こんにちは!

 

大好きなミュージカル

ビリー・エリオット

8月からの始まった公演、本日がもう東京千秋楽となってしまいました。

今期、4回ビリーキャスト替わりでチケットを押さえてありましたが、事情があって2回手放すことに。

先日、やっと今期2回めの観劇が叶いました。

 

8月3日、石黒瑛土さんビリー。

 

 

10月23日のビリーは浅田良舞さん。

 

以下、あくまで個人の感想です。

勘違い間違い、きっとあります。

そしてまた異様に長くなっています、反省。

 

超人気作品につき、今更な説明ではありますが…

 

時は1984年、イングランド北東部の街イージントンでは鉱山労働者のストライキ真っ最中。

炭鉱で働く父と兄、ボケが始まっている祖母と共に暮らすビリーはひょんなことから、バレエのレッスンを受け始めることに。

講師のウィルキンソン先生にバレエの才能を見出されたビリーはどんどんバレエにのめり込み、ロンドンのロイヤルバレエスクールのオーディションを受けるように先生に薦められる。

 

2000年に公開された映画「リトル・ダンサー」を基にミュージカル作品として構想され、2005年にロンドンのウエストエンドで初演、2008年にはブロードウェイでも開幕、2013年まで上演されていました。

ウエストエンドでは2016年に幕を閉じたのですが、ツアーや各国プロダクションを経て、今も世界中で愛されている作品。

もともと、映画「リトル・ダンサー」が大好きでして。

時代の波に飲み込まれようとしている人々と、その中で希望に手を伸ばそうとする少年の葛藤を、イギリスの田舎町のローカル&キュートな暮らしぶりとブリティッシュロックの名曲たちでポップに彩った魅力的過ぎる名作。

この映画をいつまでも忘れられない「不朽の名作」にまで押し上げたのは、間違いなくあのラストのバレエシークエンスの存在…と言えるほど素晴らしいクライマックスで締めくくられています。

監督は、ミュージカル版のオリジナル演出も手がけている名匠スティーブン・ダルドリー、もともと舞台畑の方です。

ミュージカル版の音楽は、やはりこの映画に魅せられたエルトン・ジョン御大、そりゃ名曲しか並んでないはず。

オリジナル脚本と歌詞は映画版の脚本を書いたリー・ホール

日本初演は2017年、2020年には再演され、赤坂ACTシアターで上演され、喝采を浴びた日本版「ビリー・エリオット」。

私も過去何度も通い、感動をいただきました。

初演、何?全員天才!かっこいい!

再演、何?全員天才!天使!

ハイレベルな過去のビリーたちを胸に懐きつつも、待望の再々演。

劇場は池袋ブリリアホールに変わりました。

2020年のコロナ禍での公演時と違った解放感ある運営、あの期間って本当に特別だったんだなとあらためて実感。

我が家からはやっぱり赤坂のほうが通いやすく、「赤坂炭鉱」が懐かしい。

 

 

どちらの回も、見晴らし良好席でした。

オケピあり、少人数編成ですが生演奏。

ホールの規模的には同じくらいかなと思いますが、舞台そのものがブリリアのほうが広く感じます。

 

8月3日、J列ほぼセンター席

 

10月23日、G列下手席

 

4年ぶりのビリーでしたが、何度見ても心震え、惹き込まれます。

オープニング、スモールボーイが登場するくだりから、その愛くるしさやこれから始まるドラマに想いを馳せ、既に目頭熱く。

 

マチルダ」も本作も、主演は子供、実際に彼らを中心に描かれており出番も多いけれど、壮絶なパフォーマンスに加えて、私たち大人だからこそ受け取れる全方位からのメッセージに溢れています。

ビリーの周りの大人たちの苦悩やもがき、生きる上での様々な葛藤や抵抗や挑戦が散りばめられ、その中でビリーがどんな風に人生の指標を見つけるのかが描かれます。

ビリーを応援しながら、現実を生きる大人たちの物語に共感し、また幼かった頃の自分をどこかに見つけて涙します。

8月の観劇時には、たくさんの有名俳優さんが観劇してらして、皆さまSNSで想いを語ってらしたけど、ショウビズの世界を目指したことのある方ならビリーの物語と自分を重ね、心どころか細胞レベルで震えちゃいますよね。

