土佐国伊予国巡拝12月27日 38番~43番、別格6番・7番 | しこくあるく

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四国霊場歩き遍路の記録を中心に、寺社巡りや城郭探訪など旅の日記と徒然の感想を書き連ねています。

年末年始休暇の初日、泊まりがけで平成26年最後の遍路に出た。

自宅から最も遠い38番金剛福寺へと向かうため午前2時前に出発。
水島ICよりひたすら高速道を走り終点の四万十町中央ICより一般道へと抜けた。
深夜から早朝にかけての道路は通る車が非常に少なくスムーズに進む。

安宿近くにあるコンビニ・スリーエフ下ノ加江店に立ち寄り、飲料を購入した。
5時過ぎでも客がちらほら。どうやら釣り客の様子だ。
スリーエフは高知県ではお馴染みのコンビニだが来年2月末をもって四国から姿を消す。
遍路を始めた頃、高知にはこんな名前のコンビニがあるのだと珍しく思っていた。
スリーエフは横浜を起点に主に関東で展開しており、四国からの撤退は地理的に非効率だからだそうだ。
この店はやがてローソンとなるようだ。

6時半前、足摺岬駐車場に到着。外気温は7℃。流石は四国最南端、この時間にしてこの温度は暖かい。
車内で朝食のパンを囓っていると東の空が白み始めた。
展望台へと向かった。灯台はまだこの時間には海に光を投げている。


早暁の足摺岬

だるま朝日でも見えないかと期待を抱いたが、東の水平線には雲。あえなく期待はしぼんだ。

6時半、38番の山門はまだ閉まったまま。
ジョン万次郎像横の足摺岬観光案内所トイレを利用した。洗浄便座の綺麗なトイレである。

再び山門へ。今度はゲートが開かれており、境内へと進んだ。本日の打ち始めである。


未だ暗い山門

まだ燈香はなく、どうやら一番乗りのようだ。
暖かいとはいえ、やはり7℃。じっとしていると手がかじかむ。
本堂を参拝し、大師堂へと向かう。大師堂周辺も庭が整備されている。一年前のゴールデンウィークに参拝した時には整備中だったと言うことか。これで長く工事していた庭も開創1200年に合わせて完成したと言うことである。


打ち終えると明るくなっていた


来た時と同じ東海岸沿いの道を通る。道は少しずつ広くなってきている。道が広がれば、運転しやすく、また、歩きやすくもなる。

真念庵に立ち寄った。道路脇に車を駐めると、歩きの方が三原への分岐で迷っていた。声をかけようとすると、三原方向へと歩いていった。
8時前、真念庵周辺は霜が降りている。足摺岬よりも数段寒い。


真念庵

お堂を守り続ける為には苦労が絶えない。それでも整備して頂いている。ささやかながら前回同様、納経代分を納めた。

真念庵をあとに、土佐最後の札所、39番延光寺へと向かう。歩きだと16日間を要した長い長い土佐路も車ならば僅か3日である。
先ほどの歩きの方を追い越した。この時期にも歩いている方がおられるのだ。歩き遍路は確実に増えている。

三原村に入り、風車の前を通る。8時半頃だが開いているようにも見えた。でも、ついつい通過してしまった。

8時40分、延光寺着。


延光寺 鐘を載せた亀

打ち終えた頃、歩きだろう女性が入って来られた。納経印を頂き、これで土佐の札所を終了し、伊予へと入る。
伊予最初の札所40番観自在寺へと向かう。

観自在寺の前に、歩きの時に時間に余裕が無かったためにお詣り出来なかった佛眼院へと向かった。スマホのカーナビで目的地をセットすると愛南町役場を案内された。近くの交番で道を訊ねようと思ったが生憎不在。ここで車を降りる時にドアに左手親指を挟んでしまい、流血と内出血を起こした。これも何かの戒めであろう。道中、気を付けねばなるまい。

