公益社団法人 日本脳卒中協会の手法  | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

公益社団法人 日本脳卒中協会の手法 

公益社団法人 日本脳卒中協会の手法 

(脳卒中対策基本法設立への道 その6)


6月のブログにも掲載したが、平成232月、脳卒中対策基本法設立への道筋として超党派脳卒中対策推進議員連盟が立ちあがって4年、平成2512月、自民党、公明党からなる「脳卒中対策を考える議員の会」が立ち上がって約1年半、脳卒中対策基本法の設立へと進むはずだった。


ところが、ここにきて設立するどころか、一人の民主党参議院議員の反対から暗礁に乗り上げ、さらに患者団体の代表である日本脳卒中者友の会理事長が理事を務める日本脳卒中協会がスタンスを翻し、新たな自民党・民主党の動きに同調した。


その突然の方針転換に、日本脳卒中者友の会理事長は驚き、日本脳卒中協会の理事会で反対を表明した。


私は公明党地方議員として、脳卒中の患者団体で全国組織の「日本脳卒中者友の会」と一緒に、「公益社団法人日本脳卒中協会」、「超党派脳卒中対策推進議員連盟」、「脳卒中対策立法化推進協議会」などと、これまでの脳卒中対策基本法設立への道筋の経緯経過を見聞きしてきた。


そして、山口武典氏を代表とする脳卒中対策立法化推進協議会や、自公からなる「脳卒中対策を考える議員の会」などの会合へも出席させて頂き、それぞれから発信された文書なども手にした。


今年に入り日本脳卒中協会、脳卒中対策立法化推進協議会の代表である山口武典氏らより突然発信された方向転換。それは、長く一緒に歩んできた患者団体など関係者への説明もなく進められていた。


急変した方向性に戸惑った患者団体は、「脳卒中対策を考える議員の会」の議員の元を訪ねるため、障がいで歩行がおぼつかない足で、雨の中、台風の中、満員電車の中、幾度も国会議員会館を往復した。


何故ならば、山口武典氏らより突然発信されたメール等には、全てが「脳卒中対策を考える議員の会」幹部からの説明・発信とされていたからである。その後、患者団体の動き・指摘から山口武典氏らの後追いの説明などがはじまった。


私はここにきて思うところがあり、私なりに経緯経過をブログで発信することにした。結果がどうであれ、脳卒中対策基本法設立のためにこれまで、実際、何がどう行われたのかを、私の知っている事実を脳卒中の患者さん方とその家族、国民、そして、脳卒中に関わる医療従事者に伝えたいと思ったからだ。


日本脳卒中協会は、脳卒中の予防と患者・家族の支援を目的に平成93月に設立されたと、その主旨を発信しているが、その理事の多くが医師で構成されている。また、患者団体に比較にならないほど経済力がある組織でもある。さらに、その事業報告を見てみれば、製薬会社との共同事業も最近は盛んに行っている。

http://jsa-web.org/about/


健康な医師とその経済力。その発信力と物量には患者団体は到底かなわない。ただでさえ、脳卒中の後遺症に苦しむ患者さんたちの動きは、健常人に比較してそのスピードには限界がある。そのことを一番理解しているのは、我々、素人よりも、脳卒中を専門としている医師たちであるはずだ。


5月18日、日本脳卒中協会理事長であり、脳卒中対策立法化推進協議会の代表である山口武典氏は、脳卒中対策立法化推進協議会の加盟団体に対し、「脳卒中対策基本法案に関する今後の対応策について」なる文書を発信した。その中で、以下のような言及がある。


日本脳卒中者友の会の石川理事長から、「脳卒中患者団体の考えを無視して行われることは正当ではない」との意見をいただきましたが、同じく患者団体である日本失語症協議会からは賛成の意見をいただいており、患者会の中でも意見が異なっています。また、石川理事長に訊いたところ、今回いただいた意見は日本脳卒中者友の会の理事会には諮られておらず、「昨年の総会で承認された理事長一任に基づいて意見を表明した」とのことでした。従って、日本脳卒中者友の会の中にも異論があると思われますし、日本脳卒中者友の会に加盟していない患者会も多数あることから、石川理事長の意見をもって「脳卒中患者団体の考え」とすることには無理があると考えます。