 

今期のビリーはバレエの基礎があるキャストが揃いました。

様々なコンテストでの入賞歴や留学歴、プログラムで経歴とご本人のコメント読んで、そこでもう拍手。

全員が明確な夢を持っていて、その夢に向かって胸膨らませ具体的に邁進している。

この役を掴み取り演じるうえで、こなさなければならないことの厳しさを考えると気が遠くなりますが、乗り越え、さらに日々研鑽を積みながら生きている4人の少年たち。

特に、怒りのダンス Angry Dance白鳥の湖パ・ド・ドゥ電気のように Eletricity、このビリー中心の3大ナンバーは劇中の白眉。

一生に一度しか演じられないこの役、刹那の瞬間のビリーのパッションとダンススキルが、舞台上で弾ける瞬間を何度もこの目で見て、毎回心打たれ涙が溢れ、自分自身にもエネルギーが満ちてくるのを感じ取ります。

 

演出がまた素晴らしいの。

未来しかないスモールボーイと一緒に見つめる当時の世情、光と影のコントラスト、大きく浮かび上がる影で心情を表現、おばあちゃんの歌のバックで踊る古き時代の薫り漂う男たち、超複雑なフォーメーションで炭鉱労働者の闘争とビリーのバレエレッスンを同時に描き出すSolidarity 団結を永遠に、ロイヤルバレエのプリンシパルが訛ってて父ちゃんと一緒にタバコ、オーディションインタビューからの電気のように Eletricityへの流れ、ウィルキンソン先生の惜別の言葉のパンチ力、Once We Were Kings無数のヘッドライトに照らし出されるビリーと地下に帰る炭鉱夫たちの歌声、ビリーの旅立ちとマイケルとの別れが織りなすラストの切なさと余韻、その後のクールな大団円カテコ、書ききれないほど絶妙な演出がてんこ盛り、唸りまくりです。

 

映画ではクライマックスに登場する大人になったビリーのバレエシークエンスを、ミュージカル版では現在のビリーとの競演に変更し、夢なのか未来を見せているのか観客の想像力を掻き立て、なおかつそれをバレエ反対の父ちゃんに刮目させる、置きどころも含めて天才の演出!と毎回感じいりつつ泣いています。

全てのシーンが大好き、というわけでもなく、苦手な時間やナンバーもいくつかありますが、キャストの熱量や見事なパフォーマンスにカバーされつつ。

 

私が観劇した今期2回の公演、心に残ったキャストのあれこれを五月雨式に。

 

ビリー、石黒瑛土さん。

今年のポスターのジャンプするビリーです。

無垢な笑顔と優しい表情を持つビリー。

歌唱時、声が掠れる部分もあったり音程がブレたりもありましたが、素直な声で自然な台詞と芝居が素敵。

ダンスは常に気品が漂いナチュナルな癖のないバレエで、醸し出す雰囲気も柔らかい。

ゆえにAngry Danceの一転の激しさが活きてきます。

全てを絞り出すようなダンスシークエンスに魅せられました。

ご本人が遅れていると仰っていたタップもテンポよく、リズム感がいい。

そして足が長い!

私が観劇したのは序盤も序盤の回なので、今はまた進化して凄いことになってるんだろうな。

 

浅田良舞さんは、体の線の細さやシャープな 顔立ちから、映画のトム・ホランドに近い尖った個性のビリーのイメージがありましたが、 バレエを踊り出すと一変。

美しく粗のない丁寧なバレエ、 アクロバットも軽々と決め、胸のすくパフォーマンス。 

ビリーが最初にバレエに出会った後、 家に帰る途中の心情を表す短いダンスで、 腕の筋肉の使い方が コンテンポラリーダンサーのそれで、息をのみました。

映し出される影さえもアートのようだった。

その後も、バレエのポーズのひとつひとつの輪郭が鮮やかで、今でも目に浮かびます。

朴訥に繰り出す台詞は荒削りなようにも思えましたが、それが笑いを生むこともしばしば、マイケル役の渡邉隼人さんのちょっとおとぼけな個性と噛み合い、二人の友情に説得力がありました。

またAngry Danceタップの激情と足捌きが凄かった。

ドリーム・バレエ、フライング終わって降りてきた時、大きく息を吐いていて、緊張の溶けた瞬間を見たようでとても愛おしく感じました。

 

