山盛りのサラダにトマト、そして山芋の短冊でございます。
これにお粥とキュウリのお漬物がございました。
大満足の食卓でこの日もパンパンのお腹を抱えてご機嫌に就寝いたしました!
本当にお肉が要らない身体だな、と思いつつ、ハムは大好物なのでパクパクと食べております(笑)
このサラダ、実は祖母の大得意のサラダでございまして、私が食事に招かれると大抵用意してくれていた懐かしのサラダでございます。
祖母のものはもっと内容が満載でございまして、レタスとトマト、ハムにキュウリをマヨネーズで合えるだけ、という至極簡単ながら非常に美味なものにございます。
私はこれが大好きで、ここに塩コショウと僅かながら酢を加えるのが好みにございます。
「おばあちゃんのサラダ」と命名された、このサラダを食べる度に祖母が話してくれたことを思い出します。
さて本日は「不動坊」という落語の話をひとつ。
これがまたちょいと変わった落語でございまして、不動坊と銘打ってありながら主役は吉兵衛という至極真面目な男性にございます。題目の不動坊とは講釈師をしている芸人・不動坊火焔でございますが、落語が始まった時点ですでに死亡しております。
なんとも不運なことに興行で地方回りをしているときに腸チフスに罹って亡くなってしまうのでございます。
芸人によくあるように遊興三昧であったことも、さらに病気の治療そして葬式代とかかったこともあり不動坊の妻お滝に35円もの借金が残されました。
あまり真面目な講釈師でなかったのか、はたまた然程に儲けなかったのか、もしくは「宵越しの銭など芸人の恥!」というタイプだったのか、不動坊の妻お滝に35円もの借金をすぐに返せる当てはなく、これから必死で働いていかなくてはならない境遇へと突き落とされました。
それを気の毒に思ったのが、お滝の住まう長屋の家主にございます。
というのもお滝さんというお人は天から二物も三物も与えられたでのはないか、というくらいの美貌の持ち主でありながら人柄もよく、スタイルもいい、という女性。
さらにそこに未亡人の艶まで加わり、放って置くほうが危険、というほどのいい女、なのでございます。
なんとか身持ちの硬い、真面目な男に嫁いで幸せになってもらいたい、と願った家主は長屋の中でも真面目が着物を着ているような吉兵衛に眼を付けました。
吉兵衛は長屋の店賃をきちんきちんと支払う文句のない真面目な男性でございます。
仕事が趣味かと思うほどに働くばかりで遊ぶこともなく、しっかりと金子は貯め込んでいるとの噂もあり、また女っ気のまったくない独り身でもございました。
いっそ女性に興味がないのでは?と思うくらいに固い吉兵衛の元へと向かい、嫁を取らないか、と家主が口にします。吉兵衛はあまり乗り気な様子ではございませんでしたが、相手がお滝さんだと知ると途端に身を乗り出しました。
「お滝さんは不動坊の嫁さんでしょう?」
問われた家主は世間の噂ひとつ耳にしないのか、と呆れつつ、旅先で病を得て亡くなり、お滝さんが未亡人であること、そしてその際に35円もの借金を背負ったことを説明しました。
「つまりだね、吉兵衛さん、あんたがお滝さんと一緒になるってことはその35円も背負うってことなんだけどね」
言い辛そうに家主が伝えれば、吉兵衛は勢い込んで唾を飛ばしました。
「構わねぇ!そんな借金なんざ、いくらだって払ってみせまさ!」
吉兵衛の言葉に家主がホッとしたのも束の間、吉兵衛がとんでもないことを口にしました。
「だってね、お滝さんはあっしの女房なんでさ!」
吉兵衛の九尺一間の長屋の上り框に腰を掛けていた家主が衝撃に腰を抜かしそうになっておりましたが、とにかく真面目な吉兵衛のことでございます。まずは話を聞いてみよう、と家主がどういうことかと問えば…
「あっしはね、お滝さんに一目惚れをしちまったんでさ、でもお滝さんは不動坊の嫁さんでしょう?あっしはおかしくなりそうなくらいに焦がれちまって、どうにかなりそうなときにふと思ったんでさ、お滝さんは実はあっしの女房で、今は不動坊に貸し出してるだけだってね!そうしたら不思議と気持ちが落ち着きやしてね!これでやっと返していただけるってもんでさ!」
妄想族…
これぞ由緒正しき妄想族!!!
ちょっと危ない区域に足を突っ込みかけている妄想族!!!!!!
