東京高裁判決 東京ルート | 建設アスベスト裁判

建設アスベスト裁判

建設現場で、アスベスト含有建材を加工や吹き付けアスベストを削ることで、目に見えないアスベスト粉塵を吸引し、悪性中皮腫を患い死亡した父と遺族の戦い。
国と建材メーカーに謝罪させ、アスベスト救済基金の創設が最終目標。

 建材用アスベスト(石綿)を吸って健康被害を受けた首都圏の元建設労働者と遺族ら354人が、国と建材メーカー42社に計約117億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が14日、東京高裁であった。

 地裁・高裁で出された同種訴訟の判決は9件目で、一人親方について国の賠償責任を認めたのは初めて。

 原告は1945年頃から2010年までに建設現場で働き、肺がんや中皮腫などを発症した元労働者や一人親方ら。

 判決は、1972年頃には、少量の石綿粉じんにさらされても中皮腫を発症し得るとの医学的知見が集まっていたことなどから、「国は屋内で建設作業に従事していた労働者らについて、遅くとも75年10月には防じんマスクの着用などを義務付けるべきだった」と指摘。1審判決はこれらの義務の発生時期を81年1月としており、救済範囲を拡大した。また、1審は賠償を認めなかった一人親方についても、「建設現場で労働者とともに作業に従事した一人親方らは法律上、保護される」と指摘。国が健康被害を防ぐ措置を怠ったと判断した。

 一方、メーカーの責任については「健康被害との因果関係が立証されていない」などとして、1審と同様に原告の主張を退けた。

 2012年12月の1審判決は、元労働者らに対する国の責任を認め、170人に計約10億6400万円の支払いを国に命じた。