今回はピットを3Dで再現する。

 

ピットは円形のため、上面図側面図の2枚で足りる(図1-1、図1-2)

 

 

(図1-1)ピット上面図

 

(図1-2)ピット側面図

 

 

特に複雑な形状はないが、細かい箇所や面倒な部分は省略簡略化して、後から必要に応じブラッシュアップする。たとえば排水溝は省略、内側のすり鉢状の傾斜は簡略化。こうした後からの修正が簡単なのもCADのいいところ。

 

使用するのはFreeCADというソフト。その名の通り無料で利用できる。Mac版・Windows版・Linux版がそろっているので、機種を問わず利用できる。ダウンロードは以下をクリック。

 

 

 

 

チュートリアルは日本語のYoutube動画がおすすめ。特に以下の2つはとてもわかりすい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実際の3D化作業

 

最初に作るのは中央の土台。転車台はこの上にセンターポストを固定し、それを支点にして回転する。


(図2-1)中央部の土台

 

 

モデリングは非常に簡単。底面が正方形の立体を4段重ねにしただけの構造なので、CAD初心者には最初の一歩としてうってつけ(図2-1)。正方形のスケッチを描いて押し出し動作を行い、それを4回繰り返す。Partワークベンチで作る。

 

 

 

 

 

 

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次に作るのは円周土台。転車台はこの内側の空間にクレードルが収まり、そこに機関車が乗って回転する仕組み。

 

(図2-2)円周部の土台

 

 

 

最上段のモデリングは、台形の断面をスケッチし回転動作して作る(図2-3)

 

 

 

 

 

(図2-3)円周部の土台(最上段)

 

 

 

2段目が多少手が掛かるが、こういう形状はPart Designワークベンチの出番。簡単に作れてデータもシンプルにまとまる(図2-4)ドーナツ型の立体を作って、そこにポケットを2段作る。

 

 

 

 

(図2-4)円周部の土台(2段目)

 

 

 

最下段は最もシンプル。二重に円形のスケッチを描いて押し出すだけ(図2-5)

 

 

 

 

(図2-5)円周部の土台(最下段)

 

 

 

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あとは円周土台の2段目に枕木線路を敷くだけ。

 

枕木は直方体を1本だけ作り、それをDraftワークベンチ円形複製する(図2-6)

 

 

 

 
 

 

(図2-6)枕木

 

 

 

線路は断面のスケッチを描き、それを回転動作で作る(図2-7)

 

 

 

 


(図2-7)線路

 

 

 

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以上を組み合わせれば完成(図2-8)


(図2-8)完成

 

 

厳密には、円形内部の隙間に土砂や砂利が詰め込まれ、表面コンクリートでならされるので、ここでは表面にすり鉢状の面を追加して半透明に仕上げる(図2-9)

 

 

 

 

 

(図2-9)仕上げ

 

 

 

 

次回は、この土台中央に配置するセンターポストを作る。

 

 

 

 
 
 
おまけ ピットの遺構
 
この転車台の実物については、第31回で説明したとおり、日本に3ヶ所現存し見学する機会もあるが、3つとも地方にあるため気軽に見に行けない人もいるだろう。私もその一人である。
 
しかし大きさを体感するだけなら、東京・汐留にある汐留西公園(図3-1)でも可能だ。そこは1872年完成の旧新橋駅転車台跡地であり、1991年の汐留地区の再開発の際に発見され、現在は公園として残されている。
 
この場所こそ日本最古の転車台の跡地であり、何より今まさに私が図面を起こした40フィート転車台がかつてあった場所なのだから、ここで体感できて当然である。
 
とはいえ当時のものとして残されたのは、ピットの外径を形作る凝灰岩製の切石だけで、それが公園の敷石の一部になっているにすぎない。
 
私にとって幸運なのは、この切石の内側には、転車台特有の円周レールが設置された箇所が区分されてあり、そこが砂利入りのコンクリートになっているのだが、ちょうどその内側が直径11メートルになることだ(図3-2)
 
この直径11メールこそ、36フィート、つまりラウンドハウスの転車台のサイズであり、本ブログで私が再現を目指しているサイズだ。いわばロンドンに行かずしてラウンドハウスの転車台を体感できるのである。
 
 
(図3-1)汐留西公園にある旧新橋駅転車台跡
 
(図3-2)汐留西公園で体感するラウンドハウスの転車台の大きさ