後遺症を抱えながら、日本脳卒中協会と一緒になって脳卒中対策基本法制定に向けて、署名活動も含め邁進してきた患者団体の代表に対して、あまりに過酷な言及であると思う。しかも、ご自分の協会の理事にである。そもそも、方針転換の理由が「一人の民主党参議院議員の反対」からである。


そして、その方針転換は、脳卒中対策基本法案の要綱案(素案)作成等に関わってきた推進協議会の構成団体に事前に全く知らされず、自公からなる「脳卒中対策を考える議員の会」のメンバーである国会議員にでさえ、知らされていなかった(何人もの議員に確認した)。以前とは違い、一部の関係者だけで押し進められていることがわかった。


さて、5月18日のこの文書を受け、5月31日、日本脳卒中者友の会の理事会は開催された。山口武典氏の上記の言及に反して、友の会理事長の「反対」との意見で一致し、引き続き「脳卒中対策基本法」の制定に向け理事長を中心に一致団結していく旨が確認された。


決議文も作成され、私の所へもその文書が届いた。昨年の12月21日の全国研修・通常総会において確認されたことと同様であった。研修会には、公益社団法人日本脳卒中協会専務理事で、脳卒中対策立法化推進協議会事務局の中山博文氏からも講演を頂き、「脳卒中対策基本法」の現状についてのお話しと、共に制定に向け努力していくとの訴えもあった。(中山先生とお会いをしたく、私も同席させて頂いた)


果たして、「日本脳卒中者友の会の中にも異論があると思われる」と文書で明記してあるが、各加盟団体に発進するだけの根拠ある多くの事実があったのだろうか?


その後、この決議文を日本脳卒中者友の会のホームページに掲載するにも時間と経費がかかることがわかった。日本脳卒中協会は、ここにきて、日本脳卒中者友の会傘下の患者団体をはじめ、各患者団体へ「名称を変えた法案の是非を問う」アンケートを個別に発信しだした。


患者団体の代表ともいえる日本脳卒中協会の理事であり、日本脳卒中者友の会理事長への連絡もなく発信した。まさに患者団体の切り崩しともいえる手法を開始した。


その多くが医療従事者からなる日本脳卒中協会は「tPA治療を拡大したい」と強調する。


一方、日本脳卒中者友の会理事長や脳卒中から助かる会の患者団体が動いたからこそ、平成23年に横浜市は病院ごとの治療実績を公表した。


その公表によって、tPA治療の問題点がクローズアップされた。病院ごとの治療実績に格差があり、やみくもに推進するだけの治療法ではないことも見えてきた。さらに、脳卒中から助かる会は、横浜市の脳血管疾患救急医療体制の改善を横浜市に対し何度も申し入れをしてきた。

https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/154632/


PAの治療実績が低迷している横浜市脳卒中・神経脊椎センターと、横浜市立市民病院を管理する横浜市病院経営局は、tPA治療拡大につながる脳卒中の市民啓発講演会を有名なタレントを招いて平成24年から行っている。


平成25年度から講演の監修者として山口武典氏、長谷川泰弘氏、山本正博氏の名がある。行政という圧倒的な経済力を使ったtPA治療拡大への発信である。


子宮頸がんワクチンと同様に、横浜市ではすでにtPA治療件数が1000件をはるかに超えている。一体、どちらが国民の視点で、脳卒中医療を真剣に考えてきたといえるだろうか?


今まで日本脳卒中協会の患者団体として冠に添えてきた患者団体をこのような手法で干渉し、言わば排除し、名称を変えた法案を強硬に制定したとしても、今後、歴史的にその手法が問われることになるのでないだろうか。


このままでは「患者さんや国民がいるからこそ医療がある」という医療の原点とは、かけ離れた法案への制定になるのではないかと大変危惧している。