先日の記事にて、

実質的支配者リストの申出をした旨を書きました。

 

昨日、ようやく完了したということで、早速、受領してきました↓

 

 

申出をしたのが2月2日で、

完了予定日は2月7日だったはずなのですが、

 

完了までこんなに時間がかかったのには、

とある特殊な事情がありまして…

 

 

 

実は、この会社(←自分の会社)は、

属人的株式の定め」を定款に定めてある会社なのです。

 

※原則、株主は平等な権利を有しているのですが、

 発行する株式全部に譲渡制限規定がある会社については、

 以下の3点について、株主ごとに異なる取扱を定款に定めることが可能です。

  (1)剰余金の配当を受ける権利

  (2)残余財産の分配を受ける権利

  (3)株主総会における議決権

 

 これを「属人的株式の定め」と言います。

 

 私の会社では、今後の事業展開を視野に入れて、

 株式の保有比率(出資の割合)は、

 「妻99% 私1%」にしてあるのですが、

 

 諸事情により、代表取締役である私が、

 議決権の大半を確保しておく必要がありまして、

 

 臨時株主総会にて定款変更決議を行い、

 ”私の保有株式だけ、議決権1000個/株とする”旨を定款に定めました。

 

 

 

実質的支配者リストの申出において、

議決権割合に関して、法務局から求められている資料は、

原則、「株主名簿の写し」だけです。

 

※「法人税確定申告書別表二の明細書の写し」等でも代用可能です。

 

※株主名簿の記載と、 実質的支配者リストの内容が

 異なる場合は「上申書」も必要です。

 

 

 

今回、申出の際には、

”属人的株式の定めがある旨とその内容”を記載した「株主名簿」を提出していました。

これで、株主名簿の記載と、実質的支配者リストの内容は一致します。

 

一応、受付してもらう際に、窓口担当者との間では、

「定款も必要ですかね?」みたいな相談をしたのですが、

 

その場では結論が出せず、

あえて、定款を添付せずに、申出をしていました。

 

 

で、法務局内部で、上の方に照会をかけてもらった結果、

「このケースでは定款が必要」という結論になりまして、

昨日、”定款”を追加提出してきた次第です。

 

回答がくるまで、一週間と数日がかかっていたので、

法務局内部でも議論がなされたものと推察されます。

 

※こういった場合に、定款の添付を要するか否かは、

 今後の実務に影響しますからね。

 

※追加で提出すべき資料がある場合、

 申出日は、資料を提出が完了した日になるそうです。

 (これは法定相続情報証明も同様の取扱いです)

 

 

 

 

さて、今回のケースで、

なぜ「定款」が必要になるかといいますと…

 

「属人的株式の定め」は、

定款に定めを置いてあるからこそ効力があるものなので、

 

法務局側が実質的支配者リストとして認証するにあたり、

さすがに定款規定の有無を確認しないとマズイでしょう、ということだそうです。

 

今回は、「株主名簿」を提出しましたが、

「法人税確定申告書別表二の明細書の写し」を提出した場合も同様です。

 

 

尚、株主名簿に「属人的株式の定め」の情報を追記しておいたので、

これが、上記「上申書」に該当するものと考えたのですが、

 

この「上申書」は、例えば、何らかの事情によって、

「株主名簿の氏名が間違っていた」といった様な、

わりと限定的なケースを想定しているそうでして、

「属人的株式の定め」の場合は想定していないとのことでした。

 

 

 

 

参考までに、会社法の条文を記載しておきます。

 

(株主の権利)

第百五条 株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する。

一 剰余金の配当を受ける権利

二 残余財産の分配を受ける権利

三 株主総会における議決権

2 株主に前項第一号及び第二号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。

 

(株主の平等)

第百九条 株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、公開会社でない株式会社は、第百五条第一項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。

3 前項の規定による定款の定めがある場合には、同項の株主が有する株式を同項の権利に関する事項について内容の異なる種類の株式とみなして、この編及び第五編の規定を適用する。

 

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司法書士 黒川雅揮

司法書士黒川雅揮事務所HP⇒https://k-legal.jp/

 

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