伊予国巡拝2月28日 52番~60番、別格10番 | しこくあるく

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四国霊場歩き遍路の記録を中心に、寺社巡りや城郭探訪など旅の日記と徒然の感想を書き連ねています。

身心安穏 復興成満 廻向震災物故之精霊
本日は東日本大震災から4年、まだ4年である。福島第一原発周辺の復興はまだ道が遠い。


昨日、小豆島を歩き疲れていたのだろうが、無謀と思いつつ朝4時に車で家を出た。何となく頭がさえない。
2月の晦日になり今年に入って初めての四国遍路である。5月には八十八ヶ所の開創記念押印と御影配布が終了する。なお、別格二十ヶ寺は今年いっぱい押印と御影配布がある。どうせなら合わせて頂ければ有り難いのだが。

早朝の国道2号は車が少ないので玉島まで国道を走った。玉島ICより高速に乗り、しまなみ海道経由今治ICより四国に入った。52番太山寺を目指す。
途中、菊間遍照院横のコンビニで弁当を買い車内で朝食を済ませる。

太山寺には7時丁度に到着した。無論、この時間であれば参拝を済ませて納経印を待っている人がおられる。四国霊場参拝者の朝は早い。納経所前の駐車場より坂道と階段を登る。山門を抜けると国宝の本堂が出迎える。開創1200年記念行事として御本尊の十一面観音様・弘法大師と五色糸が摩尼車で繋がっている。摩尼車を回すと御本尊・弘法大師とのご縁が一度に頂ける。


摩尼車と大師堂

良く晴れた朝の空気は凛と冷えて読経の手が冷たい。本堂、大師堂と参詣し、一昨年末の歩きの際に次男の大学合格祈願を行った聖徳太子堂へ出向いた。入学からもう一年経とうとしており、遅ればせながらお礼参詣した。


聖徳太子堂

聖徳太子堂は小さな夢殿のようだ。


紅梅咲く

境内の紅梅が綺麗に咲いている。

太山寺を出て53番圓明寺へ向かう。歩いても近い距離である。車ならば10分とかからない。


圓明寺中門

本堂、大師堂と燈香読経を行う。

一路、54番延命寺へ。菊間の遍照院には2度参詣しているが納経印を頂いていない。今回は納経印を頂くために参詣した。6時頃に立ち寄ったコンビニの駐車場に再び駐車した。ここは遍照院の駐車場にもなっている。
山門をくぐり、本堂で燈香をお供えしていると、生島ヒロシさん似の歩きの男性が来られた。「この時間にここだと今日はどちらから?」と訊ねると「香川からなんですが西条に実家があるので、昨夜実家に泊まって来ました。今日は北条辺りまで歩けるかなと思っています。」とのこと日帰りで逆打ちされているご様子だ。「岡山からの歩きだと香川しか日帰り出来ません。羨ましいですね。」と羨んだ。


遍照院

読経を終えて納経所へ向かおうとすると、自分の読経が終わるのを待っていて下さったようだ。そして「おん さるば たたーがた はんなまんなのうきゃろみ」地の底から湧き出すような力強い読経が始まった。お坊さんでもここまでの読経はなかなか無い。自分にもこんなパワフルな読経は到底出来ない。納経所で納経印を待っている間も読経が聞こえてくる。納経を済ませ、男性の読経が終わるのを待っていた。「素晴らしい読経ですね。もう何度も回られているのですか?」「いえ、特に八十八ヶ所にこだわらずお寺ばかりでなく神社や祠など弘法大師の霊跡を訪ねています。香川を中心に車や歩きで回っています。」だそうだ。香川の霊跡を色々教えて頂いた。自分も幾らか奥の院は訪ねたことがあるので話が盛り上がった。納経帳は自作しておられるそうだ。杖も木の枝を削って自作されている。かれこれ20分ぐらいは境内で立ち話していただろうか。無事を祈って「また何処かでお会い出来ると良いですね。」と言葉を交わして西へと向かわれた。

延命寺には9時45分に到着した。


工事中の本堂

生憎、本堂前を工事中で納経所横の仮本堂での参拝となった。

55番南光坊を打つ。雅空さんからのご指摘頂いていたので、御本尊ご真言を今回初めて「なむ だいつうちしょうぶつ」と唱えた。しかし、このあいだ書店で立ち読みした大栗道榮大僧正の著書に、当寺の御本尊大通智勝如来様のご真言を”おん まか びじゃに やじゃにゃ のうびいぶう そわか”と記載してあった。高野山真言宗大僧正の著書なだけに、間違ってはいないのだろうとも思えるが、本堂やお経本には今回お唱えしたご真言が書いてある。


