台風12号の接近を受けー瀬谷区の実態
台風12号の接近を受けー瀬谷区の実態
平成26年8月の豪雨による広島の土砂災害での犠牲者は77名。また、平成27年9月には、関東・東北豪雨が発生し鬼怒川が決壊。犠牲者が20名に及んだ。
さらに、平成28年には台風10号が迷走し北海道・東北に豪雨をもたらし、犠牲者が27名に及んでいる。
年々発生する大規模な水害に対して、平成29年避難勧告等に関するガイドラインが改訂され、高齢者等の避難開始が加わったが、西日本豪雨での犠牲者の多くが高齢者の方だった。
http://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/hinanjumbijoho/index.html
実際、広島県内で記録的な豪雨となった今月6日の夜、最も多くの人を対象に避難指示や避難勧告が出されていた時刻に避難所に避難していた人は、0.3%程度だったことが、県のまとめでわかったとある。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180727/k10011550981000.html
また、過酷な避難所の問題点も指摘されている。熱中症あるいは感染症対策など課題は山積みである。
https://www.sankei.com/west/news/180713/wst1807130032-n3.html
また、「雑魚寝」の解消が健康悪化を防止するという認識も西日本豪雨では薄かった。段ボールベッドの活用は体育館などの床にじかに寝るより体の負担が少なく、エコノミークラス症候群やほこりの吸引による呼吸器疾患の防止にも有効だ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33092020Y8A710C1CC0000/
7月7日、避難所・避難生活学会の理事からも、私に学会からの提言が届いた。
http://dsrl.jp/20180707_teigen/
その提言を受け、横浜市総務局の危機管理室に対して、段ボールベッドの使用の国への提言をお願いした。「伝えます!」との回答を頂いたが・・・?
http://www.city.yokohama.lg.jp/somu/org/kikikanri/
さて、7月28日、台風12号の接近で瀬谷区内の境川が増水しているという警戒情報が入った。今月初旬のブログでも言及させて頂いたが、横浜市や瀬谷区役所の危機管理体制には一抹の不安を持っている。
https://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12388280833.html
瀬谷区では今回、午後4時の時点で、「避難準備、高齢者等避難開始」が発令され、上瀬谷小学校、瀬谷中学校、瀬谷第二小学校に避難所が開設された。
そこで、西日本豪雨で明るみとなった視点を踏まえ、全避難所を実際に訪れてみた。各避難所には瀬谷区役所の担当者2名が配置されていた。
学校関係者や地域防災拠点の関係者も来られているのかと思ったら「水害は区役所のみで担当することになっています」とのこと。避難者に寄り添う十分な対応は出来ないであろうと感じた。
最初に訪問した避難所には、7名の高齢者の方達が避難された。一方で、避難者が一人もいないところもあり、岡山県倉敷市の地区と同様に、避難情報の伝わり方が心配になった。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33008300U8A710C1CC1000/
避難所には水缶と毛布、体育館の床に敷く薄いシートが用意されていた。しかし、避難してこられた高齢者の方は、椅子を用意して貰い避難解除まで椅子で過ごすと言う。床に直接座れないのだ。
体育館で体育の授業に使用しているマットを重ねれば容易に座れるし、横にもなれるがマットの活用を考えていない。避難所内が蒸し暑かったが扇風機の活用も考えていないし置き場所も分かっていない。
そこで、避難所内で備品を探すため体育館内の倉庫を開けたところ、雨漏れが数箇所見つかった避難所もあった。午後10時には避難情報が解除になったものの、この実態を把握して本当に驚いた。
西日本豪雨では、 “自分だけは大丈夫” という正常性バイアスが避難行動の遅れとなり被害が拡大したという見方もある。
しかし、せっかく避難した先が、この瀬谷区の避難所のような状況では、健康悪化という二次被害を引き起こしかねない。一抹の不安は的中した。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1807/20/news064_2.html