車載のカーナビで検索すると方向が違っていた。細い道を抜けて辿り着いた。


佛眼院

山号は高野山、御本尊は弘法大師。境内には車での参拝は200円を納めるようにとの立て看板がある。焚香読経。歓喜天堂が設けられているのでお詣り。境内の民家が管理者のお宅だろうと思い、納経印を頂けるようなので呼び鈴を鳴らしたが生憎不在のようだ。家の前に置かれたペール缶に駐車料を納めて観自在寺へと向かった。

10時10分、観自在寺着。ここも参拝客はちらほら。本堂、大師堂と参拝した。


観自在寺山門

今回の目的の一つとして、納経所の大塚さんにお礼をしたかった。大塚さんのお名前は、ぼちぼちさんから教えて頂いていた。一旦車に帰り、ささやかなお礼の品を持って再び納経所のある本堂へ。
納経所には女性。大塚さんの所在を訊ねると、年末の大掃除をしておられた。手を止めて頂き、歩きの際に磯屋さんまで送って頂いたお礼を述べた。「ああ、そんなこともあったね。」と言われ、女性も含めしばし歓談。参拝者が少ないので暫くお話が出来た。これもお大師様のお導きであろう。ぼちぼちさんに教えて頂いた事を話すと「ああ、よう来られちょる。遍路道もよう直しちょってやね。」また、磯屋さんでキャンセル客を間違えられて食事の用意が無かった事を話すと「うん、あの人おっちょこちょいなとこるがある。悪い人やないんやけどね。」とお二人。大掃除中なので、会話もほどほどにお寺を後にした。お会い出来て良かった。お名前をお教え頂いた、ぼちぼちさんにも感謝である。袖触れ合うも多生の縁である。

国道56号を宇和島へと向かう。次に目指すは別格6番龍光院である。車窓から見える宇和海は相変わらず美しい。

龍光院へは11持40分着。


龍光院本堂

宇和島の友人とはほど近い場所である。が、商店主であり年末で忙しくしているであろうから、今回は友人には会わない。歩きの際には、ひょっこり顔を出したが歓待してくれた。改めて機会を設けてゆっくり会おう。

松山道を通り41番龍光寺へ。途中、道の駅で昼食。じゃこ天うどんを食べたのだが470円とセルフにしては少々お高い。なお、バイキングは900円。売店で売っていた弁当にすればよかった。

12時40分、龍光寺着。


龍光寺本堂

歩きの方が2人。読経を終えた歩きの男性の輪袈裟が逆さまだったのでお教えした。岐阜から来られて通しで歩いているそうだ。もう一人は女性。千葉から夜行バスで来られ、本日が初日。年末年始の休暇を利用しての区切り打ちだそうだ。次の42番仏木寺への遍路道を説明した。岐阜の男性は打ち終えて立ち去り、女性はこれから境内で昼食。大師堂で燈香読経を行うと女性はもう既に出立した後だった。
納経所には女性がおられ、納経印を頂くと「この時期にはもう団体さんは来られません。納経所は一年で一番のんびりする時期です。」とのこと。20分ぐらいだろうか歓談した。ここの女性、以前にもお会いしているが感じの良い方だ。「今日は43番まで?」出石寺まで行こうと思っていると告げると、「ごめんなさいね、次があるのに引き留めてしまって。」いえいえ、楽しい時間をありがとうございました。

仏木寺には1時半。境内では地元の檀家の方だろう本堂の大掃除をしておられた。


本堂の大掃除

年末ならではの光景である。


迎春準備の整った大師堂

打ち終えると千葉の女性が来られた。ノルディックウォークスタイルでストック2本を使って歩いている。まだ2時前。歯長峠を越えるには十分、時間がある。今日は何所までか訊ねると、西予市卯之町まつちや旅館とのこと。でも、そこまでならば5時を回り暗くなるのではないかと心配した。峠は明るいうちに越えられるだろうが。

三間ICまで戻り松山道を通り西予宇和ICへ。インターチェンジを下りた先に安価なガソリンスタンドがある。燃料が心許なくなってきたので給油した。現金を突っ込んで給油すると釣り銭の代わりにポイントカードが出てきた。何じゃこりゃ!?こんなもの持っていても仕方ない。次回、何処かで使うか?