うまく、言えません

見終わった後、このフレーズ思い出しただけで、どこででも泣ける。

どちらのビリーもまったく存在が被らず、それぞれのビリーに感動。

 

父ちゃんは2回とも鶴見辰吾さん。

リアルなお芝居で、大げさな表現は一切なく自然体の父親像。

過去、割と濃い目の父ちゃんを見てきたので、正直この舞台において良い意味で異質な感じを受け、とても新鮮でした。

ソロを歌いながら目に浮かんだ涙は本物、「こいつ俺の息子なんです!」と叫ぶ姿は喜びに満ち溢れていました。

 

今期初のウィルキンソン先生濱田めぐみさんも拝見できました。

いや、Shineをあれだけ力強く歌い上げる声と、どんだけ擦れっ枯らした言葉を吐いても溢れ出る愛情ね。

早口でまくし立てても台詞が全部聴き取れる。

めぐみさんだ〜、となりました。

何を演じても自分のものにしちゃうなあ、感服。

久しぶりに踊るめぐみさんを見られて嬉しかったです。

もう1回拝見したかった。

安蘭けいさん、前期も拝見していますが、あのやさぐれたローカル系美人マダム感、とうこさんにしか出せないムード。

大っ好きです。

ダンスの人ではないけれど、Solidarityのポジションが好き、スタイルがいいから決まる。

ビリー送り出しの会話、「あたしがどんなに二流のレッスンをしてたかわかるよ。これから5年かけてここで覚えたこと全て忘れるんよ

ドライにも程があるとうこさんウィルキンソン先生が放つからリアル、彼女の本音が胸に痛い。

個人的に劇中一番ぐっとくる台詞かもしれません。

 

ビリーの兄、トニーもお二人とも拝見。

いや、全然タイプの違うトニーでした、どちらも素敵。

吉田広大さんはそのワイルドな風貌含めて、炭鉱の仕事をしてる信憑性が凄い。

ゆえに廃れゆく街への思い入れの強さを感じました。

お芝居もスケール大きく、男臭い存在感で心に残ります。

西川大貴さんはストイックな面持ちで知的さも感じ、この街に埋もれている自分へのジレンマを滲ませているような気がしました。

父親の寝返りに叫ぶ「父ちゃん!」の声が悲痛で、今も耳に残っています。

ビリーの夢を認めた事で、自分の中の葛藤と折り合いをつけた瞬間がはっきりとわかり、その演技の深さに痺れました。

西川さんのお芝居はいつもどこか憂いがあり繊細、胸に滲み入るものがあります。

 

阿知波さんおばあちゃんは、何でもわかってるよね、実は。

明るくて身軽で面白くて大好き。

根岸さんおばあちゃんは、本当にイギリスの田舎の婦人に見えます。

普段から根岸さんのお芝居が大好きなんですけど、この役のドライな雰囲気も根岸さんらしい。

おばあちゃんの歌で「あの時に今の自分を知っていたら、この人生ずっと自分でいたはず、誰かの妻じゃなくて」というニュアンスの歌詞がありますが、いやもう深い。

根岸さんのこのフレーズの時の表情がとても好きです。

いつもおばあちゃんの歌で思い出す、初演の久野綾希子さんおばあちゃんの歌声、今でも耳に残っています。

 

そして、オールダービリー、厚地康夫さんのバレエが世界水準なのは周知の事実ですが、生で拝見できる幸せ。

身体の線の何と美しいことよ(お顔も)。

流れるようなポジション、繊細な動き、つい厚地さんを見てしまうパ・ド・ドゥ。

リフトもホールドもすべての動作がしなやかなで気品が漂うの凄い。

ビリーを見つめる目も、もう一人の自分を見つめるような冷静さ、でも深いまなざし。

釘付けでした。

自分のことで大変だとも思うけど、一緒に踊れるビリーたちにとっても最高の経験よね。

厚地さん、カテコでの登場時も沸いたな、そして最後のジャンプまで華麗でした。

2回目のオールダービリーは永野亮比己さん、2017年ぶりにまたバレエを拝見できて嬉しかった!

