前回のお話は⇒アフリカ、エチオピア;アジスの仏頭&岩塩、ブルーナイルの幻のマスカル(その3)

 

 

東アフリカ大地溝帯

 

中学生時代、私は無知ではないと

何となく思っていました。

それが高校時代、理数系は苦手でわからない

無能力だと知りました。

 

大学に入り、自分がこれからしたいことを

全力で頑張っても小さな小さな、

ひょっとしたらどうでも良いことを

<達成>するくらいのことだと

痛感せざるをえませんでした。

 

無知と未知が具体的に、遅まきながら

分かるようになりました。

それは私にとって幸せな

認識プロセスだったと思います。

 

万有引力の発見者ニュートンでさえ

「私達は海辺で貝殻を拾っている子供である」

と言っていますから。

 

アフリカでの滞在は

自分の無知と未知の大陸が

同時に毎日体感されました。

 

「アフリカ大地溝帯」もそのひとつです。

(写真はエチオピアにある大地溝帯)

 

大陸を南北に縦断する総延長7,000kmにおよぶ

大地の裂け目は鉱山、サバンナ、湖、森林など

様々な環境を形成しています。

 

 

上空をケニアに向かっていたときには

さすがに言葉を飲みました。

 

大地溝帯周辺では

人類化石が多く発掘されているため

「人類生誕の地」とも呼ばれているからです。

 

私達の祖先はここから

地球のあちこちに散っていったのです。

 

ルーシーさんより前の祖先を発見!

 

エチオピアのアファール盆地で

新種の化石が見つかり、

1995年に人類の祖先の

「ヒト族(ホミニン)」に

分類されたと報じられました。

 

それまでは通称「ルーシー」と

呼ばれる人類の母が

知られていましたが、

 

発見された化石は

顎や歯などが違い、ルーシーさんより

古く生息していた新種だと

判明したわけです。

 

「尾っぽのない地上の猿」

=アルディピテクス属と

名付けられました。

 

ちなみにホモ・サピエンスは

「知恵のある人」という意味だそうです。

 

人類を育んだ「人類の揺りかご」は

たしかにそれにふさわしい稀有で壮大な

地球の裂け目でした。

 

私はこの地球に生まれ育ったのだと

今更のように「青い星」の奇跡を

しみじみ嬉しく実感し

今まで味わったことのない

愛着を地球に、大地溝帯に覚えました。

 

ケニアで踊り、踊りについて考えた

 

ナイロビの気候は心地よく

ビジネスライクな作業のため忙しく

 

マサイマラ国立公園に

慌ただしく駆け込み

大空にタッチして帰りました。

 

しかし、夜は市内の若者が集うダンス会場に

カメラマンと現地スタッフ3人で乗り込みました。

満点の星空のもと、適度なボリュームで

適度にケニアポップ風のバックが流れ

とても静かな会場です。

現地スタッフの

「リズムに乗って好きなように

踊ればいいんだ」

というアドバイスに従って踊りました。

 

周りを見ると、男女が必ずしも一体になり

コージーに踊っている風ではありません。

それぞれなんというか

無念無想で、

自分の内部に集中しているのです。

不思議なダンス会場だと感じ、

「いつもこうなの」と聞くと、

 

「8時間も踊ろうと思ったら、

飛んだり跳ねたり、いちゃついたりする

ひまはないよ」

 

彼の最長舞踏時間は8時間で、

10時間の記録を持つ友人がいる由。

 

近代哲学の父デカルトは言いました。

「我思う ゆえに 我あり」

 

ナイロビ青年たちは

「我踊る 故に 我あり」

 

彼らはダンスで思考するのだ。

踊ることについての新発見でした。

(その3)了

 

次回のお話は⇒アフリカ1周取材旅行;

南ア、ナイジェリア&アルジェリア,『異邦人』の‘太陽のせい’

 

 

最後までお読みいただき

ありがとうございました。

 

 

シイラ慈子(しげこ)