怪獣博士の恋 | をもひでたなおろし

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2024年に還暦を迎えた男のブログ

1973年の一時期、オヤジの末妹が我が家に居候していた。

僕からすれば叔母になるのだが、この叔母は1955年生まれで

僕とは比較的に歳が近かったので弟のように可愛がってくれた。

彼女は「ジュリー」こと、沢田研二の熱烈なファンで部屋にはポスターを貼り

明治のチョコレート(当時沢田研二がCMに出てた)をニキビが出来るほど

食いまくり芸能雑誌の「月刊明星」や「月刊平凡」をよく読んでいた。

 

 

文字好きの僕は、よくその「明星」や「平凡」を勝手に読ませてもらっていた。

アイドルのグラビアから少しエッチな相談コーナーや文通コーナーなどなど。

今考えてみれば、小学3年生男子で「明星」や「平凡」を隅々まで読んでいるガキが

果たしてどのくらい居たのだろう?この先ゆっくり書いていくが、僕の「アイドル好き」の

原点はどうやらこの頃の「明星」や「平凡」にありそうだと密かに睨んでいるのだが。

 

この頃は男性アイドルならジュリーの他にはショーケンこと萩原健一や、デビュー

2年目の郷ひろみ、西城秀樹、歌が上手かった野口五郎、少しデビューが早かったけど

森田健作たちがグラビアを飾っていたような記憶がある。女性アイドルは、といえば

王道の天地真理、シンシアこと南沙織も大学生に人気があった。麻丘めぐみの脚は

スラっとしてキレイだと子どもながら思ってたっけ。アグネス・チャンはデビュー

してたかな(1972年デビュー)桜田淳子、山口百恵も1973年のデビュー組でまさに

「アイドル百花繚乱」の時代だった。

 

僕が好きだったアイドルは、男性アイドルならこの年デビューした城みちるだった。

彼は「イルカにのった少年」という、なんだか意味が良く解らないデビュー曲で……

 

 

♪ 誰も知らない 南の海から

  イルカにのった 少年がやってきた

  かなしい時は 海にきて

  水平線を 見てごらん

  空と海との隙間から 

  イルカにのった少年が

  愛の花束胸に秘め 遠い国からやってくる

  君に 君に 君に 逢うため やってくる

  ホーラ ごらんよ吹く風も

  やさしく 頬をなでるだろう ♪

 

(イルカにのった少年 作詞/杉さとみ)

 

ツッコミどころ満載の歌詞であるが、それは言わないのがお約束である。

「イルカにのった少年」は、それなりにヒットはしたが、第2弾以降は全く覚えていない。

その後、城みちるは1979年には引退したそうで(デビュー時からの親との約束だという)

この「イルカにのった少年」はのちに1981年「ビートたけしのオールナイトニッポン」の

「伊丹幸雄コーナー」(いわゆる「あの人は今?」みたいなコーナー)で紹介されて

一時期ちょっとしたブームになった。後にTBSの「風雲たけし城」に城みちるが出演して

いたのもたけしさんのお声がかりであったらしい。

ちなみに僕は高校2年の文化祭のステージで彼の「イルカにのった少年」を

アカペラ&フルコーラスで歌い大顰蹙を買ったことがある。

何故文化祭で歌わなければならなくなったか……ま、この話もいずれ、また。

 

若い叔母はよく「あんた、好きな子とかおらんの?」とか「好きなアイドルとかいないの?」

と、からかい半分でよく聞かれていたが、恥ずかしくて上手く胡麻化して

答えなかったけれど、実は女性アイドルで一番好きだったのは浅田美代子だった。

 

浅田美代子は1973年にTBSドラマ「時間ですよ」の三代目お手伝い役の「相馬美代子」役で

デビューした子だ。「時間ですよ」はあの久世邦彦プロデュースの平均30%は記録していたで

あろう高視聴率ドラマ(水曜劇場)だった。その「時間ですよ」の新人オーディション

25000人の中から選ばれて、劇中歌である「赤い風船」を唄い、これが大ヒットした。

当時から歌が下手だ、音痴だといわれてはいたが、その調子ぱずれっさがまた可愛かった。

その後同じ水曜劇場・久世邦彦プロデュースの「寺内貫太郎一家」や「時間ですよ昭和元年」に

立て続けに出演した。ちなみに歌が下手だったのは確かなようで、NHKに出演するための

オーディションに5回目で合格したそうだ。(普通は1~2回で合格するそうです。)

 

 

♪ あの娘はどこの娘 こんな夕暮れ

  しっかり握りしめた 赤い風船よ

  なぜだかこの手を するりとぬけた

  小さな夢がしぼむ どこか遠い空

  こんな時 誰かがほら

  もうじきあの あの人が 来てくれる

  きっとまた 小さな夢持って ♪

 

(赤い風船 作詞/安井かずみ)

  

          

そんなある日、僕は若い叔母に街にひとつしかないデパートへ買い物に付き合わされた。

彼女はジュリーのブロマイドを買い、僕にも誰かのブロマイドを買ってやる。という。

僕は顔から火が出るほど恥ずかしかったけれど、浅田美代子のマルベル堂のブロマイドを

買ってもらった。「へーあんた!美代子が好きなの!」と素っ頓狂な声を出されて

冷やかされた事を今でも覚えている。恥ずかしいったらありゃしない。まったく。

 

 

とにかく僕が「怪獣」以外のブロマイドを買うほど恋した最初のアイドル(人間)は

浅田美代子だった。怪獣と同じ扱いじゃ美代子さんにしかられるかもしれないが。

いまでも彼女がドラマに出ているのを観ると、美代子さんいい感じに歳を重ねてきたなぁ。と

ふと、あの頃の純情(?!)だった僕を思い出して心がくすぐったくなってしまうのである。

 

僕も少しは「いい感じ」に歳を重ねてきただろうか?