寒暖差によるヒートショックにも要注意です。
高齢者の方や動脈硬化・高血圧などの生活習慣病を患っている方は、入浴時などは特に気をつけてくださいね。
いよいよ大晦日が近づいてきましたが、大晦日の夜は年を越すまでの間に食べる「年越しそば」が有名です。
この風習は江戸時代に始まったとされ、長寿を願う・一年の厄災を断ち切るなど、由来は諸説あります。
こうした行事食は縁起を担いでいるだけでなく、実はその時期に必要な栄養や季節によって変化する体調を調整する役割を持っていることが知られています。
一年の終わりにそばを食べて「晦日祓い」をして、縁起担ぎをするとともに栄養面からも体の調子を整える良い機会と捉えるのがおすすめです。
冬至に食べたい食材もぜひ参考にしてください。
・かぼちゃ…冷えた体を温めて気と血を補います。胃腸に働いて消化吸収力を促進する効果も。
種は体力・気力を補う生薬として使われています。
・小松菜…興奮を鎮める作用があり、胃腸の働きを改善して便秘を解消します。
特に乾燥を伴い便が硬い便秘症の方におすすめ。血圧が気になる方やドロドロ血の解消にも効果的です。
・餅…脾を養って胃を温めるので、食欲不振を解消してスタミナを回復します。ただし、餅は消化しにくい食べ物なので、胃腸の働きを助ける大根と組み合わせて「からみ餅」として食べるのもおすすめです。
「冬至」は別名「一陽来復(いちようらいふく)」とも呼ばれています。
衰えていた太陽の力が冬至を境に再び勢いを増していく様子から、新年が来るという意味の他に「悪いことが続いたあとは幸運に向かっていく」という人生が好転するといった意味も込められているそうです。
師走は忙しい時期でもありますが、元気に新年を迎えるために、無理をせず体を労わり養生を心がけてくださいね。