「拝啓 村上春樹様 勝手に師匠だと思っています。」
(ダ・ヴィンチ2008年10月号)
スガ シカオ
「初めて村上作品を読んだ時、村上さんの小説は今まで読んだことのないタッチだったので、初めて洋楽を聴いた時のような感じがしたんです。それまで読んできた本とは肌触りが全然違って、なんかすごいへんな感じだった。好きで何回も読んでいるのに意味がわかってない小説も多かったんです。
何回も読んでいると、もしかしたらみたいな何かがちらっと遠くの方に見えてくるときがあって、だからまた繰り返し読んじゃう。
何かのインタビューで村上さんが小説で一番重要なのは自分の文体を持つ事だ”ておっしゃっていて、村上さんの文体ってそこに浸って包まれている事自体が気持ちがいいってあるじゃないですか。
僕が歌詞を書くときに、自分の文体を大切にしよう、って思うようになったのも村上さんのそのインタビューから学んだ気がするんです。
僕が使うカタカナ表記にしても、“~してしまった”という後悔を感じさせる語り方とか、
過去から自分を見る文体の感じにしても、僕が自分の文体だと思うものって、村上さんに影響されて、誰もやってない独自の文体を探るうちにできちゃったものなんです。
ミュージシャンってある程度年数いくと、どこに目指す音楽を発するかってそれぞれ違ってくると思うんです。
初期衝動だけでやってた時は自分をパッと出すだけだけど、10年くらいやると、どこに向けてだせばいいんだろうってパスを1個1個探すんだと思う。
僕はその時に、自分が一番感受性が強かった、それこそ人生を左右されるくらい音楽に影響を受けた頃の自分にメッセージを出したいと思ったんです。
高校生や大学生の頃のスガシカオが、“わかんないけど、すげぇ!”って思ってくれる、そんな音楽をやりたいんですよ。」
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その村上春樹さんの作品の中で特に好きなのが「村上春樹短編集『蛍・納屋を焼く・その他の短篇』「蛍」は「ノルウェイの森」の元となる作品で、この中に入っている「めくらやなぎと眠る女」が特に好きです。
スガシカオ
「最初読んだ時も、最初何言ってるんだかわからなくって。わからないのに大好きなんですよ。もう100回位読んでると思います。
何回も読んでいると、もしかしたらみたいな、何かが遠くの方にちらっと見えてくる時があって。
だからまた繰り返し読んじゃう。村上さんの作品は、そこに浸って包まれている事がまず気持ちいい。」
スガ シカオ(1998年当時運営されていたHPより)
「村上春樹『めくらやなぎと眠る女』という短編小説を御存じでしょうか。
ぼくは結構な村上春樹ファンで、大好きな短編集のなかに収められているこの短編は、何年も前から読んでいたのですが、いまひとつ辻褄が合わないというか、?マークが飛び交うというか、分かるようなわからないような...って感じだったのです。
先日、同じくムラカミファンの奥ちゃん(ラジオ番組アクロスのレポーターさん)と話をしていたときの事です。
わかったんです、テーマが。 それまで、「なんでここでこんなこというんだろ?」と思っていたことが、パズルのようにピタっとはまりました。 いやぁ...すごい小説ですよ。
当たり前ですね。おそろしいですよ、ふるえましたよ。」