吉兵衛に話を通す前にすでにお滝さんに話を振れば「吉さんなら…」と健気にもポッと頬を染めて祝言に了承したこともあり、吉兵衛の妄想には引きつつも家主はふたりの婚姻を進めることにいたしました。
上機嫌に地に足がついてない吉兵衛はお滝さんを迎えるために湯屋へと向かい、そこでも妄想族として実に誠な妄想を繰り広げるのですが、それがもう堂に入っているのでございまして、まさに笑いどころと言うべきでしょうか。
様々な妄想を繰り広げ、それをひとり芝居に披露するものだから周囲の人たちもあまりの奇異さに距離を置くほど。
そのなかでお滝さんに岡惚れしていた三人の男性の話が出てきまして、
「お滝さん、なぜ吉兵衛さんだったのかい?おまえさんを慕ってるのは吉さんだけでなく、新さんも裕さんも徳さんもあるだろう?」
と家主になりきってお滝さんに問えば、やはりお滝さんになった吉兵衛が三人の悪口を次から次へと言うのでございます。色黒過ぎて煙草を吹かしてなきゃ前後もわからない男なんてイヤだ、とかチンドン屋のラッパばかり吹くような男はイヤだ、など。
それを聞いていたのがお滝さん親衛隊のひとりでございまして、その夜に祝言を上げると耳にして、許せない嫉妬の炎がメラメラと滾ります。悪口を言われていたのも許せませんが、男やもめ(独り身の男のことを指すようで、現在の妻を亡くした男性という限定的な意味としては使っていないようでございます)は同じことなのに吉兵衛を選んだことにも腹が立ち、祝言の夜を邪魔して破談させてやろうと親衛隊3人で画策いたしました。
近所の売れない噺家を雇い、その噺家に不動坊火焔の幽霊を演じさせて「俺の女房を奪ったな!」と脅そうという作戦にございました。
屋根から褌を使って幽霊役の噺家を吊り下げたはいいものの、不動坊の幽霊に驚くどころか、吉兵衛は「おまえの残した借金を俺が払ったのだ、なんの文句がある?」と開き直る始末。
困ったのは噺家で、幽霊役としてなんとかしようと思うものの、怖がってくれなければどうにもならず、ましてや吉兵衛の話は納得できる筋もあり、戸惑うばかり。
その様子を見た吉兵衛が
「せっかく十万億土を越えてここまで来たんだ、ここに10円あるから回向料としてもっていっておくれな」
と餞別を差し出しました。
噺家はその金額にふらりと気持ちが動きますが、この悪戯に関わっているのは自分を含めて4人でございます。せめて4で割りやすい数字にするため20円なら考えると伝えました。
ここから先が上方と江戸で違いが出るのですが、個人的には江戸落語のオチの方が好きですのでそちらをご紹介いたします。
10円の回向料に納得がいかないのは噺家を吊り下げるために褌を持って屋根で踏ん張っている親衛隊の3人も同様。
20円になれば引き上げようとは思いつつも、なかなか吉兵衛がうんとは言わないので、幽霊役の噺家は困るばかりにございます。そんな幽霊を見て吉兵衛は言いました。
「なんだ?まだ宙に迷っているのかい(成仏できないのか?の意味)?」
すると幽霊が眉を下げて言いました。
「いえ、ぶら下がっております」
見事なサゲにございます~!!!!!
かなり簡略化して書いておりますが、実際の噺を聴けば抱腹絶倒間違いなしの落語なのよね~と思う私は今日も元気に焼いております。
母も絶賛、酒粕アメリカンクッキーにございます。
酒粕がまるでココナッツのようなフレーバーになり、松の実がサクサクと歯触りのいい焼菓子となっておりまして、軽い味わいのなかにもしっかりとしたコクがあり、とても美味しいお菓子にございます。
あまりたくさんの甘いものが食べられない母ですが、こちらは試食として置いておいた6枚のうち5枚を一人で食べておりました(笑)
母曰く「止まらない」美味しさだとか!
本日より販売開始いたしますので是非とも皆様にも味わっていただきたいと願っております。
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ちなみに上方バージョンでは20円で手を打った吉兵衛と噺家。
そして金額に納得した親衛隊の三人が噺家を引き上げようと褌を引っ張るのですが、それが屋根の縁(へり)に引っかかって破れてしまいます。結果、噺家は落ちてしまい、親衛隊の三人は無責任にもその場を逃げ出しました。
落ちてきた噺家に吉兵衛は誰何します。
さすがにこの場で不動坊だと名乗れるわけもなく、噺家は「講釈師をしている」と素直に自供しました。
「なんや?講釈師やと?講釈師が幽霊の真似さらすんか?」
上方バージョンでございますので、もちろん吉兵衛も噺家も言葉は上方言葉でございます(笑)
吉兵衛から脅すように問われた噺家は身体を小さくしながらもそこはさすがの芸人!
「へえ、幽霊(遊芸)稼ぎ人でおます…」
うまい!!!!
見事な返しにございます(笑)
本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
またいらしてください~♪
お待ちしております!!!
本当にいつもありがとうございます。
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