さて、年収1200万円とほぼ同額の債務を抱えた多重債務者である私。
最近家族にカミングアウトし、一度家を追い出されましたが、今はサンク総合法律事務所で任意整理の手続きを開始し、復活への第一歩を踏み出しました。
利息が掛からない、というのは実に気分が良好です。
私が1200万円の借金の返済に追われて居た頃は、利子だけで月に12万円を払っていました。
払っていたというか、ある金融機関から借りて他社への返済に充てていました。
いわゆる自転車操業とか火の車とか言われるやつです。
カミングアウト前は一人で抱え込んで雪だるま式に増えて行く借金から目をそむける毎日でしたが、カミングアウトした今は、バイト(副業)も家族に内緒にすることなしに堂々と行えます。
(会社にはバレたくありませんが)
めでたく配送業者の荷物仕分けのバイトも決まり、前向きに返済を進めようと思っています。
そんなある土曜のこと、私は新しいバイト(副業)を探そうとPCに向かい合っていました。
そうすると妻が話しかけて来て、
「明日お母さんの所に行くことになったから。バイトをしないかというお話をいただいたわ」
「お母さん」というのは私の母のことです。
母とは、借金のことで相談しに行って、怒りまくられてそれきりでした。
最初、妻からそれを聞いたとき、
「バイトの話はありがたいけど、母と妻の居る前でもう一度借金の話するの嫌だな」
と思いました。
何故かと言うと、私の借金総額は1200万円だったのですが、母には嘘をついて400万円と言っていたのです。
折角、ギリギリの所で首の皮一枚繋がって妻と娘の所に置いて貰えているのに、母の所に行って妻と一緒に「嘘つき」呼ばわりされてしまうのはいい効果があると思えません。
ましてや借金の総額が1200万円だと知ったら、母がどれだけ怒り、そして失望するか、それは考えてみたくもありませんでした。
しかし、もう妻が行くと決めてしまった以上、行かない事の方が悪い影響が出ると思いますし、母にいつまでも借金総額について教えないというのも申し訳ない気がします。
だいいち、母は妻と娘が大好きで、そこの人間関係を壊してしまうのは申し訳ない気がしました。
(だったら借金するな、という話かもしれませんが)
ということで、翌日の日曜日に郊外に住む母の所に家族3人で出かけて行きました。
母の家には犬が2匹居て、娘は犬と遊べるので素直に大喜びしています。
しかし行きの電車の中で、正直私は不安でいっぱいでした。
「自分で引き起こした事態だからしょうがない」という開き直りと、「でも妻と母の両方から嘘つき呼ばわりされるのは嫌」という不安が交互に頭の中に浮かび上がります。
結局は自分のせいなのですが。
妻には昨晩、母の家に出かけることが決まった時点で
「母には借金総額を400万円と嘘をついていた」
とカミングアウトしました。
「やっぱりね」
というのが妻の反応でした。見透かされているのか、諦められているのか。いずれにしろやるせない気持ちでいっぱいになりました。
母の家は駅から距離があるので、母が車で迎えに来てくれました。
「車の中では借金のことは話さないでね。家で話しましょう」
という母。
頷く妻と私。
10分間無言の車はすごく辛かったです。
時折娘がはしゃいでくれるのがせめても救いでした。
家に着き、娘が犬と遊び回っている間、母に最新の状況を報告することになりました。
サンク総合法律事務所やアディーレに行くときにまとめた借金の総額を入力したエクセルシートを、ノートPCで母に直接見せます。
「実は借金の総額はこれなんだよ」
メガネを少し直してPCの画面を覗き込む母。
「こんなに有るの?」
と仰天する母。
「こんな借金どうしたの。なんでこんなにお金を借りられるの?おかしいと思わないの?」
と言葉は出て来ますが、まだ現実とは信じられない様です。
「借金の額は現実なんだよ。あと、嘘を付いていたことは謝るよ」
「実は1週間前に弁護士の所に行ってね、、、」
弁護士と聞いた途端、母の表情がやや冷静な表情に戻りました。
素人の自分たちだけでこの事態を解決するよりも、プロの弁護士に相談に乗ってもらった方が良いと思ったのかもしれません。
そこから任意整理の流れについて説明しました。
今までの月々24万円の返済から12万円位まで減ることも。
そこでちょっと母が安心した様に見えました。
「じゃあ、弁護士の先生も入って返済して行くのね」
「そこはしっかりしている先生を選んだと思うから大丈夫」と私。
妻に向かって母は言いました。
「こんなの(私)でも傍に置いて貰えるの?追い出しちゃえば?」
「それも考えたんですけど、○○(娘)がまだ3歳なので、それは難しいと思いました」
あー、やっぱり考えたんだ、と思いました。
そこで母が切り出しました。
「まず、この馬鹿息子には週一日来てもらって家の片付けをして貰います。それ1回で1万円。それでどう?」
「それは非常にありがたいね。何でもするよ」
と私。
「私も年金生活で収入も無いからそれが限界。あともう一つ提案なんだけど、この家に引っ越してきたら?そしたら家賃分が浮くから月12万円といわずもっと返せるでしょう。」
確かに、今住んでいる家は家賃20万円なのでその分が浮くのはありがたいです。
でも、妻が郊外に住むのを喜ぶとも思えません。
ましてや娘は幼稚園に入園したばかり。
「ちょっと今住んでいる所が気に入っているので、それは無理だね。ありがたいけど」
という私のセリフに横で頷く妻。
「そう」と少し残念そうな母。
でもすぐに引き下がってくれました。
その瞬間、私は気づきました。
あれだけ「絶対にお金なんか貸さない」と断言していた母。
でも私の借金をどうするかについて、一人で一生懸命考えていてくれたのでした。
そんな母に嘘をついていたなんて、本当に申し訳ないな、と思いました。少し涙が出ました。