脳卒中・循環器病対策基本法の歴史 その1 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

脳卒中・循環器病対策基本法の歴史 その1

脳卒中・循環器病対策基本法の歴史 その1


5月11日、「脳卒中・循環器病対策基本法の成立を求める会」からの要望を聞く議員の会が開催された。そして、脳卒中・心臓病その他の循環器病の関係者などで作る団体が与野党の国会議員と面会し、予防や啓発などの対策や医療体制を充実させるために基本法を早期に成立させるよう要望したとNHKで報道された。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160511/k10010517341000.html


そこには、2010年から7年かけて公益社団法人日本脳卒中協会と共に、「脳卒中対策基本法」制定のため歩んできた全国で最も大きい脳卒中の患者団体であるNPO法人日本脳卒中者友の会(旧称:全国脳卒中者友の会連合会)の名はない。


「脳卒中・心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」では、実際、自治体において実効性のある対策が実行できるのかという視点などで反対したため、医師で構成される学術団体の代表らは、患者団体に歩み寄りを見せることなく、たった1年で彼らを切り捨ててしまった。


この1年の公益社団法人日本脳卒中協会の一部医師による患者団体への手のひらを返したような対応もブログで詳細に紹介させて頂いた。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12057651702.html


この約7年の経過を見聞きした議員として、果たして、このような姿勢を示した医師から構成される学術団体に、本当に国民に認められる実効性ある対策がたてられるのかという疑問が生じ始めている。


そして、この事実は各学術団体の会員も知るべきであると思っている。

それは、患者団体が中心となり、連携して動いたことで設立されたがん対策基本法の歴史と大きく異なるからだ。


7年前から、着々と「脳卒中対策基本法制定」を目指し、国会議員らへの要望活動などを行ってきたのは、NPO法人日本脳卒中者友の会(旧称:全国脳卒中者友の会連合会)という患者団体である。

https://www.yamamoto-hiroshi.net/archives/2010/02/100103_2.html


さらに、この団体メンバーは横浜市における脳卒中政策の問題点を患者側の視点で次々と指摘してきた実績を持つ。全国自治体の中で唯一、病院ごとのtPA治療実績を公表している横浜市だが、それはまさに彼らの実績の一つである。

https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/154632/


5年前の2011年2月、超党派の「脳卒中対策推進議員連盟」設立総会では、NPO法人日本脳卒中者友の会(旧称:全国脳卒中者友の会連合会)の理事である石川敏一氏、顧問の上野正氏、全国失語症友の会連合会の理事長の八島三男氏、常務理事の園田尚美氏が参加。そして、日本脳卒中協会の理事である山口武典氏と連携して活動を行っていた。

http://www.nikkeibp.co.jp/article/gdn/20110310/263246/


今から2年前の5月28日、自民党・公明党の国会議員で構成される「脳卒中対策を考える議員の会」の総会が開催され、議員立法での国会提出をめざす「脳卒中対策基法」を承認した。


その時も、患者代表として挨拶に立たれたのが、NPO法人日本脳卒中者友の会(旧称:全国脳卒中者友の会連合会)の理事長である石川敏一氏であり、顧問である上野正氏(東京大学名誉教授)の両氏であった。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11868960604.html


ところが、2015年4月、民主党議員の反対のため、「脳卒中対策基本法の制定」は頓挫。多数の循環器病も入れ込んだ「循環器病対策基本法」とするなら賛成するという政治家の意向を組んでの方向転換となる。


そんな理由の方向転換に、NPO法人日本脳卒中者友の会(旧称:全国脳卒中者友の会連合会)が、循環器病対策基本法制定に対し「患部も病態も対策も違う多数の病気に共通の対策は成り立たない。実効性が図れない。脳卒中の対策強化ができない」と反対の意向を示すと、今度は、「脳卒中・心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」という名称ならという妥協案が提示される始末。


「脳卒中の名称が入っているから」との説明の後、「心臓病も入れさせて欲しい」とのことで、また名称が変わり、さらに多様な学術団体が関わってくる。


この患者団体は、脳卒中は患者・死亡者が多いだけでなく、様々な後遺症を残し介護を必要とする人が多く、最も膨大な医療費、介護費の原因疾患となっている脳卒中に重点をおき、実効性のある「脳卒中対策基本法を制定すべき!」であると主張した。


一方、たった数ヶ月で突如、公益社団法人日本脳卒中協会の山口武典理事長(医師)を中心として、新たな「脳卒中・循環器病対策基本法の成立を求める会」が設立された。


3月開催の日本脳卒中協会理事会で「成立を求める会」設立・参加の報告は一切なかったと伺うが、協会内部の手続きは大丈夫なのだろうか。


そして、5月11日、「脳卒中・循環器病対策基本法の成立を求める会」からの要望を聞く議員の会に参加した脳卒中関連患者団体の参加者は、全国失語症患者家族会の会長であった。


この「成立を求める会」に賛同する学術団体は、突然名乗りを挙げたものばかり。今まで地道に活動し苦労してきた団体・組織とは随分と様変わりをしており、抜け落ちている学術団体もある反対するものは排除という構図であろうか


この約7年、患者団体と共に「脳卒中対策基本法制定」に関わってきた者として、以前から良く聞いていた「医師によっては、患者団体を都合よく利用し、切り捨てる!」との言葉を目の当りにしているようだ。