バレエだけでなく、アンサンブルとしていろんなシーンで演じて踊って大活躍の枠。

ドリームバレエでは優しい表情で良舞くんビリーを見つめサポートしつつ、確実なバレエで場を作ってらした。

こんなに逞しかったっけ?と驚くほど筋肉隆々で軽々と良舞くんを回転させる安定のホールド技。

名ダンサーでもあり、演技者でもある永野さんの本領発揮、素敵です。

 

大事な存在マイケル、今期拝見した西山遥都さん、渡邉隼人さん、共に演技の完成度が高い!

役を完全に掌握していて、かつ自分の良さを活かしたマイケルを作り上げている。

しっかり者の遥都くんマイケル、のんびりして柔らかい隼人くんマイケル、どちらも愛おしいよ。

タップも抜群に上手で驚かされました、お二人の未来も明るい、またどこかで出会いたい。

スモールボーイ、多胡奏汰くんと藤元萬瑠くん、どちらも可愛さが半端なくて、常に目が離せませんでした。

萬瑠くんは「ミス・サイゴン」のタムで心掴まれ、ここでまた少し大きくなった姿を拝見できて感無量。

二人ともあっという間に大きくなるのよね、スモールボーイからビリーへのステップも期待してしまいます。

 

アンサンブルの皆さま、初演、再演となじみ深い方もニューカマーも、ダンスのスキルが凄いし演技も個々の圧がさすが。

底力、強過ぎます。

バレエガールズも含め、全員がイージントンの街にしっくり生きている。

カテコでもアンサンブルさんへの拍手と歓声が凄かったんです、お客様もよくわかってらっしゃる。

フィナーレのタップの入り、何度見ても痺れます。

阿知波さんのおみ足美しくて、いつも注視してしまう。

とうこさんの二の腕が20代。

ラストのラインダンスで感極まり、鼻水増し増し。

最後にあの一大ダンスフィナーレで締めてくれるの本当にありがとうございます。

 

いろんな事が重なって、2回しか行けなかった池袋炭鉱、集客苦戦しているのも知っていたし、手放さざるを得なかったチケットの分の追加も考えましたが、急な予定、資金面、スケジュール調整、暑さ、なかなか難しく躊躇、宇野さんと春山さんを拝見できなかったのが悔やまれます。

一番大きいの資金繰り!

重なり過ぎなのよ、他作品前売り関連と。

 

本日の東京千秋楽、おめでとうございます!

次は大阪、日々成長していく子供たち、怪我なく無理なく公演が続きますように。

そしてまた再々再演が叶いますように。

 

【キャスト】

 

8月3日

ビリー・エリオット 石黒瑛土

お父さん 鶴見辰吾

ウィルキンソン先生 濱田めぐみ

おばあちゃん 阿知波悟美

トニー 吉田広大

ジョージ 芋洗坂係長

マイケル 西山遥都

トールボーイ 高橋翔大

スモールボーイ 多胡奏汰

デビー 上原日茉莉

ブレイスウェイト 近藤貴郁

オールダー・ビリー 厚地康雄

バレエガールズ

石澤桜來 鈴木結里愛 松本望海 南夢依 宮野陽光

アンサンブル

大月さゆ 大竹尚 加賀谷真聡 黒沼亮 後藤裕磨 齋藤桐人 聖司朗 辰巳智秋 照井裕隆 春口凌芽 丸山泰右 森内翔大 山科諒馬 咲良 竹内晶美 森田万貴 石田優月 白木彩可 新里藍那

 

10月23日

ビリー・エリオット 浅田良舞

お父さん 鶴見辰吾

ウィルキンソン先生 安蘭けい

おばあちゃん 根岸季衣

トニー 西川大貴

ジョージ 芋洗坂係長

マイケル 渡邉隼人

トールボーイ 高橋翔大

スモールボーイ 藤元萬瑠

デビー 佐源太惟乃哩

ブレイスウェイト 森山大輔

オールダー・ビリー 永野亮比己

バレエガールズ

石澤桜來 鈴木結里愛 松本望海 南夢依 宮野陽光 

アンサンブル

大月さゆ 大竹尚 加賀谷真聡 黒沼亮 後藤裕磨 齋藤桐人 聖司朗 辰巳智秋 照井裕隆 春口凌芽 丸山泰右 小島亜莉沙 咲良 竹内晶美 森田万貴 石田優月 白木彩可 新里藍那