ガソリンスタンドで悶々としたまま、43番明石寺へ。2時15分着。参道脇の駐車場までの坂が歩きにとっては意外ときつい事を思い出す。


明石寺 山門越しの本堂

本堂、大師堂と打ち終え、納経所へ。ご住職に納経印を押して頂いた。使えないポイントカードを持っていても仕方ないので、ご住職に「良かったら使って下さい。」とお渡しした。すると横に居た男性が「たまには浮気して下さい。」と告げる。「あ、燃料屋さんでしたか。」何とも言い難いタイミングにお渡ししたものだ。

明石寺を後に別格7番出石寺へと向かう。年末の買い物か卯之町の国道は混んでいる。上宇和駅を過ぎて県道30号へと折れ、田園風景の中を八幡浜へと向かう。八幡浜の市街を抜け山道へ。ここからはミカン畑を縫って標高を上げて行く。宇和海の見晴らしがよい。


夕照の宇和海

郷の峠から出石寺へと右折。”チェーン規制”の看板が立っている。道路脇には雪が残っており、道にも少々残雪があるが、進めないほどではない。やがて、大洲の宿で書いたブログのように、道が凍結しノーマルタイヤでは完全に前に進めなくなった。


雪で凍結した道

道脇には車が3台駐まっている。彼らもこれ以上進めなくなったので諦めて寺院まで歩いたんだろう。自分も広い場所に駐め歩くことにした。寺院まで約1km。大した距離ではない。20分もあれば着くだろうと凍結した道を歩いた。車遍路の際にはいつも防水トレッキングシューズを履いているが、この時は特に重宝した。この調子では久万高原もこんな感じなのだろう、やはり久万高原は止めておこうと、明日のことを思った。

4時前、出石寺の駐車場に到着。階段も雪が氷に変わっている。標高800mの山上は寒い。本堂が西日を浴びて光っている。


出石寺 西日を浴びる本堂

先ほど打ち終えて帰る人達とすれ違い、境内には自分一人。黄昏の宇和海が輝いている。反対方向を眺めると残照の大洲盆地が見える。


大洲盆地を望む

参拝を済ませ納経所で大洲側への道は大丈夫か訊ねると、凍結は山上のみで心配ないとのこと。
駐車場には車が駐めてある。ご夫婦が参拝に向かってこられた。スタッドレスタイヤを履かれているそうだ。やはり、そうでなければここまでは無理だ。

長い下り坂を大洲方面へと下る。大洲市街に入る頃にはすっかり日が暮れた。宿への途中で夕食を摂り、大洲城近くの松楽旅館へと向かった。
松楽旅館はビジネス旅館を称している。古めかしいが遍路宿と思えばまずまずの旅館である。楽天トラベルで予約し朝食付きで5,000円。フロントで靴を脱ぎ2階の部屋へ。部屋は畳で、既に布団が敷いてあった。


松楽旅館にて

トイレと洗面所は付いているが風呂は共同。風呂には施錠出来るし広いのでゆったりと入れる。ユニットバスなんかよりは寛げる。なお、トイレ、洗面所も共同のものがある。部屋のトイレは和式だが共同トイレは洗浄便座となっている。また、部屋の洗面所は水しか出ないが共同洗面所は湯が出る。使用しなかったが洗濯機もある。コンビニが歩いて5分程の場所にある。夕食に弁当を買って帰っても廊下に電子レンジを設置して頂いているし、お茶のサーバーがある。つい、歩き遍路目線で見てしまう。歩きで宿泊しても申し分無い。大洲での宿泊候補の一つに出来る宿である。

ブログに出石寺の情報をアップし、長い一日を終え9時には就寝した。

恙無く初日が終了した。出会いに感謝。
南無大師遍照金剛