南光坊本堂

納経所で平田さんにお会いすることを楽しみにしていたが、ご夫婦でお詣りの方の納経帳に墨書されていた。隣の男性から御朱印を頂いた。まあ、これもご縁か。

56番泰山寺、57番栄福寺と打つ。


泰山寺本堂


栄福寺境内

栄福寺の広くなった駐車場に車を駐めた。栄福寺を打った後、上にある八幡神社に初めてお詣りした。


八幡神社参道


八幡神社境内


今治市街としまなみ海道

ここからは今治市街としまなみ海道が一望出来る。

58番仙遊寺に着くと正午前になった。


仙遊寺本堂

本堂内陣には昨年亡くなられた御大黒様の遺影と沢山の花が飾られてある。御大黒様のご冥福を祈った。納経所はお昼で誰もいない。呼び鈴を押し、しばらくすると小山田ご住職が出てこられた。心なしかお元気がなさそうに思えた。何か言葉をおかけしようと思うのだが見つからない。御朱印のお礼を述べて仙遊寺を後にした。

59番国分寺への途中に食事が出来るところを求めたが無い。コンビニの向かいに小さい中華料理店があるのだが生憎満車だ。結局、コンビニで昼食を買ったのだが、12時半にもなるとめぼしい弁当は殆ど無く選ぶ余地が無かった。

国分寺は門前にも駐車場が出来ている。県道沿いの駐車場で十分広いと思うのだが足りないと言うことか。とこのところ歩くと足首に痛みがあるのだが、昨日は有り難いことに全く痛みがなかった。しかし、今日は痛い。階段の上り下りは大丈夫なのだが平地を歩くと痛い。横峰寺まで有料林道を使わず湯浪から歩こうと思っているが不安がある。


伊予国分寺境内

握手修行大師と手を握った。きっと叶えて頂けるだろうと勝手な願いを託した。

前回、歩きの際に時間的に難しく割愛した別格10番興隆寺へ向かった。駐車場から5分ほど石段を登って行く。登った先には伊予松山藩が組み上げた城郭の如き立派な石垣がある。


興隆寺 立派な石垣


足場が組まれつつある本堂


三重塔

本堂は国の重要文化財だがこれから修理を行うのか足場が組まれつつある。本堂内でお詣り出来る。靴を脱ぎ本堂外陣へと入った。大師堂ではお大師様の前で読経出来る。読経を終えるとお大師様は微笑まれていた。横峰寺まで歩ける力を頂いた。納経を済ませ駐車場まで下りると、道を塞ぐように車が駐まった。家族だろうかいかついスキンヘッドの男性2人と女性が1人である。寺までどの位かかるか訊かれたので5分と答えた。駐車場に駐めるよう促したがそのまま上っていった。もし寺の人が通行するならば通れまい。何とも罰当たりな参拝者だ。

湯浪の横峰寺登り口に到着したのは2時50分だった。


湯浪の駐車場にて

ここから2.2kmの山道を登る。いや、星ヶ森まで2.8kmだ。前回は麓から荷物を背負って歩いた。今回は頭陀袋のみで軽快である。


懐かしい遍路道

だが軽快さは最初だけだった。1kmを過ぎると前回同様ゼーゼー息を切らしながらの登坂となった。横峰寺門前には3時半、そのまま星ヶ森まで進む。


横峰寺山門

星ヶ森には3時40分に到着した。眼前には雪を頂く石鎚山が聳えている。頂いた力でここまで来られた。


星ヶ森


鉄の鳥居と石鎚山

燈香読経の後、写真を撮り山を眺めた。山上は冷たく、火照った体は指先から瞬く間に冷えてゆく。4時近くなったので横峰寺へと下りた。

本堂に向かい読経しようとすると参拝のご夫婦から「納経済まされましたか?4時までですよ。」と教えて頂いた。そうだった、年末から2月末までは8時から16時までなのだ。お礼を述べて納経所へ階段を下りた。もう4時10分であるが何とか御朱印を頂けた。改めて本堂で読経を行う。白い息と、まだ火照っている頭からはホケ(岡山弁で湯気)が上る。隣のご夫婦からは奇異に思えたろう。


横峰寺本堂と奥殿

4時半に大師堂をお詣りし終えると納経所の明かりはもう消えていた。それでも知ってか知らずか駐車場方向からお詣りの方が来られている。納経されるのなら1800円の通行料金を払って折角上ってきたのに本当にお気の毒だ。

山門を抜け横峰寺を後に再び2.2kmの山道を下った。


湯浪駐車場を見下ろす(あるのは自分の車のみ)

湯浪の駐車場に着いたのは5時だった。汗だくになった頭と顔を湧き水で洗い水を飲んだ。
林道を下り国道11号へと出た。大頭交差点から、いよ小松ICまでは近い。高速道に乗り東へと車を走らせ帰途についた。
充分な休息が無いと体の何所かが痛むものだ。無理を出来る歳ではないとつくづく思う。

やはり歩かないと内容が薄い。

無事の巡拝と、出会いに感謝。
南無大師遍照金剛